終焉?

 折に触れて言及してきたSTAP細胞だが、この数日で急展開があった。まずは新たな画像疑惑の指摘"http://stapcells.blogspot.jp/2014/02/nature-article.html"。Nature論文に使われていた画像が博士論文とほぼ同じだったという話だ。今までも色々と言われてきたが、今回の指摘はかなり致命的と見られているようで、こちら"http://matome.naver.jp/odai/2139437526768951501"には研究者の失望の声が多く紹介されている。
 続いて共著者である山梨大学教授がこんなお知らせ"http://www.yamanashi.ac.jp/modules/information/index.php?page=article&storyid=768"を出し、さらに論文取り下げを求めていることが報じられた"http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140310/k10015868081000.html"。以前にも書いたTCR再構成についての疑問"http://new.immunoreg.jp/modules/pico_boyaki/index.php?content_id=350"が、共著者をしてこのような判断を下すきっかけになったようだ。
 そしてこれを機に報道が一気に加速。話は単なる学術上の問題にとどまらなくなり、文科相"http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140311/k10015882671000.html"や科技相"http://www.asahi.com/articles/ASG3C3Q9RG3CUTFK004.html"、官房長官"http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1100N_R10C14A3000000/"までが会見で発言する事態に陥った。日本分子生物学会は再度、理事長名で声明"http://www.mbsj.jp/admins/statement/20140311_seimei.pdf"を出して厳正な対応を要請。話は大きくなる一方である。
 そしてついに理研も論文取り下げを視野に検討しているとするコメントを発表"http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140311_2/"。米国の共同研究者は論文撤回の必要性はないと言っている"http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1100E_R10C14A3000000/"ようだが、少なくとも日本国内では状況はかなり厳しいと見るべきだろう。
 追い討ちのように、これまで批判をしてきた人が論文データを分析した最後の結果をアップした"http://slashdot.jp/~kaho/journal/578726"。曰く「ES細胞とSTAP細胞はCNVに差がなく、ほぼ同一である」。なるほど、この確証があればそりゃ「STAP細胞など存在しない」と言えるわけだ。データは使い方次第で強力な武器になる、という一例だろうか。
 
 以前に書いたベイズ推定"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/54496738.html"でも明らかにしているように、先月中旬時点で私自身のSTAP細胞に対する疑いは次第に強まっていた。その後、さらに色々と新しい疑問が出てくるに従い、心証的にはかなり悪くなっていたことは否定できない。そして今回の動き。残念だがおそらくSTAP細胞は幻だったという結論になる確率がかつてないほど高まっているのは確かなようだ。
 論文が間違いだったという結論になる場合、政治的にはその後始末をどうするかが問題になるのだろう。ただ学術的に言えば、あるいは間違い探しという観点では、そしてベイズ推定を試す一例としては、もうほとんど終わった話になっているようにも思える。幹細胞の研究者たちも、実りがなさそうな追試はやめてとっとと次の研究を始めていることだろう。祇園精舎の鐘の声。
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