天敵

 ネメシスという言葉がある。ギリシャ神話の女神に由来するのだが、英語圏では「歯が立たない[かなわない]敵」"http://eow.alc.co.jp/search?q=nemesis"という意味で使用されることが多い。日本語に訳すなら「天敵」だろうか。
 NFLの世界にも天敵はいる。特定のQB相手に何度も敗北すれば、それはネメシスと言えるだろう。ただし負けた回数が多いだけでは天敵とは言いがたい。あるQBが相手の時は10勝10敗、別のQBを相手にした時は1勝9敗であれば、敗数の多い前者より負け越した数が多い後者の方がより天敵にふさわしいだろう。そこで以下ではあるQBを相手にした時の「借金」が最も多い相手をネメシスと認定する。
 NFLの32チームについて、Pro-Football-ReferenceのPlayer Game Finder"http://www.pro-football-reference.com/play-index/pgl_finder.cgi"で遡れる1960年以降を対象に、チームごとにネメシスを探してみたところ、以下のような結果になった(プレイオフ含む)。

最凶のネメシス
 Buffalo BillsにとってのTom Bradyはリーグでもトップのネメシスである。何しろ対戦成績は3勝23敗で借金20。13年間もホーム&アウェイで戦って3回しか勝っていないのだから、悪夢のような存在であることは確かだろう。ちなみに勝ったのは2003シーズンの開幕週、11シーズン第3週、及び14シーズン最終週であり、Buffaloに負けた年にBradyはいずれもSuper Bowlまで到達している。

Brady被害者の会
 同じAFC東の残りチームにとってもBradyはネメシスだ。Jetsは7勝21敗の借金14、Miamiは8勝18敗の借金10で、いずれもチームにとって最多の借金となっている。ここからネメシスになりやすい条件が浮かび上がる。長期にわたって活躍したQBは、同じ地区の他チームにとって天敵となる条件を満たしやすい。

最凶のネメシス その2
 借金で見ればBuffaloにとってのBradyが最悪だが、負けた数で見ればDetroitにとってのFavreこそが天敵の中の天敵となる。成績は9勝28敗の借金19。リーグでもQBとして最も長いキャリアを誇るFavreだけに、ずっと同地区で戦っていればこういうことになる。

Favre被害者の会
 同じく同地区のChicagoにとってもFavreは13勝23敗、借金10のネメシスだ。また地区再編前には同地区にいたTampa Bayも7勝16敗の借金9でFavreが天敵となっている。変り種はSan Franciscoだ。地区が異なるので対戦回数はそれほど多くないのだが、負けに負けた結果2勝12敗、借金10でやはりFavreがネメシスになっている。

お得意様多数
 Favreと並んで4チームから天敵扱いされているのがPeyton Manning。やはり同地区にいたHoustonが3勝17敗の借金14、Jacksonvilleが5勝15敗の借金10となっているほか、最近同地区になったKansas Cityが1勝13敗の借金12とやりたい放題にやられている。もう1つは少々以外だがBaltimoreの3勝10敗、借金7だ。Baltimoreは地区内対戦で大きく負け越しているQBがいないため、結果的にPeytonが天敵の位置に滑り込んでしまった格好だ。

古い天敵
 天敵となっているQBで最も古いキャリアを持つ人物はSonny Jurgensenだろう。1974年を最後に現役を退いた彼だが、1960年代に同地区だったPittsburghにとっては3勝10敗1分の借金7と、そこそこのネメシスになっている。またDenverにとってのLen Dawson(2勝20敗、借金18)、New EnglandにとってのJoe Namath(3勝15敗1分、借金12)、GiantsにとってのRoger Staubach(1勝16敗、借金15)、Philadelphiaにとっての同じくStaubach(3勝14敗、借金11)なども古いネメシスだ。

天敵なし
 Carolinaはネメシスらしい相手が存在しない。敢えて上げるならGus Frerotte、Tony Romo、Russell Wilson(いずれも0勝4敗)となってしまう。同地区に圧倒的な相手がいないとこういうケースも生じる。またKerry Collinsの名前が出てくるDallas(3勝9敗、借金6)も、あまり天敵という感じはしない。MinnesotaにとってのAaron Rodgers(4勝10敗、借金6)は、今後もっとネメシスらしい存在へ成長する可能性はある。

その他
 RoethlisbergerはCleveland(2勝18敗、借金16)、Cincinnati(6勝17敗、借金11)にとって、MontanaはNew Orleans(2勝15敗、借金13)とAtlanta(6勝15敗、借金9)にとって、ElwayはSan Diego(10勝21敗、借金11)とSeattle(9勝20敗、借金11)にとって、いずれもネメシスとなっている。同地区複数チームの天敵として名を残しているのだから、やはり有能なのだろう。
 天敵が2人いるのがWashington。Phil SimmsとEli Manningを相手にいずれも6勝15敗、借金9を記録している。どうやら同地区に全盛期のDallasがいた時はWashington自体もそこそこ強かったため、あまり借金を積み上げずに済んだようだ。
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