2005シーズン以降、プレイオフのランダム性が高まっているとの分析がある"
http://www.footballperspective.com/are-nfl-playoff-outcomes-getting-more-random/"。ベガスのハンデを見ながらどちらが勝つかを想定した場合、1978年以降では56.6%の勝率を達成できるのに、2005年以降だけに限ると勝率が53.2%になるという話だ。全くのランダムでも50%の勝率を得られると考えるなら、2005年以降の方がランダム度合いが大きく増していることは否定できない。
ランダム性と同時に生じている現象が、プレイオフにおける競り合った試合の増加だ。最もわかりやすいのはSuper Bowl。これまで47回のSuper Bowlで最終的な点差が1TD以内に収まったものは17試合あった。平均して2.8試合に1回のペースだが、2005年以降に限れば5試合(1.6試合に1回)、2007年以降にすれば実に6試合中5試合で1TD差以内のきわどい試合になっている。
昔はそうではなかった。Super Bowlといえば実力差がそのまま点差に表れ、退屈な試合展開になることもしばしばあったものだ。特に80年代から90年代にかけてはそうした試合が多く、第17回から第31回までの15回のSuper Bowlで1TD以内になったのはたった2試合のみ。一方20点差以上開いた試合は半分近くの7試合に達していた。Super Bowlだけで見れば緊迫した試合が増え始めたのは1997シーズンのDenver対Green Bay以降となり、16年のうち1TD差以内が実に10試合に達する。
ただプレイオフ全体となると接戦が増加したのは00年代後半だ。1966から2005シーズンまでの40年間、プレイオフの平均得失点差が10点を下回った年は5回(1970、72、79、97、2003シーズン)しかなかったが、2006から12シーズンまでの7年間を見ると09と11シーズンを除く5年間で10点差未満になっている。
競り合う試合が増えたのは実力が均衡してきたからと見るのが妥当だろう。しかし実力均衡策としてNFLがサラリーキャップを導入したのは90年代前半。実際にプレイオフの均衡度合いが強まった00年代半ばとの間には10年以上のタイムラグがある。これはどう考えるべきだろうか。
制度が定着し、実際に実力に反映されるまでにそんなに時間がかかったと考えるのはいささか無理があると思う。個人的には1997シーズンの頃までにはほぼ均衡はなし遂げられていたのではなかろうか。実際この年のプレイオフにおける平均得失点差は10点以内にとどまっている。問題はその後で、00年代の前半まではランダムな試合の結果favoriteが勝利することが期待値より多かったのではなかろうか。後半以降は偏りが逆となり、underdogが勝つことが増えたのではないかと思う。
点差についても同じようなことは言えそうだ。実は1982-1996の15年間の得失点差について調べると平均値が14.8に対して標準偏差は1.9。97以降の平均(12.1)及び標準偏差(2.8)と比べ平均は大きいのに標準偏差は狭い範囲にとどまっている。戦力均衡がなし遂げられた97以降はちょっとした勝負の綾で点差がランダムにブレたのに対し、それ以前は実力差が開いていた分だけランダム性が減り、点差も狭い範囲に収まっていた可能性がある。ブレが拡大した97年以降、00年代前半まではブレ増加の方に、後半以降はブレ減少の方に偏りが出ていたのではなかろうか。
2005という年が単なるランダムな偏りの結果出てきた変化点に過ぎないのか、それとも本当にこの時点で何かが変わったのか。それを見るためにはもっと長期間のデータが必要になるんだろう。それまでは私の考えも思いつきに過ぎない。ただ00年代後半からプレイオフのランダム性が高まっているという事実だけは否定できないし、今年もそうだったことは確かである。
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