世代別QB活躍度


 NFLの新人QBがどの程度活躍しているかについて、以前触れたことがある"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/53609890.html"。今度は新人だけではなく、他のQBも含めて調べてみた。具体的にはQBを若手(1~4年目)、中堅(5~8年目)、ベテラン(9~12年目)、ロートル(13年目以降)に分け、そのAdjusted Net Yardsの絶対値及び相対ANY/A(リーグ平均との比較)を産出した。対象はチーム数が32となった2002シーズン以降だ。
 例えば2014シーズンの若手QBのANYは39762、相対ANY/Aは-0.59となる。リーグ全体のANYに占める比率は34.3%となかなか多い。11年や12年というドラフト豊作期にNFL入りし、そのまま先発に定着しているQBたちが対象となっていることが理由の一つだろう。ただ相対ANY/Aは13シーズンの-0.28よりは悪化。今シーズン若手QBたちの不調がそのまま数字に表れている。
 NFLではベテランより若手が優遇されているという話は以前からしているが、実際若手のANYは中堅、ベテラン、ロートルのいずれをも上回っている。過去に遡ってみるとANYの比率は2012シーズンが38.2%、11シーズンが35.1%とより高かった時期もあり、若手優遇が今に始まったわけではないことも窺える。逆に低かった時期としては例えば09シーズン(22.0%)のような例がある。
 ANYの比率は歳を取るに従って低下する傾向がある。ただし時期によって差は生じる。例えば中堅の場合、足元は14.9%とかなり低い水準にあるが、10シーズンには41.7%と当時の若手(25.5%)よりずっと高かった。この時は2003~06年にNFL入りしたQBたちが中堅となっており、花の04年組(Ben Roethlisberger、Eli Manning、Philip Riversなど)と05年ドラフトのAaron Rodgersがいたことが寄与していたのだろう。しかし彼らがいなくなった後は中堅の活躍が目立たなくなっている。その後にしばらくQB不作が続いていたことが分かる。
 しかしそれよりも足元の特徴として目立つのはベテラン以上の活躍だろう。ベテランのANY比率は28.8%と過去最高に達しており、ANYの絶対値も33425と文句なしで最大だ。ロートルについてもANY絶対値が最大となったのは13シーズンの16423であり、次が14シーズンの15989。14シーズンのベテラン枠は10シーズンの中堅枠と全く同じで、引き続き04年組とRodgersらが活躍。ロートルに関してはもちろんPeyton Manning、Tom Brady、Drew Breesが引っ張っている。
 世代別QBのANYを積み上げたグラフを載せておいたが、見ての通り11シーズンを境にベテラン以上の活躍が増える展開になっている。それ以前に最もベテラン以上が活躍していたのは03シーズン。既に当時からロートルだったBrett Favreに加え、ベテラン扱いのBrad Johnson(年齢はFavreより上)やTrent Green、Steve McNairなどが頑張っていた時代だ。だが今では当時よりさらにANY比率が高い。選手寿命が長くなっているのだろうか。

 世代別QBの相対ANY/Aを見ると、基本的に若手のうちは大きなマイナスにとどまっている。その後、中堅になると大きく改善し、ベテランでピークをつけ、ロートルになると低下する。年ごとに違いはあるが全体としてはそういう流れが多い。
 若手の相対ANY/Aが最も良かったのは08シーズンの-0.24、最も悪かったのは09シーズンの-1.21だ。たった1シーズンで極端に低下した格好だが、Rodgersが若手から中堅になったこと、新人年にいい成績を残したMatt Ryanが2年目のジンクスに陥ったこと、及びJay CutlerがDenverからChicagoに移って「魔法の杖」(有能なコーチ陣)の支援を失ったことが要因だろう。もちろん、06シーズン以降にNFL入りしたQBたちが不作だったのが最大の理由だ。
 中堅、ベテラン、及びロートルの相対ANY/Aがピークをつけたのは、いずれもそのカテゴリーにPeytonが所属していた時だ。中堅の場合は04シーズンの+1.07で、Peytonが当時リーグ最多だったシーズン49TDを記録した年だ。他にDaunte CulpepperやDonovan McNabbがまだ元気で活躍していた。ベテランだと09シーズンの+0.84で、この年はPeyton以外にBreesとBradyも頑張った。ロートルの場合は13シーズン(+1.59)で、Peytonの数字の凄まじさはご存知の通り。
 逆に相対ANY/Aが最も低いのは中堅の場合13シーズンの-0.49だ。お気づきの通り、09シーズンに新人としてダメ記録を作った連中が、今度はその4年後に中堅としてのダメ記録を確立している。次は17シーズンにベテラン最低記録を作るかもしれない。ちなみに現時点でベテラン最低記録は04シーズンの-0.26。彼ら(Green、Kerry Collins、Drew Bledsoe)の成績が悪かったというより、Peytonがリーグ平均を引っ張り上げすぎたことが理由だ。
 最後にロートルの最低記録だが、今のところは08シーズンの-0.81である。Favreの成績が急落し、他に頑張ったのはCollinsのみという状態がこの結果をもたらしたようだ。ただしロートルの相対ANY/Aがマイナスになった事例は他にも04、06、07、10、11シーズンがあり、この世代になるといかにキャリアを積んだQBたちであっても成績低下が避けられない様子が窺える。

 来年以降はどうなるだろうか。ロートル枠にいる3人(Peyton、Brady、Brees)がいつまでも過去のような活躍ができないことは確かだ。また15シーズンになればPalmer、16シーズンには花の04年組、そして17シーズンにはRodgersもベテランからロートル枠へと移行する。代わりにベテラン枠へ入って来るのがダメQB世代(06~10年組)。ベテランは元来、最も高い相対ANY/Aを出すべき世代なのだが、これから数年後にはそこがむしろ足を引っ張る懸念が出てくる。
 現在の若手枠の連中が中堅へと移行する中で現状より高い成績を出せるようにならない場合、もしかしたらリーグ全体で進んでいるQB成績のインフレが鈍化するかもしれない。実際そのインフレは凄まじいもので、リーグANY/Aの絶対値は03シーズンの5.20から14シーズンは6.14と10年強で実に1ヤード近くも上昇。10年前の一流QBが今では二流QBになってしまうのが現状なのである。果てしなく加速しているように見えるパス効率向上の流れが、すこし変わる可能性がある。
 ちなみにダメQB世代がどれだけダメかというと、10ゲーム以上先発したQB24人のうちANY/A+が100以上のQBが3人しかいないことからも良く分かる。その3人も最高がRyanの107で、後はStaffordの101、Cutlerの100と実は平凡な成績。それに対し03~05年組はダメQBたちの半分の期間で10ゲーム以上先発を22人輩出し、しかもANY/A+100以上が7人いる。Rodgers、Rivers、Roethlisbergerは110以上で、さらにSchaubが109と、内容も圧倒的だ。さらに1998~2002年組は29人中12人が100以上。Peyton、Brady、Breesが110以上でPenningtonが109、Culpepperが107とRyan以上だ。
 つまりダメQB世代より下の若手たちの奮闘に期待するしかないのだが、これも微妙。確かに11~14年組は18人中6人がANY/A+100以上とそれなりに頑張っているものの、110以上は2人だけであり、うち1人がFolesというあたりも心配が募る。せめてLuck(105)とKaepernick(105)くらいはもう少し上の成績を残してもらいたいところだ。
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