NFL wildcard playoff

 NFLではwildcardが終了。驚いたことにホームチームが4戦全勝してしまった。中でもSeattleの勝利は予想外、というかDallasのダメっぷりが予想外。最終的には1点差とはいえ、キックオフリターンTDがなければはっきり負けていたところである。RomoのFGホールドミスが話題になっているが、それ以前に彼の率いるオフェンスがろくに点を取れなかったことの方が問題だろう。しょせん彼は3年半も控えの地位から抜け出せなかったQBに過ぎない(しかもその間、彼の上にいたのはQuincy CarterとかVinny TestaverdeとかDrew Bledsoeである)。それに、FGのホールドに失敗した後、いつまでも俯いていたのはQBとしてどうだろうか。あの時点ではまだ試合は終わっていない(実際、最後にもう一度オフェンスの機会はあった)。打ちのめされることが問題なのではなく、打ちのめされたままいつまでも立ち上がろうとしないのが問題なのである。
 もう一つダメっぷりをさらけ出したのがKansas Cityオフェンス。特にOCを始めとしたコーチングスタッフはアホといわれても仕方ない。オープニングから7ドライブ連続の実質3&Out。それも良く見ると1回目のドライブは8 men in the boxでランプレイを、6 menの時にパスプレイをやるという、まるでIndyの注文に応じたかのようなプレイコールだ。オーディブルしなかったGreenも問題。この流れはその後も続き、2回目のドライブでは9 menでラン、3回目のドライブは8 menのランと6 menのパス。4回目はゴール前だったこともあるが、boxが人で溢れ返っているのにひたすらラン。5回目のドライブでも8 menのランと酷いプレイコールが続く。game managementの下手なHCとしてはよくCowherの名が上がっていたが、Edwardsもかなりのもの。Jetsは彼が勝手に出て行ってくれたことに大いに感謝すべきであろう。

 その中でNew Englandは21点差をつけてNew York Jetsに大勝。格好よく言えばボールコントロールに成功した。時間はNEの33分20秒に対しJetsが26分40秒だったし、プレイ回数もNEの73回に対しNYJは60回にとどまった。その割に獲得ヤードには差がない(NE358、NYJ347)。勝つうえで最低限の努力以上はしなかった(無意味に喪失ヤードを減らそうとはしなかった)あたりはこのチームらしい。
 Bradyの成績も見た目はまとも。というか今週出てきた他の7人のQBがどいつもこいつも酷い有様。Manningは呪われたようにLawにパスを投げていたし(KCファンの間からは彼が最もシュアなレシーバーだったとの声も出ている)Hasselbeckはパス成功率たったの50%。他のQBは軒並み200ヤード未満しか稼げず、唯一300ヤードに到達したPenningtonもレーティングは80弱にとどまった。次のラウンドで登場するQBでも「まとも」と断言できるのはBreesだけ。今年はダメQBの年らしい。
 NEの問題点としては、相変わらずのペナルティ祭り(7回59ヤード)と、ここ数試合なかったターンオーバーをやらかしたヤツが出てきた(Dillonは反省するように)ことが上げられる。そして、やはり最大の課題はディープパスだろう。オフェンスにとっても、ディフェンスにとっても。
 この試合でBradyがディープに投げた回数は5回で、通ったのは1回だけ(Gaffney)。20ヤード超のパスプレイにつながったのはこの1回だけであり、残る21回の「パス成功」は全て20ヤード以下である。ディープを取れなかった戦犯はJackson(2回中0回)とGraham(1回中0回)。この試合から復帰したのにそもそもディープパスを投げてもらえなかったWatsonにも責任があるだろう。もちろんBradyにも問題はある。ディープパスで一気にドライブを進めることができない分だけ、得点力に不安が残る。
 Gaffneyの活躍は想定外だったが、それ以外は今一つ。Watsonのレシーブ率は相変わらず半分強(4/7)だし、Caldwellはまたしてもショートヤード専門レシーバーに戻ってしまった。Bradyがあまり投げ分けられていないのも気になる。少なくとも2004年のような圧倒的な強さは全く感じない。
 ディフェンスの課題もディープ。Penningtonには5回のディープパスのうち3回を通され、123ヤードも稼がれた。あの肩の弱いPennington相手にこの有様である。次の試合はRiversの絶不調を期待するしかない。また、20ヤード超のロングゲインを許したレシーバーもCotchery(2番手WR)、Askew(RB)、Baker(TE)といつも通りの面子。これはもう構造的な弱点と言うしかないだろう。San Diegoにはレシーブの得意なRBもいるし、全くもって頭が痛い。
 JetsはFootball OutsidersのDVOAによると最もランディフェンスの悪いチーム(Indyよりも)。それだけにランオフェンスはよく出たように見えるが、中身を見ると物足りない。ラン平均獲得ヤードは4.2とJets(4.4)より少ないし、10ヤード超のゲインもBradyのスクランブルを含めて37回中たった3回。Maroneyはとうとう一度も10ヤード超を取らなかった。相変わらずランオフェンスは張り子の虎。ザルディフェンスのJetsだからボールコントロールできたものの、Baltimore(DVOAのランディフェンスリーグ2位)相手には通用しないだろう。
 ランディフェンスも拙い。シーズン序盤はかなり良かったこの部分も終盤にはいささか成績低下気味だったし、この試合でもWashingtonに11回のキャリーのうち10ヤード超を2回も許している。Wilforkが復帰してこの数値なのだから、これはかなり深刻だと考えた方がいいだろう。これまた次の相手のことを考えると胃が痛くなる。
 ただ、KCのファンとは異なりコーチングスタッフのgame makeに関して頭を抱えることはない。ショートしか通らない状態でもドライブを続けてリードを奪い、張り子の虎のランオフェンスでもボールコントロールができるように仕上げてくるのだから、その部分は立派だと言える。残る問題はexecution。昨シーズンもこれがダメだったためMile Highで力尽きた。

 さて、プレイオフもとりあえず4試合終わったが、この結果は予想範囲内だろうか。前日記したプレイオフ予想では「総得点÷総失点」が一番予測可能性が高いことになっていた。で、今回の4試合を見るとIndy(1.19)がKC(1.05)に、NE(1.62)がJets(1.12)に、Philadelphia(1.21)がGiants(0.98)に勝ったのは予想通り。Dallas(1.21)がSeattle(0.98)に負けたのだけが予想外となる。でもまあ、過去のプレイオフでの的中率(3分の2)に比べればいい成績だろう。
 次の4試合を見るとBaltimore(1.76)がIndyに、Chicago(1.67)がSeattleに、New Orleans(1.28)がPhiladelphiaに、そしてNEがSD(1.62)に対して有利ということになる。と言ってもNEとSDの差はほんの僅かであり、SDがホームであることも考えると必ずしもNEが有利とは言い切れない。最も予想しにくいのがこの試合で、後はもう一つくらいアップセットの可能性があると見ておけばよさそうだ。

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