WBC終了。前回"
http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/53787171.html"も書いたように「運不運でどちらに転ぶか分からない」トーナメントでは必ずしも実力あるチームが勝ちあがる保証はない。それでも当初から優勝候補といわれていたチームが無敗で優勝までたどり着いたのは見事と言えるだろう。
ドミニカは何が良かったのか。OPSは0.796で全体では5位に過ぎず、FIPは3.35でこちらも5位だ。打撃はプエルト=リコ(OPS0.581)よりいいが投手ではプエルト=リコ(FIP3.08)を下回るといったところ。両者のバランスで言うなら日本(OPS3位、FIP2位)の方が上だったりする。つまり実力的にはベスト4の中で突出してよかったとまでは言えない。突出して良かったのは投手陣のツキ。被BABIPは0.227にとどまり、日本(0.358)はもとよりプエルト=リコ(0.319)、オランダ(0.295)より恵まれていた。これがWHIP1.01というトップ成績につながったのだろう。
ドミニカが実力的に劣っていたというわけではない。OPSとFIPのバランスのよさで言えばそれこそ日本と並んで理想的なチームの1つ。日本の打撃がオランダ戦とそれ以外で大きな落差があったことまで踏まえるなら、実際はドミニカの方が上かもしれない。またOPSの高いキューバやカナダはFIPが平凡、逆に韓国やプエルト=リコはFIPが良かったがOSPは下位にとどまるといった感じで、バランスのいい国はそんなになかった。攻守のバランスに加え、ツキにまで恵まれたドミニカが大会を8連勝で終えたのは当然かもしれない。
それにしても今回の大会であまり見かけなかったのが「スモールベースボール」という言葉。前の大会まではスモールかビッグがという話題をよく見た気がするんだが、今回はそんな話はあまりなく、単に打線の不振に対する不満の声を見かけることが多かった。統一球の地味野球をずっと見せられたせいで、もうスモールベースボールはおなかいっぱい、と思っている人が多いのかもしれない。
では今回の日本チームはスモールだったのか。一応そうだったと言える。一例が盗塁の数。1試合平均の(成功・失敗含む)盗塁数を見ると日本チームは1.57回。大会平均(0.78回)を大きく上回り、全16チームでトップだ。まあ長打率(0.433)でもキューバ、ドミニカに次ぐ3位に入っているのであまりスモールという感じはしないが、足を使った攻撃に最も積極的だったのは間違いない。
しかし、過去の大会に比べると「スモール度合い」は下がっている気もする。第1回大会の1試合平均盗塁数1.88が、第2回には1.67になり、今回は1.57まで低下していることが理由の一つ。もう一つは盗塁の成功率で、第1回の87%が、第2回には73%となり、今回は64%だ。一般に盗塁は成功率が3分の2以上でないとマイナス効果だと言われており、今回の大会では盗塁で採算割れを起こしていた可能性がある。準決勝の盗塁失敗は大会敗退の直接要因となったが、大会全体を通じても日本の盗塁は過去ほどの貢献をもたらさなかったようだ。
一方で増えたのは四球。第1回は1試合平均4個、第2回は3.89個だった四球数が、今回は4.43個と急増し、16チームでトップに立った。長打率まで含めビッグベースボールと呼ばれるだけの数字は残している。少なくとも前回大会のOPSで9位という惨状に比べればずっとマシだ。とはいえ今大会の打線はほとんどオランダ戦だけで帳尻を合わせているので、実際にはとてもビッグに見えなかったけど。
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