NFLは第12週が終了した。我がNew Englandは勝つには勝ったがファンブル祭り。ChicagoにEvil Grossmanが降臨してくれなければどうなっていたことやら。事前の予想通り、ディフェンスのおかげで何とかなった試合であった。
今年のオフェンスの不安定さの一因にファンブルがあるのでは。そう思って調べてみたのだが、確かに今年は多くの選手が手にバターを塗っている模様。たとえばBrady。彼のキャリアでのファンブル率(ロストではなくファンブルした率)は1.7%でAFC東の他のQB(Harringtonが1.1%、Penningtonが1.6%、Losmanが3.3%)と比べても平均的な成績なのだが、今年はなぜか2.2%に上昇。キャリア1.0%のDillonは1.4%に、元々ファンブルの多いFaulk(2.0%)は2.7%に、トップレシーバーのWatsonは3.9%が4.4%になっている。
WRもよろしくない。キャリア1.9%のBrownは今年はゼロなのだが、昨年いたBranch(キャリア0.7%)、Givens(同0.6%)の代わりに入ってきたのがCaldwell(同5.3%)、Gabriel(同1.6%)。今年の実績でもCaldwellが4.3%、Gabrielが4.2%となっており、はっきり言って冴えない。何のかんの言いながら今年のレシーバーのレベルが昨年より低下していることは否定できないだろう。
さてChicago戦だが、この試合におけるBradyのインターセプトは彼の判断ミスというよりレシーバーの確保ミスと言った方がいい状況だった。その意味で(ファンブルを除き)Bradyのプレイは向上しているのではないだろうか。この試合でもディープパスは4/8-110となかなかいい成功率。ショートは18/25-159とこちらも安定している。
Football Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"のデータでChicagoディフェンスが最も得意としているRBへのパス(DVOA-60.2%、1位)でプレイを進めたのも評価できる。Faulkが6/6-37、Maroneyが4/4-45、Dillonが1/1-3とRBへのパス成功率は100%を達成。Chicagoの弱点である一番手WR(14.0%、22位)のCaldwellは3/5-57とまあまあ。同じくChicagoの弱点であるTE(0.6%、21位)ではWatsonが6/11-86といつもの低いレシーブ率に逆戻り。先週のWatsonはどうやら幻だったようだ。
パスがそこそこだったのに対しランオフェンスはかなりダメ。ニールダウンを除いた31回のランのうち10ヤード超ゲインできたのはBradyのスクランブルも含めてたった2回。逆にロスに追い込まれたのは3回もあった。メーンとなっている二人のRBは仲良くファンブルを記録し、特にDillonはFOXのQuick Readsで栄えある「今週最低のRB」(DPARで-3.0)に選ばれたほど。以後は「張り子の虎」でなく「赤べこ」と呼ぶことにする。
一方のディフェンスだが、まずパスでは相変わらず二番手WR(Berrian)のカバーが問題。11回のパスのうち成功を5回に抑えたのはいいのだが、喪失104ヤードは取られすぎだろう。Grossmanが特にディープパスで乱調(3/12-86)に陥らなかったらヤバかったかもしれない。
だが問題はむしろラン。リードされた後半、Chicagoはパス11回に対しランを20回もやって来た。普通、リードされたチームはパスが増えるものだが、この試合のChicagoは逆。それだけGrossmanを信用していなかったとも言えるが、より重要なのはそれだけランが良かった(NEのランディフェンスが悪かった)ことにある。
特にSeauの脱落は痛い。彼自身のタックル数は1回だけ。Seauの負傷後にその穴を埋めたVrabelが5タックルの4アシスト、Vrabelの後釜に入ったBanta-Cainが1タックル1アシストだったのを見てもそう悪くないように思えるが、そうしたスタッツに出ないところでSeau不在の影響はあった。Seauがいる間、Chicagoのランが10ヤード超を達成したのは12回のうち1回だけだったが、Seau負傷後この数値は24回中3回に膨らんだ。
ランディフェンスはNEの中で本当に強い部分だった。それだけにSeauのIR入りが今後にどう影響するかは気になるところだ。もっともこういう事態が生じる可能性は、あれだけのベテランを取ってきた段階で予想ができたはず。これに対処できないとすれば、NEのコーチ陣もその程度だったということだろう。
もう一つ、スペシャルチームも見ておきたい。Football OutsidersによればChicagoはSTもトップ。特にFG/XPとKickoff、そしてPRはDVOAでリーグトップとの評価を受けている。ではこの試合はどうだったか。まずFGではChicagoは1回ブロックされている。実はこれはGouldにとってシーズン初のFG失敗だ。次いでKickoffではNEが4回中2回エンドゾーンまで届かせたのに対してChicagoはゼロ回とこれもよくない。PRも2回フェアキャッチで1回はOOBと結局1回もリターンできていない状態だ。ドライブ平均開始地点もChicagoの自陣24ヤードに対しNEは33ヤード。NEのSTはかなり頑張ったと言える。
他チームの動向を見ると、Vickが下品なポーズをして謝罪した。彼に対するファンの不満もかなり高まっているようだが、個人的には今後ともぜひ彼を先発として使ってほしい。何しろ現時点で彼のラッシングは870ヤード。夢の1000ヤードまで後5試合でたった130ヤードなのだ。これは狙うしかないだろう。
DenverはPlummerのクビを切って新人に切り替える方針。DPARがCollinsやFrye並みのBledsoeを切ったDallas、プレイオフがほぼ消えたWashingtonが控えQBに替えるのは分かるが、これはいかがなものか。Denverはプレイオフを諦めたと言われても仕方ない選択である。個人的にはNEが苦手としているDenverが自滅への道を歩むのは大歓迎ではあるが。
後、QB交代に味を占めたDallasはKも交代。でも代わりに入れたのがGramaticaってのはなあ。確かにKickoffの距離は今年のVanderjagtが59.9ヤードなのに対し2004年のGramaticaは61.5ヤードあったから上向く可能性はあるけど、FGはVanderjagt(2006)が13-18に対し、Gramatica(2004)は11-19だぞ。代わり映えしないんじゃなかろうか。
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