統計関連本

 以前、こちらのエントリー"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/53489547.html"でNate Silverについて触れたことがある。大統領選の予想を的中させ、MLBの選手評価システムPECOTA"http://blog.livedoor.jp/goredsox-baseballnumbers/archives/50345946.html"を開発した人物だが、その彼が本を出版し、それが日本語に翻訳された"http://www.amazon.co.jp/dp/4822249808"。
 内容についての説明は私がするよりこちらの書評"http://d.hatena.ne.jp/shorebird/20140127#1390820283"を読んでもらう方が早いだろう。様々な事象を取り上げながら、予測をするうえでは何が大切なのかについて書いている本だ。ページ数は多いが別に難しい数式が並んでいるわけではないので、その気になれば割と短時間で読了することは可能。一読の価値はある。
 読んでいて一番「役に立つ」部分は、ベイズの定理を浮気の確率やテロの確率推定に活用してみせている第8章の部分だろう。そして心がけるべきことはといえば、何より謙虚になること。自分が正しいと自信過剰になればそれは間違いへの近道だし、過去の予測についても新しい情報を得れば絶えず見直す姿勢を保つ。そうした謙虚さがトータルとしては正しい予想に近づくために必要だ。逆に言えば、自信満々な相手を見たときは言うことを疑う方がよさそう、という意味にもなる。
 もっとも、絶えず自分の言うことを疑い、慎重な言い回しを続ける人間が、世間一般から見て魅力的かというとおそらく違う。特に政治家などは何が根拠か分からなくても自信たっぷりに見える方が評価されるものだ。予測をするうえでは間違った姿勢であっても、そうした姿勢こそが求められる商売がこの世にあることは事実。それはそれで当然あることだろうし、別にそれを問題視する必要もない。単にそういう人間の語る将来予測については眉に唾しておけばいいだけの話だ。
 問題なのは第13章で指摘されている「未知の未知」。知らないことすら知らない(気づいていない)としたら、それについて予測することなど無理ではないか。本で紹介されている事例は真珠湾攻撃や911テロだが、それほど大掛かりでなくても個人の人生においてそうした「未知の未知」が影響を及ぼす可能性はある。予測どころか想像もしてない出来事に遭遇した時、我々はどう対応すべきなのだろう。私に思いつくのは「だから人生は面白い」と開き直ることくらいだが。
 
 それはそれとして、この本で1ヶ所気になったところが。376ページに載っている6種類の株価チャート(うち4つは架空のもの)から本物を当てる部分だ。Silverは本物がどれか当てるのは「簡単ではないと思う」と言っているが、少しでもチャートに慣れた者であればおそらく簡単に当てられる。株に関心のある人はチャレンジしてはどうだろうか。きっとSilverを見返すことができるだろう。
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