最も偉大な逆転劇

 は今回のSuper Bowlではない、という話。

 25点差をひっくり返したSuper Bowlだが、もちろんこれが過去最大の逆転ではない。こちら"http://www.profootballhof.com/football-history/greatest-comebacks-in-nfl-history/"によれば、過去には以下のようなさらに大きな点差をひっくり返した試合があった。
 まず1992シーズンのプレイオフ、ワイルドカードで行われたBuffaloとHouston Oilersの試合"http://www.pro-football-reference.com/boxscores/199301030buf.htm"だ。第3Qの序盤時点でOilersは35対3と32点ものリードを奪っていたが、その後で立て続けにTDを奪われ、一時は35対38と逆転された。その後でFGを決めて一度は追いついたものの、結局はOTにFGを決められて負けている。Buffaloは控えQBのFrank Reichで勝ちを拾い、そのままSuper Bowlまで進むこととなった。
 その次に多い点差を逆転したのは2試合。1つは1980シーズンの12月に行われたNew OrleansとSan Franciscoのゲーム"http://www.pro-football-reference.com/boxscores/198012070sfo.htm"である。前半終了時点でNew Orleansは35対7の28点差でリードしていたが、後半に同点に追いつかれ、OTでFGを決められて35対38で敗れた。逆転勝利を決めたのは若きJoe Montanaであり、逆に大量リードをひっくり返されたNew OrleansのQBはArchie Manningであった。
 もう1試合は割と最近。2013シーズンのワイルドカードプレイオフにおけるIndianapolisとKansas Cityの試合"http://www.pro-football-reference.com/boxscores/201401040clt.htm"だ。第3Qの最初に38対10まで引き離されたIndyだったが、それから猛烈な追い上げを開始。Kansas Cityも第3及び第4Qに1回ずつFGを決めて引き離しを図ったが、最後は逆転のTDを食らって44対45と僅か1点差で負けた。Andrew LuckとAlex SmithがそれぞれのQBだ。
 その他にも、今回のSuper Bowlを上回る点差をひっくり返した例がある。驚いたことにこれにもBuffaloとIndyがかかわっている。1997年9月に行われたIndianapolisとBuffaloの試合"http://www.pro-football-reference.com/boxscores/199709210buf.htm"は、第2Qの途中までIndyが一方的に攻撃を行い26対0と大差をつけていた。だが前半終了の前にBuffaloも反撃に転じて10点を奪い、後半にはさらに得点を重ねて逆転する。Indyも追いつくべく最後にTDを決め、2 pt conversionを狙ったが失敗。35対37でBuffaloが勝った。
 さらにSuper Bowlと同様に25点差を逆転した試合が過去に2つあった。1つは1987年11月に行われたSt. Louis CardinalsとTampa Bayの試合"http://www.pro-football-reference.com/boxscores/198711080crd.htm"。こちらは今回の試合よりも派手で、第3Q終了時点で28対3でTampaがリードしていたのに、第4QだけでCardsが28点を取ってしまい、逆転されたという展開だ。
 もう1試合はこれまた割と最近の事例。2014年10月のClevelandとTennesseeのゲーム"http://www.pro-football-reference.com/boxscores/201410050oti.htm"がそれで、第2Qの途中時点でTennesseeが28対3でリードした。だが前半終了間際にこの点差は18点まで減り、後半にはClevelandが一方的に点を入れ続けて最終的に29対28とぎりぎりで逆転した。この試合に勝利したBrian HoyerはClevelandのQBで珍しく勝ち越している選手である。

