アメフト世界選手権2015

 バイレンの話が長引いてしまったが、その間にアメフトの世界選手権が開かれた。前回準優勝のカナダが参加せず、7チームという変則的な状況で大会が行われたのだが、今回も米国が圧倒的な強さを見せて優勝した"http://ifafworldchampionship.org/news"。これで3回連続の優勝となったわけで、正直ゲームとしては面白いものではなかったようだ。
 それでもアメフトの母国で、しかもNFL発祥の地であり名誉の殿堂もあるオハイオ州カントンでこうした世界大会が開かれたことは意義深い。というかそのくらいしか意義がないような。2位日本、3位メキシコという並びもいつも通りだし、変則的なチーム数のおかげで、例えば日本は3試合中2試合が米国との対戦になるなどバランスに欠けること甚だしい組み合わせになった。
 各チーム別の勝敗と得失点を見ると以下のようになる。左から勝利、敗北、得点、失点だ。

米 4 0 214  36
日 1 2  65 109
墨 1 2  33  72
仏 2 2  91 111
豪 3 1 108  81
伯 1 2  42  47
韓 0 3  20 117

 一応順位通りに並べてみたが対戦相手がかなり変則的なため勝率と順位が一致していない。だが米国にしか負けておらずメキシコには勝っている日本が2位に、日米には負けたがフランスには勝っているメキシコが3位になるのは理屈に合っている。オーストラリアとブラジルに勝って米国とメキシコに負けたフランスが4位、韓国とブラジルに勝利しフランスに負けたオーストラリアの5位も順当だろう。5位決定戦に出場したのは韓国だが、対戦成績を考えるならブラジルの方が韓国より上と見ていいだろう。
 変則的交戦のため得失点も変なことになっている。1試合平均で米国が53.5得点、9失点と圧倒的強さを見せているのはいいんだが、日本は21.7得点36.3失点と冴えない数字になり、メキシコは11得点24失点とダブルスコアで負けている計算になる。強いチーム相手の試合数が多かったためだ。そしてこの傾向はANY/Aも同じ。各チームのオフェンスANY/A、ディフェンスANY/A、その差は以下のようになる。

米 7.91 2.56 +5.35
日 5.37 4.95 +0.42
墨 1.00 5.23 -4.23
仏 2.27 4.69 -2.42
豪 5.01 3.89 +1.12
伯 4.70 4.93 -0.23
韓 2.63 5.67 -3.04

 3位のはずのメキシコが最もひどい成績であり、逆に5位のオーストリアが米国に次いでいい成績になっている。対戦相手が違いすぎたせいだ。そこで対戦相手に合わせた修正をかけて各チームのオフェンスANY/Aを出すと以下のようになる。

米 7.34 2.76 +4.58
日 6.80 3.85 +2.95
墨 1.25 4.34 -3.09
仏 2.52 4.31 -1.80
豪 4.04 5.02 -0.98
伯 4.37 5.80 -1.43
韓 2.99 5.05 -2.07

 これでもなお3位のメキシコが最もひどい成績である点に変わりはないが、修正前よりは差が縮まっている。一方オーストラリアの成績は日本の下まで落ち、修正前のプラスからマイナスへと転じている。メキシコがオーストラリアあたりと試合をしていれば、もう少しこのデータも変わっていたかもしれない。少ない試合数ではスタッツがあまり使えない例と見た方がいいのだろう。
 いずれにせよこれを見て分かるのは、まともなパスオフェンスを持っているのが日本とアメリカだけということだ。各国の成績が4年前からほとんど変わらず、大きな実力差を抱えたままの状態が続いていることも一目瞭然。残念ながらサッカーのように勝敗そのものが興味の対象になるには、まだ膨大な時間がかかりそうである。
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