過去のBradyと比較するなら、これまでこの数字が最も大きかったのは2009シーズンのプラス16.3ポイント。次が2003シーズンの15.1ポイントであり、今年の成績上昇が過去にないほど大きかったことが分かる。過去との比較だけではない、横の比較をしても同じ。Bradyを含めた下位10人のQBで、最終的にレーティング95以上まで回復した者は彼しかいない。
要するに10月以降のBradyは極めて珍しい存在だったのだ。こういうレアケースは過去のデータを調べても見通すことは難しい。そういう現象が一定の確率で起こることは予想できても、それが今年のBradyに起きるかどうかまで事前に予想するのは簡単ではない。もちろん過去の彼の成績から考えれば他のQBよりあり得る確率は高いだろうが、正直そこまで予測することはできなかった。
ではロングパスが投げられなくなっているとの分析はどうだろうか。ESPNのデータでは2002シーズン以降、パスが投げられた距離ごとにまとめた成績が載っている。それを元にBradyの21ヤード以上のパスが占める割合とそのパス成功率を並べてみると、前者はピークだった03シーズンの16%から今シーズンは8.5%へ低下している。ただし09シーズン以降この数値は7.3~10.7%の範囲で動いており、特に足元で急落しているわけではない。またロングパスの成功率は25%と確かに2007シーズン(40.6%)よりは低いが、09シーズン(26.7%)や13シーズン(23.1%)と比べて特に悪いとも言えない。01シーズン当時は19.6%しかなかった点まで踏まえるなら、悪いのは確かだがひどいとまでは言えない。
11ヤード以上を基準に取るならパスに占める比率は31.5%となり、12シーズン(30.3%)や10シーズン(27.9%)より高いくらい。パス成功率48.3%も13シーズン(23.1%)や12シーズン(39.6%)よりはマシだ、というか実は彼のキャリアで見ても4番目くらいにいい成績である。13シーズンまで、あるいはもしかしたら14シーズンの4試合目までのBradyに関しては、ディープが投げられないという指摘も正しかったかもしれないが、14シーズン全体を通じてだとそこまで言うのはミスリードかもしれない。
ディープパスのように母数が小さいものは、少し試合を重ねるだけで大きく変化してしまうのだろう。だからディープパスに関する予測をしたり、傾向を見出そうとしたりする時には、ノイズをシグナルと間違えてしまうリスクをきちんと踏まえておかなければならない。地震予測と同じだ。Bradyのディープパスに関して議論をするためには、まずきちんとデータをそろえる必要があるんだろう。
Elway以来となる37歳のチャンピオンQB、Bradyに焦点が当たりがちだが、実はNew EnglandはSuper Bowlに勝ったチームとしては最も平均年齢が若いチームである"
https://twitter.com/MisterWallaceGA/status/562267150443118592"。14年ドラフトのStork、13年ドラフトのCollins、12年組のJones、Hightowerに、11年のSolderとVereen、10年のMcCourtyにGronkowskiと、毎年のようにスタータークラスを引き当てた効果が出ているのだろう。毎年この程度の当たりを指名でき、継続的に若返りが進むのであればありがたい。
そしてもちろん、数年後をにらむのなら「次のQB」も考えるべきときが迫っている。今すぐではない。1978年以降、38歳でシーズン224試投以上を記録したQBは19人いる。決して多い数ではないが、優秀なQBなら38歳でもまだ先発を務めるくらいはできるのだ。しかし39歳以上になると、この数は延べ11人へと激減する。しかもそのうち3回はFavre、4回をMoonが記録しているため、実数では6人にまで激減する。先発QBとしての年齢上限がこのあたりに存在するかもしれないのだ。
2年後、Bradyは39歳になる。New Englandの「一つの時代の終わり」が、その頃には現実感を持ってくるだろう。そうなった時に果たしてGaroppoloはどこまでやれるのだろうか。Montanaを継いだYoung、Favreの後に入ったRodgersのような存在になれるか否か。おそらく今後2年ほどで結論が出る。
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