蹴球2014 本邦

 W杯では次々とグループリーグ敗退チームが決まっている。日本も今回は3試合で終了となったが、さて前回大会と比べて数字はどう変わったのだろうか。
 
 まず目立つのはパス関連の成績向上だ。前回はパス成功率が60%と参加32チームで最低だった日本だが、今回は78%の12位(現地24日終了時点)と大幅に向上させるのに成功している。1試合当たりのパス回数もスペイン(697回)、イタリア(620回)、チリ(601回)といったチームには及ばないが、545回という数値は決して低くはない。つまりパスサッカーへの転換はできていると見るべきだろう。
 それに伴い、ボール支配率も3試合平均で55.7%とかなり高い数値を出している。同じグループではコートジボワール(55.3%)を上回りトップだし、ブラジルやイタリアを微妙な水準ではあるが上回っているくらい。
 さらにボール支配率の高さはシュート数にもつながっている。日本のシュート数は1試合平均15.3回、枠内シュート数も9.3回に達している。枠内シュートはグループ1位のオランダ(11)やブラジル(11.7)には及ばないものの、結構いい数字と言えるだろう。枠内シュートと勝ち点の相関が高い大会だったら、充分にグループ突破を狙えるだけの数字だ。
 残念ながら今回大会は相関が低い。枠内シュートと勝ち点の相関は.282と弱い相関にとどまっており、シュート数と勝ち点になれば.095とほとんど無関係になってしまうほど。日本のいたグループではむしろ枠内シュート数の少ないチームが勝ちあがる格好になってしまった。
 日本の枠内シュートに占めるゴールの率はたったの7%。イランやナイジェリア、カメルーンなどよりは高いものの、30%のコスタ=リカや40%もあるドイツなどと比べれば実に低い。要するに今回の日本はツキがない、という結論でいいのだろうか。
 
 よくない点があるとしたら、やはりディフェンスの問題だろう。例えば枠内シュート数の差を見ると日本は1試合当たり1.3のプラス。悪くはないがブラジル(+7.3)やオランダ(+6)に比べるとぐっと見劣りがする。PAに入った数の差になるとマイナス1となり、むしろ相手の方がよく日本のPAに入り込んでいることが分かる。
 それよりも今回大会の日本チームに特徴的なのは、相手チームを「走らせられない」点にあると見るべきだろう。1試合平均で相手チームが走った距離は99195メートル。参加32チーム中、この数値が10万未満にとどまっているのは日本だけだ。high activityでの走行距離23674も同じであり、要するに日本を相手にしたチームは最も楽をしている計算になる。
 今回の大会では日本チームのコンディション不良を指摘する声があるが、本当にそうなのだろうか。単に相手が楽をし過ぎているため、途中から日本チームがコンディション不良に見えてしまっていただけではないのか。相手の走行距離と相手の勝ち点との相関は乏しく、これが敗因とまではいえないが、特徴的な傾向であったことは確かだろう。
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