ドライブ指数

 そういえば第10週の試合でMiamiがまたsafetyを食らっていた"http://www.nfljapan.com/score/boxscore/56638.html"。3試合連続は調べた限り過去に1970シーズンのPittsburgh、80シーズンのSeattleの2チームしかなく、今回のMiamiでようやく3チーム目だ。なかなか珍しいものを拝めたと感心すべき、なんだろうか。

 本題。今回はNFLのドライブ関連データを使った1つの指標を紹介したい。ドライブ1回あたりの平均獲得(喪失)ヤードに、平均ドライブ開始地点と足し合わせたものだ。ドライブ終了時点で自陣から(ディフェンスなら敵陣から)何ヤード進んだかを示す数値であり、仮にドライブ指数とでも呼ぶとしよう。以下のデータは今シーズンのドライブ指数で、左からオフェンス、ディフェンス、両者の差となる。

NE  67.8 52.9 +14.9
Ari 64.5 53.7 +10.8
Cin 64.1 53.3 +10.8
Sea 57.8 51.3 +6.3
KC  59.4 53.2 +6.2
NYJ 59.3 53.4 +5.9
Car 58.5 52.8 +5.7
Atl 63.3 57.7 +5.6
Min 59.4 54.2 +5.2
Pit 60.8 58.3 +2.5
Den 53.3 51.3 +2.0
Chi 59.8 58.5 +1.3
Phi 55.9 55.3 +0.6
TB  59.4 59.3 +0.1
NYG 60.9 61.0 -0.1
Ten 55.4 55.8 -0.4
Bal 58.5 59.2 -0.7
Oak 60.1 61.6 -1.5
Buf 55.4 57.1 -1.7
StL 52.4 54.3 -1.9
Dal 56.1 58.6 -2.5
Hou 52.8 55.4 -2.6
NO  60.7 63.7 -3.0
GB  56.7 59.9 -3.2
Was 58.6 62.6 -4.0
Cle 56.2 61.6 -5.4
Mia 54.4 60.3 -5.9
SD  59.8 65.7 -5.9
Jax 53.2 60.0 -6.8
Ind 53.3 60.7 -7.4
Det 52.8 92.7 -9.9
SF  48.5 62.8 -14.3

 さてこのスタッツにはどれほどの意味があるのだろうか。まず勝率との関連を見てみよう。比較のため得失点やSRS"http://www.pro-football-reference.com/years/2015/"との相関も調べる。
 2002-14シーズンの得失点差と勝率との相関係数は0.881~0.947と当然ながら高く、平均で0.920を維持している。一方SRSと勝率だと0.811~0.936で平均0.878。対戦相手で修正をかけているから得失点差より少し下がるのは仕方ない。そしてドライブ指数差は0.732~0.898の平均0.806。得失点差から算出するSRSよりは低くなるが、強い相関の範囲内であり悪くない数値だろう。
 得点と勝率との相関は平均0.764、失点は-0.691となり、得点の方が相関が高い。OSRS(0.745)とDSRS(0.624)でも、あるいはオフェンスドライブ指数(0.699)とディフェンスドライブ指数(-0.510)で見ても傾向は同じ。年によって逆転することがあるとしても、全体としてオフェンスの方がディフェンスより勝率との相関は高いと言えるだろう。

 興味深いのはドライブ指数を構成する「ドライブ開始地点」と「ドライブ距離」との関連だ。勝率とドライブ開始地点差の相関係数は平均0.595、ドライブ距離差は0.693となっており、基本的にドライブ距離の方が開始地点より重要に見える。だがオフェンスとディフェンスに分けた場合、オフェンスはドライブ開始地点(0.463)よりドライブ距離(0.547)の方が数値が高いのに対し、ディフェンスはドライブ開始地点(-0.555)の方がドライブ距離(-0.272)より勝敗との相関が高くなるのだ。
 これは得点とオフェンスのドライブ指数、失点とディフェンスのドライブ指数との相関にも見られる。確かに失点とディフェンスのドライブ距離との相関は0.581とドライブ開始地点(0.486)より高いのだが、オフェンスのドライブ距離(0.773)とドライブ開始地点(0.365)の間に比べればその差は限られている。そしてディフェンス開始位置を決めるのはほとんど全てのケースにおいてディフェンス自身ではない。オフェンスとSTだ。
 つまりドライブ指数からはオフェンスとディフェンスの重要性に差があることが見て取れるのである。もちろん単純に得点・失点と勝率との相関にもそうした傾向はあるが、アメフトの場合は「ディフェンスが得点することもある」と反論できてしまう。それに対しドライブ距離はほぼオフェンスチーム、ディフェンスチームで決まるし、開始地点は逆にそれぞれのチームがほぼ関与しないデータだ。チームの獲得(喪失)ヤードのうちどの程度がオフェンス(ディフェンス)チームの寄与で決まり、どの程度がそれ以外のファクターで決まるのか計算できる。
 アメフトでは「ランよりパスが重要」ということは以前から指摘されている。同様に「ディフェンスよりオフェンスが重要」という理屈も、このドライブ指数を使えば導き出すことができるのだ。実際にはオフェンスの方が重要という話は昔から知られており、このblogでも既に2007年にはそういう話を紹介している"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/26594367.html"。
 さらに言えばディフェンスを強くしたい場合、ドライブ距離を縮める努力もさることながら、実はドライブ開始地点をいかに敵陣に近づけるかが重要であることも分かる。そのためにはディフェンスチームを強化するのではなく、オフェンスのターンオーバーを減らしたり、STの稼ぐ距離を伸ばしたりする方に投資しなければならない。単純にディフェンス選手に金をつぎ込めばディフェンスが強化されるわけではないのだ。

 そして今シーズン、このディフェンス開始地点でリーグトップにいるのはCincinnatiで、2位がNew Englandだ。うちNEは昨シーズンも1位タイ、その前も3位であり、2012シーズンは比較的低かったがそれでも8位に顔を出している。そして2011シーズンは2位、その前は6位タイだ。他チームはNEのこういうところも真似するようにした方がいいんじゃなかろうか。
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