時の翁

 歴代QBの多くは38歳の壁を超えることがほとんどできなかったことは以前にも指摘した"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/55165526.html"。Joe Montanaは38歳のシーズンを最後に引退した"http://www.pro-football-reference.com/players/M/MontJo01.htm"し、John Elwayも同じ"http://www.pro-football-reference.com/players/E/ElwaJo00.htm"。Peyton Manningは39歳のシーズンに足を踏み込んだが、成績はリーグ最低にとどまった"http://www.pro-football-reference.com/players/M/MannPe00.htm"。
 もちろん中には例外もいる。39歳でパス224試投以上、先発8試合以上、ANY/A+100以上を記録したQBを調べると、1986シーズンのJim Plunkett、1995シーズンのWarren Moonに続き、今シーズンのTom Bradyが名前を並べている。さらに40歳のBrett Favre(2009シーズン)、41歳のMoon(1997シーズン)もこの条件を満たしている。
 だが彼らのうち勝ち負けで大きく勝ち越したのはBradyとFavreしかいない。あとはせいぜい5割かそれ未満だ。これが38歳のQBになると11人が要件を満たし、うち10人は勝ち越しまで記録している。単にパスを投げぬいただけでなく、そのうえチームの勝利にも貢献したQBがそれだけいる計算だ。やはりほとんどのQBにとって38歳の壁を超えるのは極めて困難なのだろう。
 Bradyはまだあと数年はプレイすると言われているし、チームもそれだけ契約を続けるという話が出ている。だが過去の実例を見る限り、39歳であれだけ活躍したのがそもそも異常値。これ以上続けて活躍する可能性になると、そうしたケースがこれまでほとんどなかっただけに予想することができない。Giseleが引退を勧めたのも、年齢を踏まえるなら全く不思議でも何でもない話と言える。
 つまりこれからBradyが乗り越えなければならないものは、相手のディフェンスやコーチングスタッフだけではなくなる。年齢という誰の前にも立ちはだかる壁にぶつからなければならないのだ"http://bleacherreport.com/articles/2691588-tom-brady-is-entering-qb-no-mans-land-vs-father-time"。確かに39歳のBradyは凄まじい成績を残したが、同じように40歳でキャリアハイの記録を残したFavreが翌年限りで引退したように、この年齢のQBはいつ成績が急落するか分からない"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56158356.html"。
 既に5つのリングを持ち、過去の伝説的な選手たちを超えた彼だが、今度の相手はおそらくこれまでにないほどの強敵だろう。流石の彼でもこの勝負ではunderdogになるのではなかろうか。もしそれでもなお彼が勝利を収める場面があるとしたら、それこそが彼のこれまでのキャリアの中で最も偉大な勝利になるかもしれない。

 Brady以外にも「時の翁」"https://en.wikipedia.org/wiki/Father_Time"との戦いを強いられる選手はいる。例えばDrew Brees。自身5度目のシーズン5000ヤード超のパスを記録するなどこちらも衰えた様子を見せずに頑張っているが、シーズン終了後に38歳という年齢を迎えている。もし来シーズンのプレイオフで勝ち進むようなら、その最中に39歳になる計算だ。こちらもまたいつガス欠になるか分からない。
 一方シーズン終盤に37歳となったのがCarson Palmer。開幕前の期待に反して中盤まで成績が低迷していたため、もしかしたら限界が訪れたのではないかとの声も出ていたが、終盤に持ち直したところを見るともう少しは現役を続けられるかもしれない。しかしこちらも年齢的にはいつキャリアが終わってもおかしくない立場であり、先行きは不透明だ。
 この4月に37歳となるTony Romoも、いつ時の翁に追いつかれるか分からないところが問題。彼の場合、そもそもどこでプレイすることになるかも不明であり、不透明感はPalmer以上だろう。もともと怪我持ちという問題も抱えているだけに、前倒しで引退を迫られるような事態にならないとは言えない。現状、リーグ内には優秀なQBを欲しがるチームが多いため、まだ一花咲かせる余地はあると思うけど。
 Eli Manningはこの1月に36歳、Philip Riversは昨年12月に35歳になった。彼らはまだ38歳の壁までもう少し余裕がある状態だが、ピークに比べて成績が今一つ冴えない状態が続いているのは気になる。Favreのようにこの後でもう一度ピークが来るのか、それともこのまま時の翁が迫りくるのを許してしまうのか。
 そしてAFCCGの敗北後に引退の可能性を否定しなかったBen Roethlisbergerがいる。彼は3月に35歳になる予定であり、まだ壁まではしばらく時間があるはず。ただそのプレイスタイルからどうしても怪我が多いという問題があり、13年のキャリアでフルに先発できたのは3年しかない。脳震盪問題を抱えていたTroy Aikmanが34歳のシーズンを最後に引退したように、この年齢でやめる選手もいる。彼は絶対に戻ってくる、と断言することはできないだろう。
 Peyton Manningがリーグを去ったように、これらの偉大な選手たちもいずれは引退していく。「彼のベストゲームは次の試合だ」と期待をもって見ることも、やがてはできなくなる。彼らの雄姿を楽しむのに残された時間は、意外に短いかもしれない。
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