「個人的には逆に若手で対戦スケジュールに余裕があり、それでいて将来有望なプロだけを揃える方法も面白いと思う。勝率を上げるだけなら、人間同士の対戦で忙しいトッププロより、若手プロの方がバグ取り研究に専念できる時間も長そうだし集中力も高いだろう。対コンピューター戦に特化したプロジェクトチームを作り、とにかく1回は勝ち越しを目指す、といった方法もありかもしれない」
では今回は将棋連盟だけが成功者なのかというと、そうとも言えない。少なくともコンピューター将棋側にしてみればプロがバグ取りをやってくれたようなものであり、その点では彼らにもメリットがあった(最終戦はアマレベルで判明していた弱点を突かれたので、あまりそうは思わないだろうけど)。今回の結果を利用して一段とコンピューターを強くさせられれば、充分に勝利と言えるだろう。
もちろん敗者もいた。客だ。特に2局目と5局目はいかにもバグのせいで勝ったかのような展開になっており、見る側にしてみれば不満の残る展開だったことだろう。一般的に言うと、がっぷり組み合って勝敗が決まるような対局こそが「見世物」としては優れている。バグのために49分で終わる対局は、やはり面白いものではあるまい。
そう考えると、今回をFINALとしていた主催者側の判断は結果として正しかったことになりそうだ。今のレギュレーションであれば、プロ側が本気を出して対策を採ると同じようにつまらない見世物になる可能性がある。ドワンゴは今後も形を変えた電王戦の継続を望んでいるようだが、人間対コンピューターだと(人間側の準備次第だが)また似たような展開になりかねない懸念はある。
こうした困難を乗り越えて、新しい興行形態をうまく思いつくことができるのか。ドワンゴの実力が試される展開だな。
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