論文そのものはこちら"
http://behl.berkeley.edu/files/2014/10/WP2014-03_londono_10-3-14.pdf"。どうやら所得税の最高税率とmass mobilization、及び男子普通選挙の導入という3つの指標に関して相関関係を調べたらしい(p10)。結果、男子普通選挙よりも大量動員のあった時期に最高税率が高くなる傾向が見られたようだ(p14-15)。結論は「20世紀における累進所得課税の発生は戦争の産物であり、民主制の産物ではない」(p24)というもの。また一度導入された累進性は戦争が終わってもすぐ元には戻らなかった。大量動員がなくても累進性を高めた国(北欧)があるため、戦争が累進課税をもたらす唯一の道ではないと思われるが、戦争が決定的な役割を果たしたのは事実だそうだ(p25)。
つまり手っ取り早く平等をもたらし格差を解消したければ、民主制に頼るより戦争を始める方がいいってこと。戦争に勝つためだ、という大義は金持ちどもから財産を吐き出させる最良の口実になる。加えて戦争関連で発生したインフレが事実上の税金として預金や国債の持ち主から財産を収奪することも考えれば、まさに戦争こそ格差解消の最良手段とも見える。
より正確に言うなら、直近の国家は戦争という口実さえあれば金持ちという強者であっても容赦なく収奪できるほどの力を持っているということ。まさにリヴァイアサンである。もちろん戦争がなくなれば再び累進課税が弱まることはある。最近の米英がそうで、第二次大戦直後の極めて高い最高税率はかなり引き下げられた。それでも第一次大戦前の極めて低い水準に比べればまだ高い位置にある(p15)。リヴァイアサンの力は多少引き下げられるとしても、決して消えてなくなることはないようだ。
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