RBの凋落 歴史編

 前回「アイシールド21がもし今連載されていたら、RBを主人公にするのは難しかったかもしれない」と書いたが、それを裏付けるようなデータがFootball Perspectiveに載っていた"http://www.footballperspective.com/percentage-of-team-rushing-yards-by-running-back/"。エースRBがチーム内でどれほど多くのランプレイを担っていたかを(キャリー数ではなく)ヤードで調べたものだ。
 最後の折れ線グラフを見ても分かる通り、90年代から00年代にかけてエースRBのランオフェンスに占める割合が高い時代が続いた。特に1994年から2007年にかけては平均でおよそ55%以上をトップエースが担っており、いわば「馬車馬RBの全盛期」だった。06年のこのエントリー"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/12601927.html"でもそうした事実を指摘している。
 しかし00年代終盤からはこの比率が低下傾向にある。13年時点では50%程度と80年代の高い時期並みに下がっており、時代の変化が生じていることを裏付けている。09年に書いたこちらのエントリー"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/47730929.html"でも馬車馬RBへの流れが変わっていることを指摘したが、その傾向は時間とともによりはっきりしてきたようだ。
 チームのランプレイの大半を担うRBが輩出されたのが94-07年という限られた時期であることは、個別RBのシーズンごとの記録を見ても一目瞭然。93.6%を記録した99年のEdgerrin Jamesを始め比率上位の延べ25人中、22人がこの期間に記録をたたき出している。アイシールド21の連載開始は02年。馬車馬RBという華やかなRBの存在が当たり前になった時期に相当するし、実際モデルとなったMarshal Faulkは98-02年というピークの5年間に歴代10位に相当する73.1%の高い「馬車馬率」を記録している。
 この「馬車馬時代」より前にピークを迎えたRBで上位に顔を出しているのはJim Brown、Earl Campbell、Eric Dickersonなど、ごく限られた数しかいない。逆にそれより後、遅れてきた馬車馬RBと言えるのは現時点でChris Johnson、Adrian Peterdon、Matt Forteなどがいるが、トップ10に顔を出している選手は皆無だ。とにかく特定のRBにボールを集めるという手法がNFLで次第に流行らなくなっているのは確かなようだ。
 
 馬車馬化が進んだ理由として私が想定したのは、トレーニング法やスポーツ医学の発達による怪我の減少。ただしこれは馬車馬ができる条件ではあるものの、馬車馬化を「進める」要因とはいえない。馬車馬化、即ちエースRBにボールが集まった理由は、FBが次第にボールキャリーをしなくなった事実と歩調を合わせていると思われる。
 FBが使われなくなった理由についてはこちら"http://www.footballperspective.com/wherefore-art-thou-fullback/"にまとめられている。70年代まで走るFBが大勢いたが、78年のルール変更以降、次第に走る役割を担うRBに対し、レシーブやブロックを主な役割とするFBという具合に担当が分かれていった。70年代まで45%以上にならなかった「馬車馬化率」が80年代に入って50%を記録するようになったのも、そのためだろう。
 そして90年代に入るとDLの大型化もあって中央へのランを担うFBはいよいよボールキャリーが減り、走る役割に特化したエースRBが大半のキャリーを担うようになった。しかしこの流れは一方でスタッツを積み重ねたエースRBのサラリーが上昇していく要因にもなったのだろう。サラリーキャップ時代において、期待されるパフォーマンスより多いサラリーを特定選手に支払うのは、敗北への近道だ。ランよりパスが効果的になった78年以降において、いずれはRBへの過大投資を見直すべき時が来る定めだったのだろう。
 つまり、最近の馬車馬RB減は怪我や戦術がらみではなく、サラリー問題が大きな要因になっているのだと思われる。実際、14年のキャップヒットを見るとNew Englandは前シーズンに773ヤード稼いだRidleyが100万ドル弱。それに対しPhiladelphiaのMcCoyは稼いだヤードが2倍強の1607ヤードに対し、キャップヒットは970万ドルと10倍近くある"http://www.spotrac.com/rankings/nfl/cap-hit/running-back/"。Ridleyクラスを2人そろえればMcCoyの2割強のお値段でほぼ同じ距離が稼げる計算だ。OLに自信のあるチームなら馬車馬RBは不要と判断するのも分かる。
 気になるのは馬車馬RBが減っていく過程と、ワンバックが過半を占める時代が重なっていること。Football Outisdersによれば07年には全体の44%だった「RB1人の隊形」"http://www.footballoutsiders.com/stat-analysis/2011/formation-analysis-number-rbs-part-i"は11年には5割を超え"http://www.footballoutsiders.com/stat-analysis/2012/2011-formation-analysis-number-rbs-part-i"、12年には56%に達している"http://www.footballoutsiders.com/stat-analysis/2013/2012-formation-analysis-number-rbs-part-i"。この事実と馬車馬率の低下にどのような関係があるのかも興味深いところだ。
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