ドライブ内容の変化

 シーズン前にWashingtonが地区優勝すると本気で予想していた人は、まあいないだろうな。何しろシーズン前の予想では最下位に挙げている例もあった"http://www.footballoutsiders.com/dvoa-ratings/2015/2015-dvoa-projections"し、一般的なランキングでもどん底付近に沈んでいた"http://www.nfljapan.com/headlines/68997.html"。他チームが勝手にこけただけのような気もするが、それでもサプライズと言っていいだろう。
 それにしてもこれでSunday Night FootballのGiants @ Minnesotaが無意味になる可能性が一気に高まったな。こちら"http://www.nfl.com/news/story/0ap3000000606242/article"によればSNFの前に行われる試合でAtlantaが負けるかSeattleが勝てばその時点でMinnesotaのプレイオフが確定。こちら"http://projects.fivethirtyeight.com/2015-nfl-predictions/"の予想が正しいならどちらかが起きる確率は97%もあるわけで、SNF前にプレイオフ出場チームが決まってしまう可能性は高い。
 さらに最悪なのはGreen BayがArizonaに負けた場合(確率66%)。こうなるとMinnesotaは負けても地区優勝の可能性が残り、逆に勝っても地区優勝はできないため、この試合が事実上主力を休ませる最大のチャンスになってしまう。今シーズン最低のSNFになる可能性が高まってきたと言えるだろう。

 話を変えて、以前紹介したドライブ指数"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/55625618.html"について今度は時系列の流れを見てみたい。といってもPro-Footall-Reference"http://www.pro-football-reference.com/"に載っているドライブ関連データは1998シーズン以降のものしかないため、その時期のみを対象とする。
 リーグ全体のドライブ指数はこの期間を通じ、大半が57~59ヤードの範囲内にとどまっている。途中上下はあるが、全体としては横ばい傾向を維持していると言っていいだろう。一見すると20世紀末から21世紀にかけてNFLのドライブは安定した傾向を見せていたようにも思える。
 だが中身を見ると決してそんなことはなく、この期間にドライブの実情が大きく変化してきたことが分かる。平たく言うならドライブする距離が伸びる一方、開始地点がどんどん後ろに下がっていったのだ。2003シーズン頃まで31.5ヤード付近だった開始地点は、今では28ヤード地点まで後退。一方、ドライブ距離は26ヤード台だったのが30ヤードに達するようになっている。



 なぜこのように変わっていったのか。色々な理由が関与している。まずはオフェンスの1プレイ平均獲得ヤード(Y/P)の伸び。かつては5.0ヤード台だったこの数値は、足元では5.4ヤード台になっている。3プレイで1.2ヤードも伸びた計算となり、それだけFD更新がやりやすくドライブもつながるようになっている。
 Y/Pの伸びをもたらした最大の要因がパスの効率化であることは否定できない。NY/Aは2003シーズンまで5.8~5.9ヤードが当たり前だったが、2004シーズンにPeytonの爆発もあっていきなり6.1ヤードにジャンプ。その後、一度は5ヤード台にもどるもののすぐに6ヤード台が当然となり、今では6.3ヤード台も出るようになっている。今シーズンは現時点で6.4ヤード台とさらに伸びている。
 パスだけではない。実はランも伸びている。もともとランのY/Aはいい年でも4.1ヤードが上限だったが、2006シーズン以降は4.2がほぼデフォルト化し、時に4.3まで達するようになった。ディフェンスがパス対応に力を注がざるを得なくなった結果、ランが以前より出やすくなっている可能性がある。
 加えてターンオーバーの減少も見逃せない。これはインターセプト率の低下と直結しているのだが、20世紀末には1チーム当たりシーズン平均30回に達することもあったターンオーバー数が14シーズンには24回程度まで減少。ドライブが断ち切られる回数がそれだけ減っているわけで、これもドライブ距離が伸びている一因だろう。

 だがドライブ距離の伸びは開始地点の後退によって相殺されている。なぜか。まずターンオーバーの減少は一方で開始地点を下げる要因にもなることに注意が必要だろう。ディフェンスが奪ったターンオーバーによってオフェンスが有利な場所から攻撃を始める事例は珍しくない。ターンオーバーが減ればそれだけ押し込まれた場所からドライブを始める回数が増える。
 加えてキッキングゲームの向上も影響している。まずはパントだ。グロスヤードで見ると2004シーズン頃まではほとんど42ヤード前後で推移していたが、その後は右肩上がり。最近は45ヤード前後で推移している。ネットヤードで見ても37~39ヤードだったのが、最近はほぼ41ヤードだ。パントの飛距離増加が相手のドライブ開始地点を押し下げている様子がうかがえる。
 もう一つはキックオフ。ここにおいてはルール変更が及ぼした影響も大きい。キックオフに占めるタッチバックの比率は、2011シーズンにキックオフ地点が自陣30ヤードから35ヤードに前進した結果、大幅に向上した"http://thesportsquotient.com/media/posts/19878/kicking.JPG"。もちろんキッカー自身の能力向上もある。だからこそ03シーズンに7.8%だったタッチバック率は10シーズンには16.7%まで上昇。11シーズンに44.5%になった後もさらに上がり続け、14シーズンには51.4%とついに過半数になった。

 つまり、オフェンスの効率化(パスが主導し、ランはその恩恵を受けている)によって増えたドライブ距離を、キッキング向上及びルール変更などによる開始地点の後退によって穴埋めしてきたのが、この17年間の変化なのだ。そう考えると、2011シーズンのルール変更がなければゲームの様相は今よりもっとオフェンスハッピーなものになっていたかもしれない。怪我防止の目的で導入されたルールだが、結果的にはドライブ指数を昔と同水準に均衡させる付随効果をもたらした。
 同時にこの17年がディフェンス受難の17年だったことも分かる。ドライブ指数均衡にディフェンスが貢献してきた部分は少ない。オフェンスはパスもランも効果的に進むようになっているし、ターンオーバーも減っている。まあターンオーバーの減少は開始地点の後退につながる面もあるので全く貢献がないわけではないが、あくまでマイナーな寄与でしかないだろう。
 今後はどうなるのか。オフェンスの効率化はまだとどまる様子を見せていない。一方、キッキング関連での大きなルール変更が今後もあると期待するのは難しいだろう。今のままならドライブ指数はどんどん上昇し、やがては60ヤードを超える時が来かねない。「平均的なドライブで長距離FGが狙える」時代の到来だ。果たしてゲームはどう変わるのか。
 2014シーズンのデータを見ると、全ドライブ(5712回)のうち相手陣40ヤード以内まで到達したのは2478ドライブで全体の43.4%だ。そしてこの2478ドライブのうち実に75.7%が得点につながっている。もしドライブ指数が60ヤードになれば、全ドライブの半数が相手陣40ヤード以内に到達することになる。TD率やFG率が今と変わらないなら、得点はおよそ15%増えるだろう。14シーズンの1試合平均得点は22.6点だったが、これが単純計算で26点近くになる。
 ドライブ指数が今とあまり変わらなかった1998シーズンの平均得点は21.3点だった。17年かけて6%得点が増えたことになる。そう考えると15%増、26点というのがどれほど凄いかが想像できるだろう。このまま進めば、ディフェンスの大炎上状態が当たり前の時代がやってくるかもしれない。
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