ちなみにイアン・モリスの「社会発展指数」"
http://ianmorris.org/docs/social-development.pdf"によると1400年の西洋における1人当たりエネルギー獲得量は1日2万6000キロカロリー。ローマ帝国時代より低いし同時代の東洋(2万9000キロカロリー)すら下回る。現代西洋(23万キロカロリー)の9分の1強しかないわけで、おそらく包囲されていなくても飢えていた人間は大勢いたことだろう。逆に飢えに対する耐性は現代人より高かったかもしれない。
LützowのThe Hussite Wars"
https://archive.org/details/hussitewars00lt"にはブレゾヴァのヴァヴリネツが描いたヴィシェフラットの戦いが長々と引用されている(p65-69)。それによると、補給を絶たれたヴィシェフラットとフス派の間では10月28日、講和の話し合いが持たれた。そこで11月1日の午前9時までにジギスムントから充分な補給が送られなければ、守備隊はフス派に名誉ある降伏をすることで合意がなされた(p65)。
ジギスムントに従った貴族たちの多くが、ターボル派僧侶の命令によって身ぐるみ剥がれたままぶどう園や戦場に放置され、オオカミや野犬のえさになった。ヴァヴリネツはこの過激派たちの行為に対して「異教徒でもない者たちが、なぜこんなことをなし得るのか」(p68)と手厳しい言葉を浴びせている。この戦いの損害はジギスムント側500人に対し、フス派側は僅か30人であったという。
以上がヴィシェフラットの戦いの概要だ。敗因は無理な攻撃を命じたジギスムントにあり、フス派側の勝利に貢献した主な人物はヒネク=クルシナであった、というのがヴァヴリネツの見方だろう。もっとも漫画ではヒネク以外、今のところこの戦場にはいない。フィクションの中でこの戦闘をどのように描くつもりなのか、興味深く読ませてもらおう。
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