NFL week8

 NFLは半分近くまでシーズンが進んだが、ここにきてしばしばマスコミで取り上げられるようになってきたのが視聴率の急落だ。こちら"http://www.sportsmediawatch.com/nfl-tv-ratings-viewership-nbc-cbs-fox-espn-nfln-regular-season-playoffs/"には昨シーズンと比較した数字が出ているが、視聴率や視聴者数が10%以上落ち込んだ放送が結構ある。中には4割も減少した放送もあり、ダメージは大きい。
 なぜ今年に入って視聴率が急落したのか。よく指摘されるのが大統領選の影響だ。見ていると「発狂させられそうな」"http://theweek.com/articles/657885/mystery-nfls-declining-ratings"大統領選の方に人々の関心が移ったため、例えば討論会と重なった9月26日のAtlantaとNew Orleansの試合は前年比で41%もの落ち込みを記録している。
 その他の要因も指摘されている"http://www.cbssports.com/nfl/news/poll-main-reason-for-nfl-ratings-drop-due-to-players-kneeling-during-anthem/"。国歌斉唱の際に起立しない選手がいる、MLBのワールドシリーズがCubsとIndiansという極めて珍しい組み合わせになったため、選手のDV騒ぎが特に女性に嫌われているなどなど。
 こちら"http://mmqb.si.com/mmqb/2016/10/27/nfl-ratings-decline-football-fans-explain-viewership"で紹介されているファンの声には、NFL RedZone"http://www.nfl.com/redzonetv"のような既存TV以外の放送が影響している、セレブレーション禁止などがゲームをつまらなくしている、そもそも放送が多すぎる、プレイの質が下がっている、そしてやはりキャパニックのせい、などがある。
 質の低下や放送が多すぎる問題は、こちら"http://fivethirtyeight.com/features/jags-titans-is-the-new-tradition-in-bad-primetime-games/"でも指摘されている。典型例が今週行われたTNFのJacksonville @ Tennesseeだ。負け越し両チーム、それもFiveThirtyEightのレーティングで見て歴史的にかなり低いチームがプライムタイムにぶつかったわけで、そりゃ質が低いと言われても仕方ない。
 彼らのようなチームがプライムタイムに全米放映されるのは、現在のNFLのスケジュールだと全チームが1回は木曜夜に試合をすることになっているからだ。他チームを巻き込まないためか、この両チームは3年連続でTNFで対戦している。木曜まで無理やり放送しようとするから、このような試合が全米のTVに映し出されることになる。

 ただし上記のような要因は割と容易に対応できる問題点だ。より構造的な問題だと思われるのはこちら"http://www.weeklystandard.com/the-nfl-is-in-decline/article/2005033"の冒頭で言及されている問題点だろう。曰く「[NFL中継では]バイアグラから生命保険まであらゆるものがCMで流れる。何らかの理由で、かつてほど多くのビールCMは流されなくなったようだ。長いことビールとタイヤはNFL中継の際に流されていた。おそらくかつてビールとタイヤを買っていた連中が、今やバイアグラや生命保険のことを考えるようになった」。
 つまり視聴者が高齢化している、というわけだ。それをもたらしたのはテクノロジーの進歩。日本でもそうだが、TV以外の娯楽が増えることで特に若者ほどテレビ離れが進んでいる"http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc253210.html"。全く同じ現象はもちろん米国でも生じている"http://www.marketingcharts.com/television/are-young-people-watching-less-tv-24817/"。
 5年前には週に25時間ほど見ていた10代や20代前半の若者たちが、今や15時間ほどしか見なくなっている。実に4割もの減少だ。一方、50~64歳は5年前と同水準、65歳以上になるとむしろ5年前より視聴時間が増えている。日本でも米国でも、テレビは老いているのだ。積極的に見るのが高齢者ばかりになれば、そりゃ視聴率も下がるだろう。
 こちら"http://www.cbsnews.com/news/will-the-nfls-ratings-drop-throw-media-companies-for-a-loss/"の記事ではある専門家の「NFLの視聴率が下がることには驚かないが、もっと昔に下がり始めなかったこと、及び1シーズンでここまで急激に下がった点には驚いた」という言葉が紹介されている。スポーツの視聴者自体が高齢化しているため今まで簡単には下がらずにいたのが、ここにきてとうとうその影響が表に出てきた、と解釈するべきだろうか。

 短期的な問題の方が中心であり、それこそ大統領選が終われば視聴率も回復するかもしれない。だが一方で構造的な問題が大きいのだとしたら、NFLは本気でビジネスモデルを見直す必要性に迫られるだろう。現在のNFLの隆盛を支えているのは、間違いなくテレビマネーである。もしテレビマネーが減り、選手やオーナーに分配できる金が減っていくことになれば、サラリーキャップを含めた現在のシステム自体が影響を受ける可能性がある。
 でもそれでNFLが消えてなくなるところまで心配する必要はないだろう。かつて地上波TV及び企業の広告塔の位置に頼っていた日本のプロ野球は、地上波撤退などの環境変化に対応してローカル放送や来場者中心のビジネスモデルに変更して生き残っている。NFLにもそうした変化が求められる時期がやってくるのかもしれない。

 続いてPeyton世代のまとめ6回目。今回は前回よりさらに地味な2003年初プレイ組。

byron leftwich +0.06 26
rex grossman -0.79 53
kyle boller -1.44 63

 実に残念な名前が並んでいる。トップのLeftwichが辛うじて平均レベルのRANY/Aを維持しているだけで、残る2人は大幅マイナスだ。彼らのドロップバック数を見ても、はかったかのように1600台が並んでいる。一応、スターターのポジションは確保したものの、プロで長期にわたって使われるほど信頼された選手はいなかったわけだ。
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