NFL week17

 レギュラーシーズン終了。という訳でFootball Outsiders Almanac 2013での予想がどの程度当たったのかを調べてみよう。まず地区優勝。AFCでは東と西、NFCでは北、南、西の5地区で的中した。大ハズレはAFC南とNFC東で、いずれも優勝予想だったHoustonとWashingtonが地区最下位に沈んでいる。プレイオフについて言えばAFCではDenver、New England、Cincinnatiが、NFCではGreen Bay、Carolina、New Orleans、Seattle、San Franciscoが的中となり、全体としては3分の2を当てたことになる。ドラスチックに勢力図が動くと判断したNFCがよく当たり、動かないと思ったAFCが外れた形だ。
 予想の順位と実際の順位が完全に一致したのはNFC北及び西。逆に1つも的中しなかったのはAFC南とNFC東、つまりどちらも1位予想チームが派手にコケた地区だ。予想の勝利数と実際の勝ち星が完全に一致したのはMinnesota(5.5勝)であり、1勝未満の差だったのがChicago(予想8.1勝、実績8勝)、Detroit(予想7.4勝、実績7勝)、Jets(予想7.5勝、実績8勝)、Tennessee(予想6.4勝、実績7勝)、Pittsburgh(予想8.7勝、実績8勝)、そしてBuffalo(予想6.9勝、実績6勝)。逆に最も大きくずれたのはやはりHouston(予想9.3勝、実績2勝)とWashington(予想10.3勝、実績3勝)だった。
 FOA2013には、例えば0~4勝する確率が何パーセントかといった数字も載っている。この予想で1ケタしかない確率に当てはまった(つまり大ハズレとなった)チームは4つ。先ほどから何度も名前が出ているWashington(1%)、Houston(3%)のほか、Kansas City(6%)、Tampa Bay(7%)が該当する。逆に高い確率に当てはまったのがNew England(54%)、Denver(52%)、Seattle(49%)のシード上位チームと、後なぜかPittsburgh(47%)だった。
 各チームの予想と実績の差に関して標準偏差を調べると2.85になる。これを下回ったのはWashington、Houstonの他にTampa BayとAtlantaがおり、逆に上回ったのはKansas City、Arizona、Indianapolisであった。下回った4チームは、得失点比と勝率とをstandardizeして比べたところいずれも得失点差から期待できる勝率を下回っており、逆にArizona、Indianapolisは得失点比より勝率の方が高い。予想が外れた要因の一部に、ツキの偏りがあったと見なすことはできるだろう。
 ちなみに得失点比と比べた勝率でとことん恵まれていたのはNew Yorkの両チームだ。それだけの幸運に恵まれながらも結局どちらもプレイオフには行けなかった。プレイオフチームの中でこの点でツイていたのはIndianapolisとNew Englandであり、最もツイていなかったのはSeattleである。
 
 シーズンが終わるとNFL版"Black Monday"が始まる。というか既に日曜日のうちにClevelandが1年目のHCであるChudzinskiをクビにした。流石にこの対応にはファンの間でもわけわからんと非難の声が出ていたが、ある意味チームが低迷を続ける理由を象徴するような出来事ではあった。
 月曜日を待ってクビにされたのはDetroitのSchwartzとTampa BayのSchiano、WashingtonのShanahan、MinnesotaのFrazierだ。シーズン中にクビになったHoustonのKubiakを含め、これで6人が暗黒の月曜日の犠牲になった。逆に安全が確保されたのはこちらの記事"http://www.nfl.com/news/story/0ap2000000306538/article/"によるとGiantsのCoughlinとJetsのRyan。DallasのGarrettなどはオーナーがずっと支持を表明しているので大丈夫だと思うが、記事ではまだ「宙に浮いた」状態としている。
 最も長くHCをやっていたのはKubiakの8年弱で、次に長いのはSchwartzの5年。逆に最も短いのは既に述べたChudzinskiだが、Schianoもたった2年でクビになっている。KubiakがHCになった2006年以降の勝ち星で見ると、今回HCをクビにしたチームは最も成績のいいHoustonでもリーグ20位にとどまっている。成績が上がらないからHCがクビになり、HCがころころ変わるからチームが迷走するという悪循環を象徴するような話だ。
 
 今年の特徴として、インターセプト数をやたら積み上げたQBが多かった点が上げられる。Eliの27個を筆頭に、PalmerとFlaccoの22個、Genoの21個、そしてDaltonの20個と5人のQBが20以上のインターセプトを記録したが、これは2003年以来のこと。特に最終週のBaltimore @ Cincinnatiは両QBがあわせて7個のインターセプトを量産し、派手にフィナーレを飾った。新人Genoはともかく他はプレイオフにも出た実績を持つQBが積み上げたものであり、なまじ実績があるだけに酷い数字が出てもなおチームの信頼が残されていたのだろう。
 新人QBたちのANYは結局7496にとどまった。リーグ全体(114119)の6.6%。前にも述べた通り、例年に比べれば高い比率だが、直近3年分で見ると最も低くなっている。計6人のQBがプレイしたが、うちANY/Aがリーグ平均を超えたのはMcGloinくらいにとどまったのも、この数年では最も低調といっていい理由だろう。
 2年目QBのANYは19567でリーグの17.1%、3年目は14051で12.3%となり、新人よりも彼らの方が目立った年だった。もっともANY/Aがリーグ平均を超えたのは2年目で3人(Foles、Wilson、Luck)、3年目が2人(Kaepernick、Dalton)に留まっており、歩留まり(2年目は計11人、3年目は10人)がそれほど優れているわけではない。過去に良かったGriffinやNewtonの成績低下もあって数が増えていない。
 来年はまたQB豊作と言われている。果たして本当に豊作かどうかはともかく、新人に期待できるなら今のQBはいらないと判断するチームも増えるだろう。早速始まっているMock Draftを見るとHouston、Jacksonville、Cleveland、Oakland、MinnesotaあたりがQBをドラフトするとの見方が出ている。いずれも3年目までのQBが先発を務めたことがあるチーム。来年以降になると新人に追い出される若手QBが増えてくるものと見られる。とにかくNFLは若者天国である。
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