補償ドラフト

 NFLが補償ドラフトを発表した"https://nflcommunications.com/Pages/NFL-Announces-32-Compensatory-Draft-Choices-to-16-Clubs.aspx"。Over the Capが出していたチャート"https://overthecap.com/compensatory-draft-picks-cancellation-chart/"と比べると、6巡までは一応想定通り。7巡では3つのピックのみが対象になったが、Over the Capのランキングとは微妙に異なる順番になっているのが違っているくらいか。
 各チームとも補償ドラフトの獲得法に慣れてきたためだろう、今年のドラフトでは3巡での補償ドラフトが11ピックと最多になった。全部で32しかない補償ドラフトの3分の1以上だからかなりのものである。3巡ともなればうまくいけばスタータークラスの指名が可能になるわけで、それだけ補償ドラフトが各チームの編成にインパクトを及ぼすことになりそうだ。
 チーム別ではCleveland(3巡1つ、4巡2つ、5巡1つ)、Kansas City(3巡1つ、5巡1つ、6巡2つ)、Denver(3巡1つ、5巡1つ、7巡2つ)、Cincinnati(4~7巡それぞれ1つ)がそれぞれ4つのピックを手に入れた。ただしClevelandは2つの補償ドラフト権を既にトレードしているらしいので、実際の指名権は2つに減りそう。他には3巡1つ、5巡2つを持つMiami、3巡と4巡を1つずつ持つLos Angeles(1つはトレード済み)、そして3巡2つの指名権を得たSeattleあたりが目立つ。
 補償ドラフトと言えば有名なBaltimoreは今年は3巡1つのみ。ただし1994年からの累計では48と2位のGreen Bay(38)を大きく上回ってなおトップにある。3位はDallas(37)、4位はNew England(34)となっており、1994年以降のトータル勝率ではいずれも勝ち越しているチームばかりだ。累計勝率と累計補償ドラフト数の相関係数は+0.509。やはりドラフト数は多い方がチーム力にとってプラスになる。
 結果として今年のドラフト数は、追加の補償ドラフトを除くと253人分のピックがある。指名権が多いのはCincinnati、Clevelandの11個で、それに次ぐのがDenver、San Francisco、Washington及びKansas Cityの10個だ。逆に少ないのはBuffaloとNew Orleansの6つ。New Orleansはようやくサラリーキャップ地獄から脱したというのにこんなにドラフト権が少なくて大丈夫なんだろうか。
 もちろんドラフト当日までにドラフト権のトレードが何度も行われるだろうから、最終的な指名数はまだ分からない。それでも現時点でドラフトに投入できる資源がこれだけ違っていることの影響は大きいだろう。何しろ普通にやっていれば7人しか指名できないのに、多いところはそれより5割前後も多数の選手を指名できるのだ。そうした傾向が長く続けば、数の暴力がものを言うようになるのは当然だろう。
 そう考えると、いつもながらNew Orleansはこれでいいのかと疑問を感じずにはいられない。このチームでは2002年からMickey Loomis"https://en.wikipedia.org/wiki/Mickey_Loomis"がGMをずっと務めているのだが、2016年までに彼が指名した選手は96人。1年平均で6.4人と本来期待できる7人すら下回っている。New Orleansの1994年からの累計補償ドラフト数も10でリーグ最低だ。何だかBreesが可哀そうに思えてきた。

 次にドラフトとは無関係な話。キッカーの資質だ。今シーズン、New EnglandのGostkowskiについてはFGの成功率低下を問題にする向きが多かった。一例がこちらの記事"http://boston.cbslocal.com/2016/11/29/is-stephen-gostkowski-losing-bill-belichicks-trust/"。確かに今シーズンのGostkowskiのFG成功率は84.4%と2012シーズン以来の低水準に落ち込んだのは事実だ。
 だが、この程度のブレなら他の一流キッカーにも見られる。例えばIndianapolisに移籍後、トータルで86.7%という高いFG成功率を誇っているAdam Vinatieriだが、12シーズンには78.8%まで成功率が落ち込んだことがあった。Atlantaに来てから8年間に88.3%という驚異的なFG成功率を叩き出しているMatt Bryantも、15シーズンには77.8%に記録が下がったことがあった。
 一方、FG成功率に比べてずっと安定しているのが、キックオフの成績だ。Football Outsidersが算出しているSTのDVOAを見るとNew EnglandのキックDVOAは2009シーズン以降、ほぼ常に+7%以上を記録してきた。唯一の例外であった2011シーズン(-4.1%)はGostkowskiがシーズンの半分を休んだ年であり、それ以外ではFG成功率の高低と関係なく高水準のキックオフを持続している。16シーズンもこの数字は+11.8とリーグで2番目に高い数字を維持した。
 一方AtlantaのキックDVOAを見ると、Koenenがキックオフを担当していた時はリーグ屈指のDVOAを残していたものの、Bosherに交代した後はほとんどの年でマイナスを記録。Bosherは本業のパントも良くて+5%未満にとどまっており、STの寄与度が少ない。同様にパンターのMcAfeeがキックオフを兼ねるIndyもキックオフは+5%未満が続いており、安定的に平凡だ。
 キックオフでいい成績を残している選手はGostkowski以外にもいる。例えばBuffaloのJordan Gayは大半のキックオフを担当した14シーズンと15シーズでいい成績を残した。しかし彼はFG担当の役割までは担うことができず、結果的に16シーズンは途中で何度もクビになりほとんど試合に出場しなかった(同時にBuffaloのキックオフDVOAも低下した)。キックオフ専門のキッカーを置いておけるほど、サラリーキャップ時代のNFLロースターに余裕はない。
 そう考えるとFGでも一流、キックオフでは安定してリーグ上位の好成績を残すGostkowskiがどれほどありがたい存在であるかわかるだろう。彼がキッカーとしてリーグトップのサラリーをもらっているのはそう考えれば当然。でもチームのキャップに占める比率は3%に満たない水準であり、他のポジションに比べればリーグトップと言っても大した負担でないのは明らかである。
 Gostkowskiに次ぐ高給取りのJustin Tuckerは、Gostkowskiほど高水準ではないし安定度も低いがそれなりにいいキックオフ成績を残している。その寄与もあってSTトータルのDVOAでBaltimoreは毎年のように上位に顔を出している。もちろん彼はFG成功率も高いのだが、彼が高級をもらっている理由がそれだけでないのは想像に難くない。

 追記

 Over the Capが答え合わせをしていた"https://overthecap.com/evaluation-2017-compensatory-picks-projection/"。どうやら一部については予想が外れたようだ。
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