NFLのゲームにおいて最も大切なクウォーターは最後の勝負を決める第4Q、ではない。むしろ第4Qは最も大切「でない」Qだ。少なくとも各Qにおける得点や失点とシーズン勝率とを比較するとそういう結論になる。32チームになった2002シーズン以降についてシーズン勝率と各Qごとの得点、失点、得失点差との相関係数をまとめると、以下のようになる。
得点
1Q +0.515
2Q +0.600
3Q +0.563
4Q +0.483
失点
1Q -0.495
2Q -0.502
3Q -0.400
4Q -0.334
得失点差
1Q +0.638
2Q +0.709
3Q +0.640
4Q +0.577
得点、失点、得失点差どれを見ても第4Qの成績と勝率との関係は薄い。なぜか。おそらくその時点までに勝負がついているゲームが多いためだろう。第3Q終了時のリードが1~3点しかなくても、そのチームの勝率は0.623に達する。4~7点差であれば0.740と4回に3回は勝てる計算だ。第3Qまでにリードを奪うことが実はかなり重要であり、逆に第4Qで多少の点を取っても効果は乏しいようである。
代わりに大切なのは第2Q。得点においても失点においても、勝率との相関が最も高いのは実はこのQだ。そして得失点差になると相関度は「強い」といわれる0.7まで到達している。第2Qの攻防が勝敗に直結、とまでは言わないにしてもかなり大切であることは確かだろう。
オフェンスにとって次に大切なのは第3Q、ディフェンスにとっては第1Qとなる。得失点差では第1及び第3Qはほぼ等価だ。ここから想定できる対策となると、まずディフェンスは序盤から全力を挙げ、オフェンスは中盤に得点を重ねる努力をするべきとなる。
それにしてもなぜ第2Qが重要なのだろうか。まず得点の累計を見ると、前半では第1Qより第2Qの方が、後半は第3Qより第4Qの方が高い。前後半それぞれ3回ずつ与えられているタイムアウトの消費が後ズレしやすいこと、加えて2ミニッツがあることなど、第2及び第4Qのプレイ回数が第1及び第3Qより多くなりがちなのが理由だろう。
そして前後半の重要度を見るなら前半の方が大切である。アメフトはリードを奪った方が優位を広げやすいスポーツだ。だから前半の得点と前半の失点が大きな意味を持つし、同じ前半ならより得点が入りやすい第2Qが重要となる。
ちなみに第2Qの得点が最も多かったのは07シーズンのNew England(199点)で、以後09シーズンのNew Englandと14シーズンのNew England(183点)、12シーズンのNew England(177点)が続く。冗談ではなく本当に1位から4位までがNew Englandなのだ。5位になってようやく09シーズンのNew Orleans(176点)が登場し、14シーズンのPittsburgh(167点)、11シーズンのNew Orleansと03シーズンのSeattle(166点)が続く。
逆に第2Qの失点が最も少ないのは04シーズン及び10シーズンのPittsburghと11シーズンのSan Francisco(42点)が並んでいる。その後には05シーズンのPittsburghと02シーズンのTampa Bay(49点)が続いており、こちらの方ではPittsburghこそが勝利に最も近いチームとなる。見ての通り、トップ5チームのうち3チームがSuper Bowlにまで進出している。
この期間中の勝率が最も高いのはNew England、3番目に高いのがPittsburghだ。第2Qに強さを発揮したチームが、実際に勝利を手に入れているのである。ゲームの鍵を握るのはまさに第2Qなのだ。
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