オフェンスのスキーム

 Pro-Football-Reference"http://www.pro-football-reference.com/"にはチームごとにOffensive Scheme、Defensive Alignmentというものが載っている。後者は3-4や4-3なので分かりやすいが、前者はなかなか複雑。紹介されているスキームは全部で8種類あり、各シーズンごとにチームがどのスキームを採用しているかが確認できる。古い時期になるとどのスキームを採用しているか書いていないチームもあるが一部は1957シーズンまで遡ることが可能だ。
 それぞれのスキームに関する説明はおそらくこちら"http://en.wikipedia.org/wiki/Offensive_philosophy_%28American_football%29"を参照するのがいいんだろう。チームが採用しているスキームについてはHCやOCの人選を根拠にしているのかもしれないし、他に何か調べる方法があるのかもしれない。実際にはチームごとに、また年代ごとに内容はかなり変わっていると思われるが、こうしたデータを基に調べてみるのも面白いかもしれない。

 というわけで32チーム体制になった2002シーズン以降、どのスキームが採用されどれだけの成績を収めているかをまとめてみた。対象はプレイオフを含んでいる。
 最も多かったのはWest Coast。wikipediaによると「パスでボールコントロールするオフェンス」ということになる。もちろん有名なのはSan FranciscoのHCを務めたBill Walsh。非常に採用するチームが多いスキームであり、2002-14シーズンの間に32チーム中28チームが何らかの形で採用している。
 特に多いのがSeattle(227試合)とGreen Bay(225試合)で、それに次ぐのがPhiladelphia(190試合)と圧倒的にNFCで好まれるオフェンスだ。一方でTampa Bay(77勝88敗)、Oakland(58勝105敗)と負け越しチームでも採用しているところがあり、全体の成績は1365勝1418敗5分、勝率.490と僅かに負けが先行している。広く使われているだけに対処もしやすいのかもしれない。
 ディフェンスのアラインメントに対する成績を見ると、4-3ディフェンスに対しては勝率.504だが、3-4が相手だと.457と低下。これを見ると、West CoastがPittsburgh、Baltimore、San Diegoなど3-4の多いAFCであまり流行らず、Seattle、Giants、Carolinaといった4-3の多いNFCで広く使われる理由について想像がつく。
 次に多いのがAir Coryellだ。ディフェンスに全フィールドを守らせるため、タイミングとリズムに基礎を置いたパスを使うのが特徴だそうで、代表例はPeyton時代を中心としたIndianapolis(194試合)。他にSan Diego(184試合)やNew Orleans(154試合)といったチームも採用度が高い。優秀なQBの能力をフルに生かそうとするスキームだろう。
 いいQBを抱えるチームが多いためか勝率も.522(1143勝1046敗2分)と高い。ただハードルはWest Coastより高いのか、採用したことがあるのは23チームにとどまる。ディフェンスとの相性でいくと4-3が相手の時に勝率.541、3-4が相手だと.480となるのでこれまたNFC向けにも思えるが、採用チームにそれほど偏りはない。
 Erhardt-Perkinsは寒冷地での効率性に重点を置いたシステムで、見た目は複雑だが実行に際してはランとショートパスに基礎を置いたシンプルなやり方を行うのが特徴だという。New England(197試合)が典型例で、他にGiants(171試合)、Pittsburgh(137試合)といった寒い地域のチームでの採用が多い。勝率は最も高い.524(678勝615敗2分)で、使ったことがあるのはリーグの半分に当たる16チームだ。ディフェンスアラインメントとの相性は4-3が.547、3-4が.481とやはり対4-3の方が成績がいいが、3-4に対する勝率はこれまで紹介したスキームの中でも最も高い。
 BalancedはwikipediaではPro Styleと呼ばれているスキームだ。これまで紹介したスキームを含めた様々なオフェンスシステムをバランスよく使う方法であり、それだけ複雑なことをやる仕組みとも言える。大学や高校ではほとんど使われないとされているが、NFLでも使用はあまり多くないようで、実際に採用しているチームは4つ。勝率も.438(78勝100敗)と決してよくない。
 SpreadはBalancedとは逆に大学での使用を中心に広まってきた。多数のWRを置き、ショットガンからノーハドルで攻めるスタイルだが、パスだけでなくランも活用する。PhiladelphiaでChip Kellyが行っているオフェンスがその代表だが、勝率は.457(75勝89敗)と今一つだ。ただ最近は採用チームも増えてきており(7チームが経験済み)、これから流れが変わるかもしれない。
 Smashmouthは古いタイプのスキームで、ランを中心にボールコントロールをするものだ。これまた採用したチームは4つと少なく、しかも2013シーズン以降に使っているところはない。勝率は.490(72勝75敗1分)とそれなりの水準だが、どちらかと言うと消えつつあるスキームだろう。
 Verticalはディープパスとパワーランを組み合わせたオフェンス。60年代から70年代にかけて使われた手法だが、正直今では使われない。最近では06シーズンにOaklandが使ったことがあったが、勝率はたったの.125(2勝14敗)にとどまっており、以後どのチームもこのスキームを使ってはいない。今後も使われる可能性は少ないだろう。
 あとRun-and-Shootというスキームもある。レシーバー4人がディフェンスを読んでルートを選び、QBはその動きを予想したうえでパスを投げるという仕組みだ。大学が中心で、NFLではWarren Moonが率いたHouston Oilersが典型だったが、使われたのは90年代まで。今では使用しているチームは存在しない。こういうものも流行り廃りがあるってわけだ。
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