投票直前

 米大統領選の投票が間近に迫った。こちら"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/56070226.html"では「トランプが追いつくためには残されている時間が少ない」と書いたが、その後になってFBIによるメール捜査再開の話が出てきて急激に両者の差は縮まった。直近では結局クリントンの訴追はない"http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161107/k10010758111000.html"という結論になって再び逆方向への揺り戻しが出てくる可能性もあるが、とにかく投票直前で接戦状態にあるのは事実。傍観者としては面白い。
 ただし、FBIのナイスアシストで差を詰めたとはいっても、追いついたり追い抜いたりしたわけではないことも事実。支持率ではまだクリントンがリードしている"http://www.realclearpolitics.com/epolls/2016/president/us/general_election_trump_vs_clinton-5491.html"し、こちら"http://www.nytimes.com/interactive/2016/upshot/presidential-polls-forecast.html"にまとめている各種予想でも、トランプリードを見込んでいるところはない。というか大半でクリントンの勝利確率は80%以上となっている。
 その中でも慎重なのはFiveThirtyEight"http://projects.fivethirtyeight.com/2016-election-forecast/"だ。Polls-onlyでもPolls-plusでもNow-castでも、トランプの勝利確率は30~31%と3分の1近くに達している。もちろんこのデータにはFBIの訴追見送りの影響は十分反映されていないと思われるので、実際はもっとクリントン有利だと考えてもいい。Nate Silverによると"http://fivethirtyeight.com/features/how-much-did-comey-hurt-clintons-chances/"、FBIの捜査再開の話が出る前のクリントン勝利確率は81%だったという。
 だがそれでも他の多くのサイトに比べ、FiveThirtyEightの予想が慎重なのは確かだ。過去2回の大統領選において大半の州で予想を的中させたFiveThirtyEightの予想をもっと深刻に捉えるべきか、それとも他のサイトが予想するように結果的にはクリントンが順当に勝つのか。Brexitの時に予想市場や世論調査が間違えたという事実があるだけに、不確定要素を大きく織り込んだFiveThirtyEightの見方に基づいて状況を見守る方が安全だとは思う。つまり、現状なら3回に1回から5回に1回くらいトランプ大統領が生まれる可能性があるってことだ。

 たとえ順当にクリントン大統領が生まれたとしても、4年後、8年後はどうなるか分からない。今回の選挙が歴史的に見ても重要だと指摘する人はいるが、本当に重要なのは実は2020年や2024年だったという結果になる可能性は十分にある。今の状況をもたらした問題を解決できなければ、そしてその解決はかなり難しいと思うが、真の「危機」は次やその次の選挙で訪れるのかもしれない。
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コメント

No title

クロス
イギリスといい、既存のメディアの予想が、ことごとく外れますね。

No title

desaixjp
ご指摘の通りだと思います。
新しいエントリーでも触れていますが、もしかしたら人々の不信感の対象が既存の政治だけでなく、既存メディアにも向いているのかもしれません。
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