電王戦FINAL

 将棋の電王戦が終わり、初めて棋士側が3勝2敗で勝ち越した"http://dd.hokkaido-np.co.jp/entertainment/igo-shogi/igo-shogi/1-0122191.html"。棋士側が事前研究によってコンピューター側の穴を見つけることができた対局が多かったことにより、こうしか結果がもたらされたようだ。コンピューター将棋協会の会長は「プロ棋士がコンピューターの指し筋を研究し尽くして、弱点をついた」"http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150411/k10010045161000.html"と指摘している。
 思えば昨年の対戦後に書いたエントリー"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/54599737.html"で、以下のような指摘をした。

「個人的には逆に若手で対戦スケジュールに余裕があり、それでいて将来有望なプロだけを揃える方法も面白いと思う。勝率を上げるだけなら、人間同士の対戦で忙しいトッププロより、若手プロの方がバグ取り研究に専念できる時間も長そうだし集中力も高いだろう。対コンピューター戦に特化したプロジェクトチームを作り、とにかく1回は勝ち越しを目指す、といった方法もありかもしれない」

 今回、将棋連盟が用意した棋士の平均年齢は26.2歳であり、30歳を超えていた過去2回に比べて一気に若返っている"http://ozpa-h4.com/2014/10/28/denou-sen-final/"。おまけに通算成績の勝率も高いようであり、本気で勝ちを狙って想定通り勝った、という展開になった。
 では今回は将棋連盟だけが成功者なのかというと、そうとも言えない。少なくともコンピューター将棋側にしてみればプロがバグ取りをやってくれたようなものであり、その点では彼らにもメリットがあった(最終戦はアマレベルで判明していた弱点を突かれたので、あまりそうは思わないだろうけど)。今回の結果を利用して一段とコンピューターを強くさせられれば、充分に勝利と言えるだろう。
 もちろん敗者もいた。客だ。特に2局目と5局目はいかにもバグのせいで勝ったかのような展開になっており、見る側にしてみれば不満の残る展開だったことだろう。一般的に言うと、がっぷり組み合って勝敗が決まるような対局こそが「見世物」としては優れている。バグのために49分で終わる対局は、やはり面白いものではあるまい。
 そう考えると、今回をFINALとしていた主催者側の判断は結果として正しかったことになりそうだ。今のレギュレーションであれば、プロ側が本気を出して対策を採ると同じようにつまらない見世物になる可能性がある。ドワンゴは今後も形を変えた電王戦の継続を望んでいるようだが、人間対コンピューターだと(人間側の準備次第だが)また似たような展開になりかねない懸念はある。
 だからと言ってアドバンスド将棋がいい、というわけにはいかないのが悩ましいところ。将棋より先にコンピューターが強くなったチェスの世界では、アドバンスド・チェスには人気がないらしい"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/55031456.html"。結局は人間同士の対戦にこそ人間は興味を持っているのだから。
 こうした困難を乗り越えて、新しい興行形態をうまく思いつくことができるのか。ドワンゴの実力が試される展開だな。
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