NFL week5

 こりゃ厳しいと思ったら活躍し、いけると思ったらあっさりこける。これこそゲームの醍醐味ってやつよ。というわけで5試合目にしてようやくオフェンスがまともに機能したNew Englandだが、よく見ると対戦相手のDaltonの方がパス成績が良かったりする。勝因はCincinnatiの3つのファンブルロストにあるわけで、実力でねじ伏せたというより運が良かったと見るべきだろう。
 多少成績が改善したとはいえBradyのシーズントータル成績はなお絶賛低迷中。彼の2001~13シーズン(除く08)と今シーズンの成績を並べ、平均と標準偏差を求めると、今シーズンのANY/Aは平均を0.95標準偏差下回っていることが分かる。偏差値で言うなら40ちょっとしかないわけで、過去のBradyと比べてかなり悪い状況は変わっていない。
 ANY/Aの構成要素別に分けて同じように平均からのずれを調べると以下のようになる。
 
パス% -1.07
Y/C -1.44
TD率 -1.32
int率 +1.14
サック率 -0.51
 
 intとサック率は逆数で出している。見ての通り、あれだけ絶不調にもかかわらずintについては過去平均より1標準偏差以上いい数字を残している一方、それ以外は軒並み成績が低下している。ただし前にも書いた"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/54361847.html"通り年ごとの安定性に乏しいintについては、あまり評価するわけにもいかないだろう。また同様に安定性に乏しいTD率も、その悪さを気にしすぎる必要はないかもしれない。
 サック率は年ごとに安定しているものなので心配すべきかもしれないが、0.5標準偏差のマイナスというのはここで調べた数値の中では悪くない方だ。となるとやはり気にかけるべきは最も安定性が高く、なおかつ1標準偏差も落ち込んでいるパス成功率と、安定性は中くらいだが標準偏差で見て落ち込みが最も激しいY/Cということになる。
 Bradyの今シーズンのパス成功率は03シーズンについでキャリア2番目に低い。Y/Cは02シーズンについでやはり2番目の低さだ。特にY/Cはリーグ全体で見ても下から数えた方がいいくらい。そこから想像できるのはディープパスが通用していないだろうという仮説である。そして実際、そういう指摘が既に出ている"http://nesn.com/2014/10/scout-tom-brady-has-worst-deep-ball-in-nfl-best-short-yardage-qb/"。Bradyのディープパスは(第5週より前の数字だが)ほとんど成功していないのである。
 実のところ、この課題は別に今になって明らかになったわけではない。今から2年以上前に既に同じ指摘がなされている"http://espn.go.com/blog/afceast/post/_/id/47967/tom-bradys-missing-deep-ball"。以前から表に出ていた課題がより一層悪化してきた、というのが実情だろう。第5週の成績によって多少は改善しているとはいえ、長期にわたって続いているこの傾向が急激に変わることはないだろう。
 かといって肩の衰えたBradyから若いGaroppoloに切り替えればいい、とはいかないのが問題。プレシーズンにおけるGaroppoloの成績を見ると、ディープパス(NFLのplay-by-playの定義なので15ヤード以上)の成功率は35%にとどまっており、Bradyと交代したとしてもあまりレベルアップにはならないだろう。Y/Cは低いものと諦め、Breesのようにショートパスの成功率向上に全力を費やす方が、まだ現実的な解決策のような気がする。
 
 ここまで取り上げてこなかったが、当然スタッツ関連各サイトはパワーランキングを出している。今週で面白いのは(というかいつも面白いのだが)Advanced Football Analyticsのランキング"http://www.advancedfootballanalytics.com/index.php/home/analysis/team-analysis/43-team-efficiency-rankings-week-5?showall=&start=2"。4勝1敗のPhiladelphiaが29位になる一方、2勝2敗のMiamiが5位に顔を出している。
 Pro-Football-ReferenceのSRS"http://www.pro-football-reference.com/years/2014/"でも確かにPhiladelphiaは-0.9とよくない数字だが、リーグのどん底近くってことはない。逆にMiamiは+0.6で悪くはないが地区内でも3位と決していい成績ではない。Football OutsidersのDVOA"http://www.footballoutsiders.com/dvoa-ratings/2014/week-5-dvoa-ratings"だとPhiladelphiaは13位、Miamiは21位となり、ずっと落ち着いた順位になる。
 いつも言っているがAdvanced Football AnalyticsのWPは「クラッチ」を考慮に入れている概念であるため、予測につかう上では取り扱いが難しい。それにしても逆転劇を繰り返しているPhiladelphiaならむしろクラッチを考慮に入れた方が順位が上がりそうなものだが、逆に下がっているのはなぜだろう。何とも不思議な話だ。
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