あるNFL選手の肖像

 以下はあるNFL選手の新人年からの記録である。

1 1.76
2 0.93
3 2.72
4 2.79
5 2.90
6 2.41
7 2.59
8 1.34
9 0.24
10 0.78

 3年目から2%台後半を続けてきた数値が8年目に急激に下がっている。2年目は他の年に比べてプレイ回数が少ないので例外だとすると、入団当時から7年目まで変わらなかった数値が8年目以降になって変化したことになる。
 年を取って衰えたのだろうか? そうではない。実はこの数値、小さい方がいいのである。上に掲げたデータは「ファンブル率」、そして取り上げた選手は今シーズン限りで引退するNYGのTiki Barberだ。
 今ではTiki the Greatなどと呼ぶ人もいるが、昔の彼はむしろTiki the Fumbleと呼んだ方がいい選手であったことは、少し前のことを知っているファンなら記憶に残っているだろう。実際、3年目から7年目までの彼のファンブル率はKevin Faulkより酷い。
 しかし8年目(2004シーズン)になっていきなりこの数値に改善の兆しが見えてきた。それが偶然でなかったことは9年目、そして10年目を見れば一目瞭然だ。驚くべきことに、NFL8年目のベテランでもなお成長するという事実を彼は身をもって示したのである。
 1年目や2年目の選手が成長するのは珍しくも何ともない。Breesのように3年目になって花開く選手もある。だが、8年目になってそれまで全く改善しなかったファンブル率を引き下げることができた選手というのはおそらくかなり珍しい。30代になってラッシング自己最高をたたき出したのは若い頃に酷使されなかったのが理由だと推測できるが、ファンブル率の向上はそれとは関係ない。とにかく、変わった選手である。

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