昨シーズン、ANY/Aの上位に常連でない選手が2人、顔を出した。9.18でトップになったNick Folesと、8.54で3位のJosh McCownだ。どちらもその活躍が認められ、今年はスターターになったのだが、残念ながら昨年とは流れが逆転している。Folesはまだ先発を保持しているもののANY/Aは5.98へと急落し、リーグ平均すら下回る状態。McCownにいたっては3.38と目も当てられない数値で、怪我もあって先発の座をGlennonに譲っている。
まだ3年目のFolesについては評価は控えたいが、McCownについてはそもそも先発にしたのが間違いだったというしかない。もともとジャーニーマンだった彼のANY/A+を見ると、2012シーズンまでの累計はたったの83。リーグ平均を1標準偏差以上下回っているわけで、正直NFLに残っているだけで奇跡のような状況だと言える。
そのMcCownが13シーズンにはANY/A+で133を記録した。だが良く見ると先発5試合、パス試投224とギリギリ規定数に到達しただけで、本当の意味でフルシーズン働いたわけではない。そしてこれだけ母数が小さければ、極端な成績が偶然出てくる可能性は高いのだ。おそらくMcCownの成績は偶然によるものであり、実力ではないと思われる。
過去の例を見ても分かる。1978年以降にプロ入りした選手のうち、ある年にANY/A+130以上を経験したQBを抜き出すと、延べ35人が見つかる。そのうち、ANY/A+130以上を最初に記録した年より前に4年分の実績(896試投以上)を持つQBを選び出すと15人いる(過去の実績のないFolesなどは外れる)。NFLでそこそこプレイし、そしてある年にブレイクしたQBの一覧が出来上がるわけだ。
このうちMcCownを除いた14人について、ブレイクした年の成績と、それ以前の累計ANY/A+を比べてみる。すると14人中12人は、過去にもANY/A+が100超を記録していることが分かる。例外はRandall Cunningham(過去のANY/A+が95)とSteve DeBerg(同97)の2人だけだ。そしてこの2人についてANY/A+130以上を記録した翌年以降の成績を見ると、残念ながら極めて短いキャリアで終わっていることが分かる。
Cunninghamは1998年に大活躍をしたが、1999年以降は3年で11試合しか先発できず、ANY/A+はリーグ平均並みの100でとどまった。DeBergはそれから4年で23試合とCunninghamよりはチャンスを与えられたが、やはりANY/A+は100にしか達しなかった。そもそも両者ともピーク年の後には、4年分に相当する896試投すら達成できないままキャリアを終えている。キャリアが長い割に成績が冴えないQBがいきなり活躍したとしても、彼らがその後も活躍できる可能性は極めて乏しいのだ。
実際には過去にいい成績を残していても将来が安泰とは限らない。ブレイクする前からANY/A+が119だったRypienは、ブレイクの後はANY/A+が93まで落ち込んでしまった。McNairは108から97に、Culpepperは110から85に落ちており、過去の実績があるQBでも並以下になってしまうリスクはある。それでも過去に100超だったQBが130以上を達成すれば、その後も100超を維持できる確率は4分の3あるから、悪い賭けではないだろう。
でも過去に100以下だったQBは良くても100まで。それも短いキャリアしか積み重ねられない。ましてMcCownは、CunninghamやDeBergを下回るANY/A+83というとんでもない成績の持ち主だ。普通は1年こっきりの偶然が起きたと考え、先発の座を用意するのは避けるだろう。Lovie Smithが何を考えていたのかは分からないが、彼の判断はおそらく間違いだったという結論になるのではなかろうか。
ちなみに今シーズン、現時点で常連以外の上位メンバーはHoyer(8.25)、Dalton(7.99)などがいる。Hoyerは過去のプレイ実績がなさ過ぎるので対象外として、Daltonは過去のANY/A+が100ちょうどだ。今の水準だと130超まではいかないので気にする必要はないと思うが、さらに成績がよくなって130超を達成した場合は、以後の判断が難しい選手になる。
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