少し前だがこういう報告書"
http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2012.pdf"が出た。ジャンルごとに音楽がどのように聴かれているかを調べたものだが、それまでなかった「ボーカロイド(初音ミク等)を利用した楽曲」というジャンルも今年から調査対象にしたようだ。調査結果は、これまで言われていたことが裏付けられる結果となっている。
右肩下がりではあるもののいまだに音楽市場の中心となっているCDのアルバムで見ると、vocaloidは3.2%。ゲーム音楽やインディーズより下、アニメ以外の映画音楽より上という程度の位置づけでしかない。ちなみにアニメ音楽は8.3%(1年前は10.4%)を占めているようで、映画産業の凋落振りを窺わせるデータでもある。
興味深いのは世代別の分析だ。vocaloid曲を購入した比率を見ると中学生では16.8%、高校生は13.8%とかなり高い。大学・専門学生になると4.4%に、それより上の世代は高くても2%台に留まるのを見ても、いかに若い世代の支持が突出しているか(というか他の世代がどれだけ無関心であるか)がよく分かる。前から言われていた通り、10代が最大の聞き手になっていることが売上高の面からも裏付けられた。
特に凄いのが10代女子。中学生女子は26.6%と4人に1人がわざわざvocaloidのCDを購入していることになるし、高校生でも18.5%ある。一方、男は高校生の8.8%が最高で大学・専門学生が5.2%、中学生が4.9%だ。もっとも大学・専門学生から30代までは実は男性の方が支持が高かったりする。あと、なぜか男女ともCD購入が多い50代でも、vocaloid購入者が少しはいる。子育て一巡とかで少し自分の趣味に回帰する人が多いんだろうか。
他のジャンルと比べると、中学生では日本のポップス(36.1%)、日本のアイドルミュージック(30.4%)、アニメ音楽(21.8%)、日本のロック(20.4%)に次いで高い比率になっている。20以上あるジャンルの中でこの順位だからこれはかなり高い支持率と見ていいだろう。ちなみに中学生女子に絞れば日本のポップス(34.8%)、日本のアイドルミュージック(28.7%)に次ぐ3位にまで浮上する。
高校生になるとゲーム音楽に抜かれるが、それでもかなり上位なのは間違いない。高校生女子なら日本のポップス、日本のロック、日本のアイドルミュージック、アニメ音楽に次ぐ5位。前からvocaloidは10代女子の支持が圧倒的に高いといわれていたが、それをそのまま裏付けるデータだ。若いころの音楽というのは一生付きまとうものなので、これだけの比率で聞かれている(実際に購入されている)なら今後も長い期間にわたってvocaloidの文化が生き残ることは間違いなさそうだ。
それにしても他のジャンルを見るとなかなか面白い。まずアイドルミュージックが圧倒的に若者向けである(中高生と20代社会人の支持が高い)のに対し、ポップスはむしろファンの高齢化が進んでいる(最も支持が高いのが30代で、低いのが中学生)ことが分かる。日本のロックは20歳前後の女子と社会人男性に、海外のロックはほとんど男ばかり(それも世代が高め)に、K-POPがひたすらおばさんに聞かれているのも特徴的だ。
若い連中の支持は高いが一定以上の年齢になるとほとんど聞かれないのはvocaloid曲以外にもアニメ音楽、ゲーム音楽に共通する傾向である。一方、ニューミュージックを聞いているのはニューでも何でもない人(50代が中心)であり、海外のポップスもそれに近い。クラシックとジャズはどちらも50~60代が高い点で似ており、演歌は60代がメインなのだがなぜか中学生男子の支持が高かったりする。
未知のアーティストを知るきっかけとして20代以下では無料動画配信サイトがトップに来るなど、インターネットの影響はどんどん増えている。音楽の視聴機器でも屋内ではパソコン利用がトップ2を占めており、専用機器を使った音楽聴取の時代はもはや過去になりつつある。そういう時代だからこそネット発のvocaloidが(世代が限定されているとはいえ)受け入れられたのだろう。
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