 以上、逆転劇の多くは遅くとも第3Qの途中から反撃が始まっていることが分かる。例えば32点差をひっくり返したゲームの場合、Billsの逆転が始まったのは残り時間23:52からだった"https://en.wikipedia.org/wiki/The_Comeback_(American_football)"し、今回のSuper Bowlの場合は残り17:02だった。だがもっと後、第4Qの残り12:42になってようやく始まった逆転がCardsとBucsのゲームだった。この試合こそ、実は最もドラマチックな逆転劇と言うべきであろう。
 だが残念ながらこの場面を生で目撃した観客はごく少なかったようだ。当時の記事"http://articles.latimes.com/1987-11-09/sports/sp-14469_1_deficit"を見ると、Cardsのホームで行われたこの試合の観客数は、ノーショーを除けばおそらく1万5000人程度。チームは既に翌シーズンから他の都市に移転することを明らかにしており、地元ファンは足を運ぶ気をなくしていたようだ。
 30年近く前に行われた「最もドラマチックなのにほとんど見る人もいなかった」不幸な逆転劇と、全米で1億1000万人強がTV中継を見た"http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020700384"今回のSuper Bowlとの対比は、鮮やかすぎて何とも言えない気分になる。そんな大舞台に居合わせることのできた選手たちは、それだけでとても幸運だったと言えるんじゃなかろうか。

 派手なゲームの陰になってしまったが、いくつか他の話題についても言及しておこう。
 まずはシーズンの個人表彰"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000782759/article"。RyanがMVPなのは誰が見ても当然の結果だろう。そもそも16試合フル先発してシーズンANY/Aが9.03というのは物凄く異常値である。普通、これほど高水準の成績を長期にわたって維持するのは不可能に近い。2013シーズンのNick Folesのように先発数、試投数が少ない場合はまだしも、1シーズン通して先発するQBにとってはunsustainableな成績と言っていい。もちろん2011シーズンのAaron Rodgersのように15試合先発でもっと高い成績を残すQBもいるので不可能とは言わないが、それでもMVPには十分な成績だ。
 オフェンスのROTYがDak Prescottなのも特に異論はない。Coach of the Yearは正直言って毎年基準がばらばらに見えて仕方ないのだが、今シーズンのGarrettが選ばれたのがおかしいとまでは言えない。Clutch Performer of the YearがDerek Carrになったのも、目くじらを立てる必要のない選択だと思う。Comeback Player of the YearのJordy Nelsonもまた、さもありなんといった感じだ。
 一方で首を傾げる向きもいるんじゃないかと思われるのがHOFの選出メンバー。もちろん文句なしの面々が大半なのだが、一番どうだろうと思われるのはTerrell Davis"http://www.pro-football-reference.com/players/D/DaviTe00.htm"だ。確かに全盛期の活躍は見事であったが、その全盛期があまりにも短すぎる。キャリアトータルで7607ヤードという記録は、現時点でNFL55位の記録に過ぎない"http://www.pro-football-reference.com/leaders/rush_yds_career.htm"。彼よりたくさん走ったRBでHOFに選ばれていない選手は大勢いる。
 Approximate Valueで見るとDavisはキャリアで78。これはShaun Alexander(79)やBrian Westbrook(80)といった面々とほとんど変わらない。同じAVでHOFになっている選手としてはEarl Campbellがいるのだが、こちらはトータルヤードで9407ヤードは稼いでいる。それにCampbellは3年連続リーディングラッシャーとなっているがDavisは1回しかその経験がない。もちろんその1回が2000ヤードを超えていたのは見事であるが。
 結局、Davis最大の評価は1試合当たりのヤード数の多さだろう。レギュラーシーズンの平均97.5ヤードという数字も凄いが、プレイオフまで含めれば101.7ヤードという驚愕の数字を叩き出したところこそが、最大の評価点だったんじゃないだろうか。レギュラーシーズンだけならJim BrownやBarry Sandersの方が高くなるが、プレイオフを含めるとSandersを抜いて上にはBrownだけとなる。この部分まで含め、さらにSuper Bowlのリングを追加評価に加えることで、HOFに入れるべきだとの結論になったのかもしれない。それでも試合数の少なさはやはり気になるが。

 もう1つ、New Englandファンとして喜びとともに困ったことを。こりゃGaroppoloがトレードされる確率が高まったな。Bradyの後継者として期待できるQBになりそうだと思っていたが、Bradyは妻に勧められても全く引退する気がない"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000784153/article"うえに、これだけの実績を上げてしまうと引きずり下ろすのも難しくなる。遅くともGaroppoloの契約期限が切れる2017シーズン後には、改めてBradyの後継者探しが必要になってくるんじゃなかろうか。
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