ワーテルロー関連史料には、かなり後になってSiborneが集めた手紙に基づくものが多いため、詳細を詰めようとするとどうしても史料の新しさという問題が立ちはだかってくる。それでもこのナッサウ第1連隊の報告書やブッシュによる報告など、古い史料において比較的遅い時間の陥落を思わせる記述が存在している点に、de Witの判断は由来しているのだろう。古いだけならたとえば大陸軍公報"
http://www.asahi-net.or.jp/~uq9h-mzgc/g_armee/source/waterloo_nap.html"などは最初の攻撃でラ=エイ=サントが落ちたと主張しているが、全体像を見ていたナポレオンよりラ=エイ=サント周辺のみを見ていたブッシュやナッサウ第1連隊の方が正しいと見たのではないか。
いずれにせよこの点についてde Witの説は通説とほぼ一緒である。前に紹介したデルロン軍団の彷徨に関するかなりアグレッシブな主張と比べると地味と言っていいくらい。別に素っ頓狂な主張をすることで注目を集めようとしているわけではないことが窺える。
コメント