現時点でどのチームがドラフトに成功し、どのチームが失敗したかについて判断はできない。何度も言っている通り、ドラフトはcrapshootだからだ。指名権が多かったチームほど当たりを引く期待値は高いと思われるものの、実際にそうなるという保証はどこにもない。4年ほど後になれば情勢は見えてくるだろうが、今のところは当たるも八卦当たらぬも八卦だ。
というわけでここでは4年前、つまり2012年のドラフトについて評価してみる。厳密にやるならドラフト順位から期待できるApproximate Valueをどの程度上回ったか、また途中でチームを移った場合はドラフトしたチームで残したAVがどの程度だったかを調べる必要があるだろう。だがそこまでやるのは面倒なので、単に各チームのドラフト選手が記録したCareer AVの合計を出してみた。結果は以下の通り。左がAV合計、右が指名数。
Sea 199 10
Ind 123 10
Mia 114 9
Min 113 10
Phi 112 9
StL 108 10
Cin 106 10
Was 106 9
Car 105 7
Cle 103 11
TB 93 7
Hou 92 8
Den 86 7
Buf 79 9
NE 75 7
Pit 71 9
Bal 70 8
Ari 65 7
NYJ 65 8
KC 64 8
SD 64 7
Ten 59 7
Jax 55 6
Det 54 8
Chi 47 6
NYG 44 7
GB 43 8
Dal 38 7
Atl 34 6
NO 33 5
Oak 27 6
SF 17 7
最も成功したのはSeattle。Russell Wilsonを筆頭にBobby Wagner、Bruce Irvin、J.R. Sweezyの3人が20以上のCareer AVを積み上げた。それ以外にもRobert TurbinとJaye Howardが2桁の数字を出しており、全体として大当たりのドラフトだったと見ていいだろう。指名数が多かったうえに当たりも多かったわけで、この数年のSeattleが強豪として君臨してきたのも安いドラフト選手たちの活躍が背景にあったことがよくわかる。
逆に最大の失敗だったのはSan Francisco。7人指名は割と普通だが、1人たりとも2桁のCareer AVを記録しない結果となっており、完全にbustばかりだったと言っていいだろう。Miles Burrisしか2桁にならなかったOakland、指名数が少なすぎるNew Orleans、2桁選手が2人しかいないAtlantaなども失敗ドラフトと見ていい。
指名数と合計のCareer AVの相関係数は0.734と強い相関になる。それだけではない。1人当たりの平均Career AVと指名数との相関係数も0.463とそこそこの相関があり、指名が多いチームは当たりを引く確率も高かったことになる。後者はただの偶然かもしれないが、少なくとも2012ドラフトでは指名数を増やすことこそが成功への近道だったのだ。
そう考えると、スタッツアナリティクスに力を入れているClevelandが今年のドラフトでやたらと指名権を増やしたのも当然の行動と言える。1位指名権を譲ったTennesseeも10人を指名しており、期待値はおそらく高い。一方でトレードアップしたLos Angelesは6人指名にとどまっており、Goffがよほど活躍しない限り後から失敗と見られる可能性は高い。
指名数の多さが成功確率の高さにつながるという理屈は、ポジション別に見ても成り立つかもしれない。近年、QBの指名が最も多かったのは2004年(17人)なのだが、この年はEli Manning、Philip Rivers、Ben Roethlisbergerの3人がCareer AVで100を超え、他にMatt Schaubが69を記録している。2003年と05年には100超が1人ずつ、02年には1人もいないことを考えれば、間違いなく大当たりだ。
スポンサーサイト
コメント