続WBC2013

 WBC関連のデータを見ているのだが、アメフトと同じ問題があるようだ。アメフトの場合、得失点に関する説明能力の高いretrospectiveな指標と、将来予測に役立つpredictiveな指標がある。たとえばANY/Aは前者であり、NY/Aは後者であるといった例がしかり。前者はターンオーバーのように偶然性が高いものの試合結果に大きな影響を及ぼすデータを組み込んでおり、後者は安定した成績が残りやすいデータが入っている(NY/Aにはパス成功率と被サックという継続性の高いデータが織り込まれている)のが特徴だ。
 野球の場合はこちら"http://baseballconcrete.web.fc2.com/alacarte/continuation.html"を参照しても分かるように、打者であれ投手であれ、三振、四球、本塁打関連のデータは安定性が高いことが分かる。打者の場合は順番が(1)本塁打(2)三振(3)四球――であるのに対し、投手は(1)三振(2)四球(3)本塁打――と微妙な違いはあるし、相関性でいえば打者より投手の方が低いといった差はあるが、これらがアメフトで言うところのNY/Aに相当する指標であることは分かるだろう。投手ならFIP"http://ja.wikipedia.org/wiki/DIPS_(%E9%87%8E%E7%90%83)"あたりが将来を予測するうえで適当だし、打者なら本塁打率や三振率が安定していることになる。
 しかし一般に成績表でよく見るのは打者ならOPS、投手なら防御率とWHIPだ。本当なら打者の成績ではSecA"http://www47.atwiki.jp/bbstats/pages/14.html"とかを、投手ならFIPあたりを出した方が彼らの将来の成績を予想する上では役に立つだろうが、必ずしも実体はそうなっていない。それでもまあ打者のOPSなら翌年の成績との相関が0.652とそれなりに高いので許されそうではあるが、投手のWHIP(0.308)や防御率(0.274)はいかにも低い。
 アメフトでもオフェンスが相対的に安定した成績を残すのに対し、ディフェンスの方がボラティリティは高い(一番高いのはスペシャルチーム)。野球も同様に打者の方が投手より成績が安定している傾向が見られるようだ。アメフトでオフェンスを整える方が成績を引き上げやすいのと同様、野球でも打者をそろえることが手っ取り早い勝ち星増加法になるんだろうな。
 
 さてWBCに出ているチームについて、その安定性が高いSecAとFIPを比べてみよう。ゲームとしては11日の試合が終わった時点、つまりA、B組は第2ラウンドの勝ち残りが決まった時点、C、D組は第1ラウンド終了時点でのデータだ。まずは打撃陣のSecAだ。
 
CUB 0.348
VEN 0.317
JPN 0.312
DOM 0.295
NED 0.273
ITA 0.243
PUR 0.239
CAN 0.235
USA 0.216
MEX 0.206
TPE 0.191
KOR 0.175
CHN 0.134
ESP 0.130
AUS 0.104
BRA 0.061
 
 A、B組で生き延びた連中の中では台湾がかなり低いものの、あとは上位だ。C、D組では一番打撃陣が安定していたベネズエラが敗退した一方、強豪米国の数字が随分と低くなっている。そして現時点で生き延びているチームの中では日本の成績がトップ。オランダ戦の1試合だけでここまで良くなるんだから、短期決戦の数字ってのはやはり当てにならないと見るべきか。次は投手陣のFIPで、計算法は前回と同じ。
 
JPN 2.03
KOR 2.54
PUR 2.98
MEX 3.24
DOM 3.28
CUB 3.70
USA 3.72
ITA 3.96
BRA 4.00
CAN 4.10
VEN 4.77
AUX 5.18
CHN 5.24
TPE 5.45
ESP 5.66
NED 6.09
 
 これまた日本がトップ。特に奪三振が素晴らしい。打撃陣が不振だったときにチームを支えていたのが投手陣であることは間違いないだろう。あとは生き残った連中の中ではプエルトリコやドミニカがそこそこ優秀な数字であり、オランダは勝ち残ったものの投手陣は崩壊していると言っていい。
 という訳でWBCの三度目王者候補として最も確率が高いのは現時点では日本となる。だが何しろ少ないサンプル数から無理やり出した数字なので、本当に各国の実力が額面通りなのかどうかははっきりとしない。たとえ額面通りだとしても、短期決戦では何が起きるか分からないことも事実。投球数制限は投手陣全体の能力が高い日本にとってプラスに働くと思われるが、それも偶然の偏りであっさり吹っ飛ぶ可能性は十分にある。何にせよ面白い試合が増えることに期待したいところだ。
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