マッチロック

 マッチロックについての心覚えをいくつか。まずは欧州で一般的に使用されたマッチロックであるシアロックのメカニズムとそれを描いたアニメーション。


 ばねの力で火挟みが持ち上がった状態がデフォルトになっていることが分かる。引き金を引けばこのばねを押して火挟みが下がり、火皿に点火するというシステムだ。こちらの動画"https://www.youtube.com/watch?v=r6YZmkxY7JA"の冒頭で火縄をつけずに引き金を2~3回引く場面があり、ばねの力がどのように作用しているかが見て取れる。

 次に日本で一般的だったスナップ式マッチロックのアニメーション。


 戦国時代に一般的だった平からくりと呼ばれる仕組みだが、毛抜き金と呼ばれるばねの力がシアロックとは逆に火挟みを火蓋へ押し下げるように働いていることが分かる。それを止めているのは穴(蟹の目と呼ばれているらしい)から出ている盗人金と呼ばれる部品で、引き金を引くとこの部品が引っ込み、支えがなくなった火挟みは毛抜き金の力で落ちるようになっている。
 こちらの動画"https://www.youtube.com/watch?v=0j4O5PKWNfo"の0:19辺りには火挟みを引き上げてセットする場面がある。つまりデフォルトで火挟みは火皿に落ちた状態にあり、それを上げて盗人金で止めているわけだ。

 以下は様々な種類のマッチロックを図解したサイト"http://www.oocities.org/yosemite/campground/8551/firearms.html"。欧州のマッチロックはその大半で火皿の前方に火挟みがついているが、日本の火縄銃では後方にある。結果、欧州のマッチロックは火蓋を手前に引いて開く"http://1.bp.blogspot.com/_59GYpEVAu0U/S76_7p7az7I/AAAAAAAAAAc/XdNPDZkAQME/s1600/matchlock-mechanism-edited.jpg"のに対し、日本の火縄銃では奥へ押し込むようにして開く"http://chunen-rider51.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_e4a/chunen-rider51/100326-11.jpg"ことになる。こちら"http://www.oocities.org/yosemite/campground/8551/matchlocks.html"はマッチロック機構の図解。
 NeedhamのScience and Civilization in China"https://books.google.co.jp/books?id=hNcZJ35dIyUC"によると最初に生まれたのはスナップ式マッチロックの方で、後により安全なシア式マッチロックが生まれたという(p428)。軍事目的としては前者は1400年代後期から1600年代半ばまで使われたようだが、1550年頃にはシア式に取って代わられたという"https://books.google.co.jp/books?id=U4p8AwAAQBAJ"。
 欧州でスナップ式マッチロックが好まれなかったのは、火縄が火皿に勢いよく押し付けられる際に火が消えてしまうリスクがあったためだという。一方、日本では引き金の軽さや、引き金を引いてから点火するまでのタイミングが短いことなどから、狙撃に向いているという理由でスナップ式が好まれたのだとか。欧州でも射撃競技用や狩猟用にはスナップ式が引き続き使われたそうで、散兵使用中心の日本と、戦列歩兵で使われるようになった欧州との違いが出ているのかもしれない。

 ついでにホイールロックとフリントロックのアニメーションも。

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