時間切れ間近

 米大統領選は2度目の討論会が終了。1回目の討論会直前には両者の支持率も接近していたが、討論会の内容、及びそれ以降にあったいくつかの報道、特にWashington Postのやつ"https://www.washingtonpost.com/3b9ce776-8cb4-11e6-bf8a-3d26847eeed4_story.html"が影響したのか、今では支持率は大きく開いている。例えばFiveThirtyEightのPolls-plus forecastでは、クリントンの当選確率が過去最大になっている"http://projects.fivethirtyeight.com/2016-election-forecast/?ex_cid=rrpromo#plus"。
 その中で目立ってきたのが共和党内で広がっているトランプ支持からの撤退の動きだ。トランプと共和党の内戦"http://edition.cnn.com/2016/10/12/politics/republicans-us-election/"と評する向きすらいる。こちら"http://www.nytimes.com/interactive/2016/08/29/us/politics/at-least-110-republican-leaders-wont-vote-for-donald-trump-heres-when-they-reached-their-breaking-point.html?_r=0"にはトランプ不支持を明らかにした共和党有力者がまとめられている。
 代表例が、下院議長であるライアンの対応"http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161011/k10010725221000.html"。支持を取り下げはしなかったものの、今後はトランプを擁護することも彼とともに選挙運動をすることもないと述べ、議会選挙に集中することにしたという。トランプの巻き添えを食って議会選で落選でもしたらたまらない、と思っている共和党関係者が増えているのかもしれない。中でも女性有力者の厳しい対応が目立つ"http://fivethirtyeight.com/features/republican-women-are-unendorsing-trump-twice-as-fast-as-men-are/"。

 共和党員のトランプに対する対応は、暴言や2回目の討論会における敗北("http://edition.cnn.com/2016/10/09/politics/clinton-wins-debate-but-trump-exceeds-expectations/"や"https://today.yougov.com/news/2016/10/09/post-debate-poll/")で支持率が下がっているのを受けたものだろう。討論会後の世論調査が出始めたが、内容はかなり厳しいという"http://fivethirtyeight.com/features/election-update-post-debate-polls-show-trump-still-in-big-trouble/"。
 もちろん、ここからまたトランプの支持率が戻る可能性はある。以前、戦死した米兵の親に対する暴言を吐いた時も、これでトランプは終わりだと主張する向きがあったが、その後でも彼の支持率は一度は盛り返した。今回の件が相当な顰蹙を買っているのは間違いないが、それでもどこかのタイミングでまた揺り戻しがないとは言えない。
 問題は揺り戻すだけの時間の余裕があるかどうかだ。既に投票日までの期間は1ヶ月を切っている。前回、彼の支持率がどん底(8月9日)をつけてから盛り返し、クリントンとの支持率の差を0.9ポイントまで縮める(9月18日)のに、40日の時間を要している"http://www.realclearpolitics.com/epolls/2016/president/us/general_election_trump_vs_clinton-5491.html"。今回の暴言も、まだ時間に余裕があればなんとかなるかもしれない。
 だが実際に残されている時間はもう4週間もない。しかもまだトランプの支持率低下が底を打ったとは言い切れない。今すぐ底を打ったとしても、今後1週間に1.5ポイント以上のハイペースで支持率の差を埋めていかなければ、選挙当日には間に合わないのだ。
 トランプの状況がどれほど厳しいかはこちら"http://fivethirtyeight.com/features/is-there-any-precedent-for-a-trump-comeback/"を見ればわかる。過去にこの時点で6ポイント以上の差をつけられていた候補者が本選で勝利した事例は、20世紀後半以降では存在しなかったという。そうした理由もあって、予想市場では民主党勝利の確率が約9割まで高まっている"http://predictwise.com/politics/2016-president-winner"。
 次の、そして最後の討論会は現地10月19日に開催される。その時までに、あるいはその最中にまたクリントンが倒れるようなことでもあれば状況も変わるかもしれないが、現状ではどう見てもトランプが不利なのは間違いない。そしてこの状況をひっくり返して逆転勝利するのがかなり難しくなりつつあることもまた確かだ。残された時間は少ない。
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