地図と絵図

 Gallica"http://gallica.bnf.fr/"にはナポレオニック関連で色々と面白い史料がある。書物が中心だが、地図や絵画といったものも見られるのはありがたいところだ。Advanced searchを使ってmapを選び、キーワード(たとえば対象の年)を入れて探せば様々なものが見つかる。
 一例が1793年に行われたマインツ攻囲。まずこちら"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8440703t."やこちら"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8442325n."には大雑把な攻囲図が描かれている。より詳細な攻囲壕の図はこちら"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b84389756."を見てもらうのがいいだろう。マインツ南西部に連合軍が展開した塹壕が描かれている。
 一方で地図というより絵図といった方がいいような画像もある。例えばこれ"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8411878c."やこれ"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8411879s."。いずれもライン右岸から攻囲している連合軍の様子を模式的に描いたものであり、よく見ると騎兵や砲兵の姿までが描きこまれている。こちら"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b84119334."まで来るともはや絵図というより絵画に近いのだが、ラインの流れを矢印で記すなど地図的な部分も残っている。
 こういった絵図的なものは、この時代の図を探すとそこそこ見つかる。例えばジュマップの戦いについて描いたこちら"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b84931974."及びこちら"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8441890n."の図。基本的には同じものだが、拡大してもらえば隊列を組んだ歩兵、馬を走らせる騎兵、そして砲撃を行う砲兵といったものが細かく書き込まれている。堡塁、風車、テント、挙句には戦場に倒れた人の姿まで、よくも描いたものだと感心するほどだ。
 もう1つ面白いのが、こちらは1795年にマインツで行われた戦闘を描いたもの"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8412486v."。1793年にはマインツに立て篭もるフランス軍を連合軍が包囲していたのだが、この時は逆にマインツにいる連合軍がそこを囲もうとしているフランス軍に対して反撃した場面だ。図で見ると左側(南側)、フランス軍の攻囲網にある隙間を攻撃した連合軍がそこからフランス軍の背後に回りこみ、彼らを敗走に追い込んだ様子が描かれている。
 この戦闘についてはもっときちんとした地図("http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8443395m."や"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8493325b.")もある。分かりやすさでいったらむしろこちらの方がいいくらいだ。それでも敢えて絵図を作った理由は、おそらくそうしたものへの需要があったからだろう。どのような需要であったかまでは分からないが、正確さより見栄えを重視する向きが一定数いたであろうことは窺える。

 ちなみにGallicaを探すと1805年に描かれた長崎(Nangasaki)港の図"http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8494451g."なんてものも見つかる。もちろん出島(Desima)も描かれている。日本が決して世界から孤立していたわけではないことが分かる。
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