若手QB 2014

 レギュラーシーズンの成績を元に若手QBについての2014シーズンの評価をしてみよう。まずは新人。データは左からパス成功率、TD数、Int数、NY/A、ANY/Aだ。

Blake Bortles
58.9% 11 17 4.84 3.81

Derek Carr
58.1% 21 12 5.01 4.82

Teddy Bridgewater
64.4% 14 12 6.05 5.46

 BortlesとCarrの数値は昨年のGenoとManuelに果てしなく似ている。ANY/A+(今年に関してはリーグ平均が大きく上昇したのであまり適切な比較には使えないのだが)もGenoの1年目が76に対してBortlesが72、ManuelとCarrは揃って85となっており、2年目にして先発失格の烙印を押された先輩2人を髣髴とさせる存在だ。2002年以降に新人年でANY/A+が85以下だったQB18人のうち、今でもドラフトチームの先発を続けているのはStaffordのみであり、いくら1年目といってもこの成績はよろしくない。特にBortlesは表面的な数字でもGabbertを少し良くした程度でしかないのが気になる。Jacksonvilleは3年の間を置いて「2代目Gabbert」をドラフトしてしまったのではないだろうか。
 唯一まともなのはBridgewater。特にパス成功率は1年目にしてリーグ平均を上回っており、将来に向けて安定したパフォーマンスが期待できる。何しろ2002年以降で新人時のComp%+が100以上だったQBたちを見るとWilson、Ryan、Palmer、Roethlisbergerとなかなかいい名前が並んでいるのだ。まあGriffinとかFolesといったちょっと微妙な名前も入っているが、それを含めてもまだよくなる可能性の方が高いのだから充分だろう。Minnesotaはいい選手を拾った、というかMinより先にQBを指名したJaxとClevelandは何をしていたのかと言われかねないな。
 なお224試投に達していないがもう1人のドラ1巡選手のManzielは51.4%、0、2、3.92の1.55と惨憺たる有様。母数が小さいからあまり気にしても仕方ないのだが、やはり新人であるConnor ShawのNY/A(4.69)とANY/A(3.28)より低いってのは色々と問題かもしれない。Manzielについては大学時代のハイライトフィルムくらいしか見ていないのだが、正直脳裏に浮かんだのはTebowであった。

 次に2年目、と言っても1人しかいないが。

Geno Smith
59.7% 13 13 5.95 5.13

 前年に比べればANY/Aで1ヤード近くも上乗せしているのだが、インターセプトの減少効果が大きく実際はあまり褒められた数字ではない。ANY/A+は89だったのだが、2年目にこの数字が90以下だったQB(2002年以降で21人)のうち、今シーズンもドラフトチームで先発を最後まで続けられたのは3年目のTannehillだけ。後はHarrington、Boller、Losman、Young、Tebow、Ponder、Locker、Gabbert、Weedenなど、bustな1巡QBのオンパレードだ。Jetsはチームの大掃除に取り掛かるだろうし、Genoが残れるチャンスはどのくらいあるだろうか。

 3年目。

Austin Davis
63.4% 12 09 5.82 5.29
Ryan Tannehill
66.4% 27 12 5.83 5.83
Nick Foles
59.8% 13 10 6.53 5.93
Russell Wilson
63.1% 20 07 6.54 6.72
Andrew Luck
61.7% 40 16 7.15 7.28

 控えから急遽先発に回ったDavisはまあこんなもんだろう。問題はTannehillだ。今年は妙に高い評価を受けており、実際に昨年より成績は上向いているが、それでもリーグ平均には及んでいない。NY/A+は91で新人年(93)の方がマシなほどだし、パス成功率の急上昇以外は特に変化したところが見当たらないのが実情だ。というかこれだけ高い成功率のくせにANY/Aでリーグ平均以下なのはむしろ異常。成功率が極端に変わってもY/Aが1年目から6.8→6.7→6.9とほとんど変わっていないところにこそ、彼の本質があると見た方がいいんじゃなかろうか。だとするとこれからさらに成長すると見るのは難しいと思う。
 昨年から成績が落ちたのがFolesとWilson。ただしFolesはそもそも落ちるだろうと見ていたので予想外ではない。また彼の成績はおそらくKelly効果でかなり下駄を履かされている(SanchezがANY/Aで1.4ヤードもプラスされたのも一例)ので、現時点での彼の成績を額面通りには受け取らない方がいいだろう。実力的にはTannehillと変わらない水準かもしれないのだ。一方Wilsonの成績は確かに低下したが、下げ幅はNY/Aで0.3、ANY/Aで0.4弱なので気にするレベルではない。パス成功率は前年と全く同じだし、誤差の範囲と考えて問題ないだろう。
 そして大成長を見せたLuck。さすがPeyton以来となる「実質2年連続全体1位指名」の男だ。これまでは母数の大きさで効率の悪さが隠されていた面があったが、今年は高い効率を維持しつつ40TD、4700ヤード超を成し遂げており、文句のつけようがない。ただし将来が楽観できるかというと、そうでもない。3年目にANY/A+110以上を記録した2002年以降のQBを見るとLuck以外にPennington、Romo、Rivers、PalmerなどいいQBもいるが、Bulger、Leftwich、Cutler、Staffordなど後で伸び悩んだQBも結構いるのだ。Luckのパス成功率がリーグ平均を下回っているのも気になるところである。

 最後に4年目QB。若手と呼ばれるのもこのあたりまでだろう。

Cam Newton
58.5% 18 12 5.82 5.45
Colin Kaepernick
60.5% 19 10 5.71 5.58
Andy Dalton
64.1% 19 17 6.51 5.74

 新人豊作年のデビュー組として華々しい活躍を見せていた彼らだが、みんな伸び悩んだなあ。3人揃ってANY/Aはリーグ平均(6.13)を下回る状態。NY/AならどうにかDaltonがリーグ平均より上だし、パス成功率でもDaltonは平均より上だが、それ以外にはあまりいいところがない。4年目でANY/A+が似た選手を調べるとNewtonはAlex Smith、KaepernickはCulpepper、DaltonはGrossmanの名前が挙がる。いずれも微妙な選手ばかりだし、もう少し範囲を広げて見てもEli以外は今イチな選手ばかり(Eliが例外と見るべきだろう)。BreesやRomo、Roethlisberger、Rodgersなどはこの時点でANY/A+で110以上を記録しているし、晩成型に近いBradyもこの時点では既に107に達している。実績を残さなければならない年になっている状態でこの数字は褒められたものではないだろう。

 以上、実績面ではLuckとWilsonのみが評価に値する年だった。将来性まで見ればBridgewaterもありだろうが、それ以外は正直クエスチョンマークばかりが飛び交う状態。やはり今年は若手にとって厳しい年だったのだろう。
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