レギュレーション

 気づいたら電王戦最終局が迫っていたので、これまでの感想を。現時点で人間側の連続負け越しが決定し、第1回まで含めれば3連続でコンピューターの勝利となった。当然ながらネットでは今のレギュレーションでいいのかとの議論が起きている。
 もちろん電王戦の目的を「興行としての勝敗争い」に置かなければ、こんなことで悩む必要はない。人間側の希望(コンピューターを使って棋力を上げる)に沿うならば、そもそもイベント対戦自体を行わず、単にソフトを貸し出して好きなように使ってもらえばいい。逆に開発者側の希望(バグ取り)に従う場合は、やはりイベントはなしで研究時間がある若手の優秀なプロにひたすら弱点を探してもらえばいい。でもそれじゃ主催者もスポンサーも納得しないだろう。
 主催者やスポンサーの希望は客が増えること。つまり客の要望が絶対だ。今回の第4局では延べ来場者が50万人を超えており、このイベントがかなりの集客力を誇っていることが裏付けられた。ならば今年で終えることなく、来年も引き続きやりたいと考えるのが普通だろう。しかし勝敗の行方が見えているようなイベントにはしたくない。というわけでやはりレギュレーションをどうするかが課題となる。
 ある人はハードの制限をさらに強化し、スマホを使えと言っている"http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20140330"。それでも数年後にはいい勝負になるとの見通しだが、デスクトップの最高クラスからいきなりスマホはちょっと格落ちすぎるとの意見もあるだろう。それでも次はノートくらいで、という意見なら出てくるかもしれない。
 第4局に出たプロは、継ぎ盤の使用(傍らに別の将棋盤と駒を置き、それを動かしながら考える)を改めて提案していた"http://i2chmeijin.blog.fc2.com/blog-entry-494.html"。頭の中だけで考えるよりミスが減るのはおそらく間違いない。どの程度、棋力が向上するかは分からないが、バランスを取るという意味ではいい方法かもしれない。問題はこれをやっても対人間の棋力向上にはあまり役に立たなそう、というかむしろ盤駒なしの能力を引き下げる方に働きそうなところ。認めるとしてもあくまで特例だろう。
 持ち時間はどうだろうか。先ほどの開発者は持ち時間は現状くらいがベストと見ていたが、いっそ2日制にすべきだとの意見はあり得る。問題はその場合、プロ側にはソフト指しをする時間的余裕が与えられてしまうこと、及びソフト側は人間が寝ている時間も検討の継続が可能になることがある。プロについてはどこかに軟禁し、ソフトについては必ず数時間は停止させるといった作業が必要になる。そうした条件を満たせば、リフレッシュして考えられる分だけ人間にメリットはありそうだ。
 もちろん、出場するプロのレベルを上げる方法もある。最も簡単なのはタイトル保持者を出場させることだが、これは既存タイトルのスポンサーとの調整があるため、おそらく簡単ではない。個人的には逆に若手で対戦スケジュールに余裕があり、それでいて将来有望なプロだけを揃える方法も面白いと思う。勝率を上げるだけなら、人間同士の対戦で忙しいトッププロより、若手プロの方がバグ取り研究に専念できる時間も長そうだし集中力も高いだろう。対コンピューター戦に特化したプロジェクトチームを作り、とにかく1回は勝ち越しを目指す、といった方法もありかもしれない。
 
 それにしても昨年と大きく違うのは、コンピューターに負けること自体がそれほど騒ぎにならなくなったこと。もうコンピューターが強いのは誰もが認めているのだろう。あとはその強さがどの程度のものかを知りたいという部分が残っている、というかそれが残っていないと興行としては厳しい。人間では及ばない強さに達してしまうとおそらく見る人も関心を失うだろう。限られた旬の時期をどう使って客集めを図るか、主催者の手腕が問われているわけだ。
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