電王戦"
http://toybox.tea-nifty.com/memo/2013/08/post-4c88.html"の第3局はプロ側勝利。おそらく最もほっとしているのは主催者で、次はスポンサーだろう。コンピューターの3連勝になってしまったら、せっかく興行重視にした意味が失われるところだった。
面白いのはこちら"
http://blog.livedoor.jp/shogitygoo/archives/51936178.html"の指摘。人間はアンチコンピューター戦略を貫くべきか否か、という問題は、この対戦にどのようなメリットを見いだすかという部分で参加者の利害が必ずしも一致していない点を如実に表しているように思える。
まず人間側。この対戦では「コンピューター相手でも普段と同じように正々堂々と戦う」方が「人間の将棋の問題点も浮き彫りになって、人間将棋の技術向上につながせる可能性」を持っている。だからあえてアンチコンピューター戦略など採用せず、普通に将棋を指した方がメリットは大きそうだ。結果として負けるリスクはおそらく高まるが、コンピューター相手の勝ち負けに大した意味はないと考えるのなら普通に指すのがいい。
一方、コンピューター将棋にとっては人間に欠陥をついてもらう方が実は望ましい。「その事でコンピューターは欠点を修正できる」からであり、つまりプロによる公開バグ取り作業を通じてコンピューター将棋自体の力を高めるきっかけにできる。今やコンピューター将棋の実力はアマでは追いつけないレベルに達しているそうで、だとするなら、とことんアンチコンピューター戦略を突き詰め、プロでなければできないバグ取りをしてもらうのは開発者側にとってはありがたい話だろう。
そして主催者も異なる利害を持っている。こちらにとっては将棋が盛り上がることが最大のインタレスト。理想としては正々堂々とした内容のいい戦いで両者が均衡した勝負を繰り広げることが望ましいだろう。どちらかと言うと人間側の利害に近いが、ただし人間側もきちんと勝ってもらわなければ困る。負け続けるくらいならアンチコンピューター戦略で勝ち星を拾ってもらった方がマシだろうし、また対戦の中身がしょぼくても昨年の第4局のように盛り上がればOKとも考えられる。
どうもこのイベントは参加者の同床異夢の上に成り立っているのではないかと思える。それぞれがこのイベントから何を得ることができるのか、手探りしながら実行している印象が強い。今年は残り2局、来年以降はまだどうなるかは不明だが、そういった当事者の利害を踏まえながら見るのも面白そうだ。
スポンサーサイト
コメント