RBについてはもう1つ、Football Perspectiveがこういう分析"
http://www.footballperspective.com/yards-per-carry-net-yards-per-attempt-and-regression-to-the-mean/"をしている。YPCを使って将来の成績を予想するのは難しいという話だ。前にも書いた"
http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/53172315.html"が、30ヤード以上のロングゲインというごく少ないプレイに大きな影響を受けるYPCというスタッツが使いづらいのは確かだろう。
それよりマシとされるのがSuccess Rate。Boom or Bustかそうでないかを識別しやすい指標であり、もしかしたらYPCよりもRBの将来成績を予測するのに使えるかもしれない。ただFootball OutsidersのSRは小数点以下を除いた大ざっぱな数字しか載っていないため、分析には使いづらい。そこでAdvanced NFL Stats改めAdvanced Football Analytics"
http://www.advancedfootballanalytics.com/"のSR(小数点以下1ケタまで掲載)を使って、n年の成績からn+1年の成績をどこまで予想できるか調べてみた。
分析対象は1999-2013までの期間にシーズン100キャリー以上を記録し、チームを変わらなかったRB。n年のSRとn+1年のSRとの相関係数がどうなっているかを見たところ、係数は0.381、R2乗は0.145となった。せいぜい「弱い相関」レベルであり、あまり成績予想に役立ちそうにない。だがそれでも相関係数0.256、R2乗が0.065のYPCよりはマシ。ある年のYPCから次の年のYCPを予想するより、n年のSRからn+1年のSRを調べる方がまだ当たりやすい。
ちなみ回帰分析をするとSR(n+1)=23.39530+SR(n)*0.40741。前年のSRのうちの4割ほどしか翌年には反映されない計算だ。一方YPA(n+1)=3.06360+YPA(n)*0.26613となり、こちらは前年のYPCのうち4分の1強しか翌年には持ち越せない。相関係数が低いのであまり当てになる予想ではないが、基本的にかなり平均への回帰が強い傾向が窺える。
なお、対象基準をシーズン200キャリー以上にするとSRの相関係数は0.414に上昇する。YPCが0.360なので両者の差は縮まるが、それでもSRの方が上なのは確かだ。回帰分析ならSR(n+1)=21.94688+SR(n)*0.44177、YPA(n+1)=2.71027+YPC(n)*0.35011となる。ロングゲイン次第で変化するYPCよりも、RBのプレイスタイルをより反映している可能性のあるSRの方が年をまたいでも安定しているようだ。あまり勝利に直結しないとはいえ、それでもランオフェンスを向上させたいのなら、できるだけSRの高いRBを選ぶ方がいいんだろう。
次はチーム単位のSRも見てみよう"
http://wp.advancedfootballanalytics.com/teampage.php"。こちらもまずランパス両方のSRについて回帰分析するとSR(n+1)=20.76717+SR(n)*0.52392でR2乗が0.280、ランのみはRunSR(n+1)=25.06145+RunSR(n)*0.38493でR2乗が0.152、パスのみがPassSR(n+1)=21.40043+PassSR(n)*0.53028のR2乗0.284となる。ランについて言えば選手単位で見るよりむしろ相関係数が高いのが目立つ。
続いてEPAでも分析してみる。ランパス両方はOffEPA(n+1)=10.85304+OffEPA(n)*0.50187でR2乗0.252、ランはRunEPA(n+1)=-3.02034+RunEPA(n)*0.31960のR2乗0.104、パスはPassEPA(n+1)=12.50163+PassEPA(n)*0.51171のR2乗0.259となる。さらにWPAだが、ランパス両方がOffWPA(n+1)=0.6221+OffWPA(n)*0.4208のR2乗0.180、ランがRunWPA(n+1)=0.25108+RunWPA(n)*0.25918のR2乗0.066、パスがPassWPA(n+1)=0.40875+PassWPA(n)*0.43374のR2乗0.190となっている。
いずれの指標でもパスのみが最も相関性が高く、次がランパス両方で、最後がランのみだ。そしてSRの相関性が最も高く、次がEPAで最後がWPAになっている。前からWPAはクラッチな数字を大きく反映しているため予測性能には乏しいと指摘してきたが、それが裏付けられた格好。そしてラン成績がパスに比べて安定性に欠けることも分かる。やはりRBへの投資はリスクが大きすぎて難しいという結論になりそうだ。
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