NFL week6

 NFLでは第6週が終了。次第に各チームの好不調も見えてきた。既に一部のチームではファンが「今シーズンはもう諦めた」と言い出している状態で、中にはtanking(ドラフト上位指名を狙ってわざと負けること)を求める声もあるほど。
 限定的な試合数で早々に結論を出すのはもちろん気が早いが、それでも現時点で上手くいっているところ、いないところについて大雑把な傾向は分かる。そして面白いのが、勝率とチームのキャップスペース"http://www.spotrac.com/nfl/cap/"との関係である。
 キャップスペースに余裕のあるチームとは、逆にいえば今シーズンそれだけ選手に投資していないチームでもある。そういうチームが苦戦するのは、決して不思議な話ではない。実際、最もキャップスペースが大きいClevelandは現時点で0勝6敗、次に多いSan Franciscoは1勝5敗といった具合に、苦戦しているチームが目立つ。
 だが一方でキャップスペースが小さいチームが強いわけでもないのが面白いところ。最も小さい(どころか計算上はマイナスになっている)Arizonaは3勝3敗でもたついており、次に小さいJetsは1勝5敗だ。勝率とキャップスペースの相関係数は-0.47853となっており、あくまで緩やかな逆相関にとどまっている。
 さらにキャップスペースから勝率を予想する式を出し、それと実際の勝率とを比較してみる。予想勝率より現実が上回っていれば、投資したサラリーに対して効率よく勝利を稼いでいるチームとなり、逆に下回っていれば効率の悪いチームとなる。
 第6週の時点で最も効率がいいのはMinnesotaで、次がNew England、以下Dallas、Seattle、Washingtonなどが続く。逆に最も効率が悪いのはJetsで、その後にChicago、Carolina、San Diego、そしてCincinnatiといったところがいる。単なる勝率比較ではなく、チーム作り自体が上手くいっているか否かを見るならこうした視点も面白いだろう。

 上手くいっていないチームについてチーム作りの視点から分析しているのがOver the Capだ。まずJetsについての分析"http://overthecap.com/thoughts-new-york-jets/"だが、今年の状況はManginiがHCに就任した2年目の2007シーズンによく似ているという。つまり、厳しいキャップスペースに苦しんているところが、だ。
 それまでのJetsはPenningtonらを擁してそれなりに健闘してきた。06シーズンにはプレイオフにも出場している。だがそのままの状態を放置すれば先々のロースターが回らなくなることに気づいたチームは、Manginiの足を引っ張ることになってもチームのサラリー改善を優先した。結果、成績は悪化したがサラリーの状況は改善。08シーズンからは再び上げ潮に乗った。
 今シーズンも状況は同じだ。Revisが代表だが、ベテラン中心に多額のサラリーをつぎ込んだ結果としてキャップが狭く、資金効率が悪化している。サラリー見直しを優先した結果、今シーズンの成績が落ち込むのは想定通り、というのがここでの説明である。
 ただ07シーズンと違うのは、直近のドラフトの成果。当時はドラフトでいい選手を集めていたためすぐにチームが上向くことができたが、足元のドラフトはむしろ失敗が多い。サラリー再構築に成功したとしても、その後の飛躍を支えるべき若手がいないのでは、ClevelandやSan Franciscoのように苦戦が続く懸念は残っている。

 もう一つ、分析対象となっているのがIndianapolis"http://overthecap.com/andre-lucks-contract-blame-colts-problems/"。ここではAndrew Luckとの大型契約がサラリーキャップを厳しくし、チームの低迷につながっているかどうかを調べている。
 結論から言えば「否」だそうだ。確かにLuckのサラリーはリーグトップになっているのだが、彼の後に続く高給取りQBたちと比べて突出して高いわけではない。Ndamukong SuhやAdrian Petersonのように同一ポジションの他選手に比べて異様に高い「ポジションバスター」たちはともかく、Luck程度の契約がそれほど負担になるとは言えないという。
 実際、サラリーキャップに占めるQBのコストを見ると、今後のLuckはDenver時代のPeytonとあまり変わらない水準にとどまりそう。DenverはPeytonにそれだけの費用を払いながら、一方であの強力ディフェンスを作り上げたわけであり、Luckのサラリーがディフェンス低迷の言い訳にはならないという指摘だ。
 むしろIndyの問題は、現政権になってから上位3巡のドラフト指名でオフェンスを10人指名する一方、ディフェンスを4人しか指名しないといったdecision makingの方にあるという。実績はあるがキャリア的には晩年の高額FAを次々雇用するといった対応も、おそらくトラブルをもたらした一因だろう。
 ただ、個人的にはOver the Capが指摘するほどLuckが無実だとは思えない。確かにPeyton並みの費用負担かもしれないが、そのPeytonはDenver時代、最終年こそ成績急低下に見舞われたが、それ以外は非常に高い成績を残した。オールプロ2回、カムバックプレイヤー1回、そしてMVPも1回取っており、間違いなく超一流の実績だったのである。十分投資に値したと言えるだろう。
 一方のLuckはどうか。昨シーズンはリーグでも下位に低迷し、今シーズンも現時点では平均以下の水準をうろうろしている。果たしてこのQBにPeyton並みのコストをかけるのは妥当だと言えるだろうか。もしこの状況が来シーズンも続くようなら、Luckへの投資が負担になっているという主張にも一定の妥当性を認めるべきだと思う。

 続いてPeyton世代のまとめ4回目。2001年初プレイ組だ。

drew brees +1.39 03
michael vick -0.16 36
quincy carter -0.58 46

 BreesはRANY/AだけならBradyを上回るレベルの高成績を残している。Peytonを含めたった4年間にこれだけレベルの高いQBが3人もNFL入りしたのは凄いというべきだろう。ただし彼以外は今一つだ。ドラフト全体1位指名のVickは結果的にリーグ平均に届いていないし、Carterに至ってはドロップバック数1040と辛うじて1000を超えただけでリーグを去った。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

トラックバック