TiteuxのLe général Dupont"https://archive.org/details/legnraldupontune01tite"は1806年戦役のベルナドットを擁護している本だが、そこではベルナドットの行動を正当に評価するための史料を提示した後で、反ベルナドット派の書いていることを順番に批判している。そしてこの「順番に批判する」話がやたらと長い。あきれ返るくらい長い。 まずはトロブリアン(p367)。それからナポレオン自身によるベルナドット糾弾が批判される(p368)。その次がセギュール(p372)で、続くのがモントロン(p374)、さらにラップ(p375)だ。その次はThiersの本(p376)がしつこつ批判され、さらにマルボ(p378)が一刀両断。返す刀でサヴァリー(同)もばっさり。続いてCorrespondance du Maréchal Davout"http://books.google.co.jp/books?id=XRJBAAAAYAAJ"の脚注(p379)が批判され、それから最近の作品としてPingaudのBernadotte, Napoléon et les Bourbons"https://archive.org/details/bernadottenapol00pinggoog"(p380)、RambaudのUn Cadet de Gascogne"http://books.google.co.jp/books?id=HpUItwAACAAJ"(p382)、Haumantが雑誌に書いた記事(同)、そしてThétardのLes Causes d'un Désastre Militaire"http://books.google.co.jp/books?id=cXU7AQAAMAAJ"(p383)が順番に槍玉にあがる。 と言ってもTiteuxの主張自体はそれ以前に散々書いているので、ここでの批判は過去に書いたことの繰り返しになっている。かなりしつこい繰り返しであることは想像できるだろう。正直、途中で読むのがうんざりしてきたし、それでも我慢して最後まで目を通したが目新しい議論はほとんど出てこなかったため徒労感ばかりが募った。 Titeuxの時代にはナポレオン関連の本は山ほど出版されていたし、けちをつける相手に困ることはなかっただろう。でも今はそもそもナポレオニック本自体が少ない。回想録に疑問を呈するのは一向に構わないが、歴史家の書いた本についてはThiersを右代表で叩く程度にしてもらった方が、読む方としてはありがたかった。
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