蒐集者の庭

 NEのTEドラフトは異常である。2000年から2006年までにドラフトされたTEは全部で104人。全部32チームが少なくとも1回はTEを指名しているものの、毎年指名しているチームはNEのみ。全部で9人指名しているのも、St.Louis、Tampa Bay、San Francisco(いずれも7人)を上回りリーグトップだ。この期間中にNEが指名したドラフト選手は計61人。そのうち実に15%がTEである。この比率もやはりリーグトップ。明らかに偏っている。
 これだけ指名しまくったTEだが、果たしてその指名は成功だったのだろうか。いくつかの指標を使って分析してみる。まずゲームへの出場度合い。ドラフト指名後にNEが行ったレギュラーシーズンの公式戦に対し、TEが出場した比率を調べてみる。するとThomasが90%、Grahamが76%、Watsonが62%出場した以外は軒並み0%が並ぶ(NE以外で試合に出た選手も0%とする)。9人中、6人はそもそも試合にすら出られなかったわけだ。
 といっても、もともとドラフト下位の選手は試合にすら出られないことが多い。そこで、各ドラフト巡ごとにTEの平均出場率を調べ、NEのTEがそれをどのくらい上回って(下回って)いるかを調べてみた。すると上回っているのはドラフト3巡指名のThomasのみ(ドラ3の平均は73%)。GrahamもWatsonもドラ1の平均出場率(77%)を下回っているし、他の出場していない選手は言わずもがな。これだけ見ると指名権の無駄遣いとしか思えない。
 試合に出たといっても先発選手と控えスペシャルチーマーを一緒にするのはいかがなものかとの見方もある。出た試合でどれだけ活躍したかが重要だという訳だ。そこで、実際に出場した試合でいくつのパスレシーブをしたかを調べてみた。TEの仕事はパスレシーブだけではないが、スタッツとして出てくるのがそれくらいしかないので仕方ない。するとWatsonは1試合平均2.7回、Grahamは1.9回、Thomasは0.3回。ドラ1の平均が2.6回、ドラ3が1.2回なので、Watsonがかろうじて平均を上回っているだけだ。この指標でもドラフトでのTE指名が成功しているとは言いがたい。

 詳細に年別に見てみよう。2000年にNEが指名したのはStachelski(5巡)。彼は結局NEではまったくプレイしなかった。この年のドラフトTEのうち、指名順位上位3人(Franks、Becht、Kinney)を除く9選手はキャリア20レシーブ未満と軒並み外れ。その意味ではNEの指名も大失敗とはいえないだろう(成功でもないが)。
 2001年には4巡でHolloway、6巡でLoveを指名。どちらもNEではプレイしなかったが、Hollowayは他チームで25試合に出場し15レシーブを記録した。この年の外れはCincinnatiが3巡で指名したBrewerでNFLではまったくプレイせず。逆にHollowayの10人後に指名されたManumaleunaは87試合に出場したし、7巡のJohnsonは現時点でキャリア187キャッチを記録している。2人指名してどちらもプレイすらしなかったNEのドラフトは、やや失敗といったところか。
 2002年は全体で24人のTEが指名されたTEの当たり年。NEは1巡でGrahamを指名し、これまで56試合で109レシーブをした。同じ1巡のShocky(64試合、287レシーブ)、Stevens(65試合、115レシーブ)、2巡のJolly(72試合、120レシーブ)と比べると物足りない。この年の大当たりは4巡のMcMichael(74試合、262レシーブ)であり、NEにとっては成功とは言いづらいドラフトだ。
 2003年には7巡でNeadを指名。彼もまたNEではプレイせず、他チームで10試合に出て1レシーブだけ記録した。7巡なので外れでもさしたる問題はなし。ちなみにこの年のTEで最も活躍しているのは3巡のWitten(57試合、227レシーブ)である。2004年は1巡でWatson(26試合、70レシーブ)指名。同じ1巡のWinslow(12試合、65レシーブ)よりは活躍しているが、3巡のCooley(42試合、140レシーブ)よりは低調。全体としてはそこそこのドラフトだろう。
 2005年の指名は7巡のStokesなので使えなくても無問題。2006年は3巡のThomasと4巡のMills。こちらはまだ判断するには試合数が少なすぎるが、現時点でまったく記録を残していないMillsは外れかもしれない。

 とまあ色々な見方をしてきたが、どうもTEのドラフトについていい点が見つからない。何とかできないだろうか。そこでFootball Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"のDPARを導入した。ドラフトされたTEのDPAR(データが分かるもののみ)を足し合わせ、それをドラフト後にチームが行った試合数で割ってみたのだ。出場試合数で割らなかったのはドラフト時点でのチームの期待にどれだけこたえたかを見るため。プレイ数の少ない年はDPARデータがないため多少不正確にはなるが、大まかな傾向は分かるだろう。
 するとGrahamは0.35、Watsonは0.39、Thomasは0.01になる。1巡の平均は0.34、3巡は0.18なので、WatsonとGrahamの二人が平均を上回ることになる。ちなみに一流どころはWitten(1.00)、Miller(0.78)、Shocky(0.76)、Cooley(0.72)、Clark(0.72)、Crumpler(0.71)など。WatsonとGrahamはそこまではいかないものの、一応ドラ1としての期待にはこたえていることになる。
 最近のドラフトでこの数値が高いTEを複数指名しているチームは、実はNEしかない。そもそもこの数値がプラスのTEを2人指名しているチームも8つしかなく、NEのようにThomas含めて3人指名しているのは他に存在しない。水準の高いTE二人(NEの場合はWatsonとGraham)を揃え、最近増えている2TE隊形に対処しやすい体制をあらかじめ作っていたと評価することもできる。
 大勢TEを指名したチームの中では最も歩留まりが高いのも事実。9人の平均は0.087となり、7人指名したSt.Louis(0.008)、Tampa Bay(0.003)、San Francisco(-0.009)より高水準。大勢指名したのだから3人くらいモノになっても当然、ではないのだ。
 指名を絞り、優秀なTEを一人確保してそれで試合に臨むチームもある。2000年以降でCrumplerしか指名していないAtlantaは典型だろう。NEはそれとは異なる「質より量」戦略を採用している。使えるTEを多数揃えるためならドラフト指名権を大量に投入しても採算は取れるとの発想だ。2人以上のTEを使った隊形の方が現実に有効であるならば、それも一つの見識。ちなみに今年のBradyの成績を見るとTE1人以下の隊形だとレーティングは86.5、2人以上なら95.9となっている。

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