「まん延するニセ科学」について

 いつもネット界のメインストリームからはかけ離れた話ばかり書いているが、たまには流行の話題も取り上げてみよう。NHKで放送され、youtubeにも載って話題になり、挙げ句の果てには「テンプレ」まで作られてしまった「まん延するニセ科学」(テキストはこちら"http://d.hatena.ne.jp/f_iryo1/20061221/shiten")についてだ。
 出演している大阪大学の菊池教授のblogは以前からROMしていた。私はトンデモ本の世界などが好きで、ニセ科学関連のサイトも時々見て回っていたのが理由。菊池教授が以前からニセ科学の問題について懸念していたことは知っていたし、同じ問題意識を抱いている学習院大学の田崎教授が書いている「水からの伝言」を信じないでください"http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fs/"や、山形大学の人がやっている水商売ウォッチング"http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.html"などもよく見ていた。ついでに環境リスク論を唱えている中西準子氏のサイト"http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/"も紹介しておく。いずれも非常に参考になるサイトである。
 菊池教授の番組に戻ると、そこで言っていることは(ニセ科学関連のサイトを見ていた人間にとっては)特に目新しいものではなかった。当然の主張が当然のように述べられているだけであり、限られた時間でテーマを絞って話をしているという印象も強かった。要するに、私自身は(教授の言っていることには全面的に同意するが)特に感銘を受けることはなかったのである。
 しかし、どうもこの番組がネットでは随分と評価されているらしい。テンプレはまあよくある遊びの一種だろうが、それは別にしても「よく言ってくれた」とか「NHKはよくこれを流した」とか書いている人が案外多いのだ。我が意を得たりという反応がここまで多いというのは正直びっくり。いや、もちろん私だって菊池教授の指摘には同意なのだが、そんなに感動するほどの発言なのだろうか。
 おそらく、普段からよくテレビを見ている人にとってはそうなのだろう。民放でニセ科学どっぷりの番組やらCMやらが流れるのはおそらく当たり前で、NHKでもしばしばそうした番組が制作されている。その中で「ニセ科学をニセ科学だと言い切ってくれる」人は、少なくともブラウン管(もしくは液晶画面やPDP)の中にはほとんど見当たらなかったのではないか。もちろん、私がやったようにネットを探せばそうした言説はたくさん見つかるのだが、自分で積極的に探そうとしなければ見つかりにくいものなのかもしれない。
 テレビを主に見ている人、ネットも見ているがテレビも見ている人にとっては、世の中はニセ科学的言説で溢れ返っているように思われているのだろう。でなければ、菊池教授の10分程度の番組に対してあそこまでの反響があることが理解できない。私のようにテレビを(ニュースとスポーツを除いて)ほとんど見ず、ネットでも自分の関心あるもの以外には見向きもしない人間の目には、あまりニセ科学的言説は入ってこない。入ってくる時も「水商売ウォッチング」を経由していたりする。だから、菊池教授の発言にも「まあ当然だよな」程度の反応しか浮かんでこない。
 菊池教授はblog内などで、ニセ科学をニセ科学であると断言してくれることを求める需要はかなり多いのではないか、といった内容の話をしている。それはつまり、ニセ科学にうんざりしている人間がそれだけ大勢いることを示すと同時に、(テレビを見ない私のような偏屈人間には見えないが)世の中にいかにニセ科学が蔓延しているかの証左でもあるのだろう。

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