漫画では十字軍を裏切ったクマン騎兵が氷上に誘い出され、アウステルリッツのロシア軍のようにやられる場面が描かれているが、これは全くのフィクションではない。実際にこの戦役の最終局面で氷が割れて兵士が死んだ場面があったという。ただし舞台は湖ではなく河だ。
フス戦争研究家のPalackýが書いたScriptores rerum bohemicarum第3巻"
https://books.google.co.jp/books?id=gUtdAAAAcAAJ"には、サーザヴァSázawuの話が紹介されている(p49)。Lützowによれば
Palackýは「458人の騎士」が溺死したと書いているそうだが、残念ながら同書のどこに記されているかは分からなかった。いずれにせよ彼らが溺死した理由は、多くの兵が氷の上を通ったために氷が割れたのが理由だ。
見つかった砲弾は全て砂岩を加工したもの。砂岩は「軽く、砕かれやすい」ため、発掘でも城壁にぶつかって割れた砲弾の小片が大量に見つかったそうだ。サイズは直径12センチ、15センチ、17-18センチ及び20センチほどのものがあり、重さは3~5キログラムだった。
攻撃は城門のある北東側付近に集中しており、使用されたのは中口径のホウフニツェが中心だったという。大口径のボンバルダは兵站上の困難や行軍ペースを遅らせることなどから、小規模な砦の攻撃にまでは投入されなかったのだろう。心理的効果を期待して軽砲を使ったのではないかと、この文献では推測している。
ホウフニツェもそうだが、砲身の短い当時の砲では正確さは期待できず、効果的な砲撃は200メートル以内でなければできなかったという。後の騎馬砲兵同様、破壊力よりも機動力を重視した火器だったのだろう(p117-119)。そう考えると、漫画で氷を割るのに使われたのもボンバルダではなくホウフニツェだったのかもしれない。
コメント