民主政の手続きに則って選ばれた政権が民主主義を否定するような政策を実行するのはどこまで容認されるのか。この問題は民主政という仕組みについて回るものだろう。今回のエジプトや、あるいはワイマール共和国もそうだが、もっと古いフランス革命期にも見られた問題である。総裁政府は選挙に様々な規制をかけ、それでも足りない場合はクーデターによって多くの議員を当選無効にした。例えばフリュクティドールのクーデターでは王党派の議員たちが逮捕、追放されている。
民主政は現体制や制度を否定する政治勢力が選挙によって多数派になる可能性を孕んだ仕組みである。そうした政治勢力が民主的に政権の座につき、その後で民主的な手続きを完全に破棄してしまうことだってありうる、というか実際に過去にあった。おそらく将来も起こり得る事態であろう。その場合にはどう対処すべきなのか、正解は思いつかない。
また民主的な手続きがいくら行われていても、完全に形式だけになってしまっている場合はどうなのかという問題もある。世界の中には投票率ほぼ100%の国もあるが、その国が素晴らしい民主政国家であると考える人はほとんどいるまい。ことほどさように民主政ってのは難しい。
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