conference championship

 両カンファレンスの決勝終了。HarBowlが話題になっているが(確かに話題になるだけの話ではあるが)、個人的には久しぶりに若手QB同士の対決となったことに注目したい。Kaepernickは今年2年目、Flaccoもまだ5年目であり、Superbowlの両先発が5年目以内のQBとなったのは2001シーズン(2年目のBradyと4年目のWarner)以来だ。年齢で見ると両者の合計は53年と4カ月程度であり、さらに遡っておそらく1996シーズン(BledsoeとFavre合わせて約52年3カ月)以来のフレッシュな組み合わせになる。
 実際問題これまでSuperbowlで先発したQBを見ると、最も新しくNFLに入った選手は2005年ドラフトのRodgersであり、彼以降の選手たちは誰一人としてSuperbowlにたどり着いていなかった。2001から2011シーズンまでSuperbowlで先発した延べ22人のQBがNFLに入った年の内訳を見ると1998、2000、2004年がそれぞれ延べ5人と多く、後は1999年が2人いるくらい。この4年分だけで22人中17人を占めている訳で、最近のSuperbowlが限られたQBたちの舞台になっていたことが分かる。新人QBの活躍が目立ったシーズンだが、プレイオフでも若手の奮起が見られた格好だ。
 
 New Englandは今年もプレイオフでFavoriteながら敗北。前半はリードして終えたが後半のアジャストが効かなかった格好だ。ただ後半追い上げ型のチームは実際にはあまり強くない。少なくともNew EnglandでBradyが先発になった2001年以降のチーム(含むプレイオフ)について前後半の得失点差を調べてみると、前半の得失点差がマイナスだった2002年と2005年の最終的な勝率は期間中で下から数えて1番目と3番目。前半リードした方が勝率は高い。
 ではなぜ勝利の方程式が崩れたのか。Pro-Football-Referenceが出しているこの試合のExpected Points Summaryを見ると、New Englandでマイナスが大きいのはオフェンスのターンオーバー(-11.84)とパスディフェンス(-9.93)だ"http://www.pro-football-reference.com/boxscores/201301200nwe.htm"。パスディフェンスが弱いのはいつも通りだが、相手からターンオーバーを奪えなかったのは今年のNew Englandにとっては致命的。そしてオフェンスは4Qになってターンオーバーで自滅していった。
 実のところ、この結果は今年のNew Englandの数字を見れば想定できる範囲ではあった。New Englandの強さがオフェンス、ディフェンスともターンオーバーに頼っていたことは、特にNY/AとANY/Aについてそれぞれオフェンスとディフェンスの差を比較すれば一目瞭然である。NY/Aの差(以下NY/A diff)は+0.10、つまりターンオーバーを含まないパス効率はオフェンスとディフェンスでほとんど差がなかったのに対し、ANY/Aの差(ANY/A diff)は+1.08とNY/A diffよりほぼ1ヤードも高い数字になっている。プレイオフ出場チームではGreen Bay、Atlanta、Seattleについで高い数字である。
 なぜそうなるのか。Bradyという特殊なQBがいるためだろう。彼は先発に定着して以来、1度も被インターセプト率がリーグ平均を上回ったことがない。このためBradyのANY/Aはいつも高めに出てくる。当然ながらNY/A diffよりANY/A diffの方が大きくなる傾向も見られる。さらに今年のように得点力がある場合、相手オフェンスがキャッチアップのため無理投げすることも多いため、ディフェンスのインターセプトも増えやすくなる。余計にANY/A diffは大きくなる訳だ。
 確かにBradyに代表されるようにQBによってはインターセプトが少ない(あるいは多い)傾向の強い選手もいる。しかしそうした選手であってもn年とn+1年の比較をすればインターセプト率がほぼランダムであることもまた事実。まして個別の試合で見ればブレがあるのも当然だろう。そのブレがこの試合で生じた結果、アップセットが生まれたのだと考えられる。ちなみにNew England以上にNY/A diffとANY/A diffの差が大きいGreen BayやAtlantaもまた、ほぼコンスタントにインターセプト率が低いQBを抱えているチームである。
 
 というかそもそもNY/A diffでプレイオフの試合予想をすると、Baltimore @ New Englandは実はアップセットですらなくなる。それを調べるうえではまずHFAがどの程度あるかを計算しておかなければならない。現在の32チーム体制になった2002年以降の試合で調べてみるとNY/A diffは0.24、ANY/A diffでは0.40ほど、ホームチームの方がいい成績になった。試合を評価するうえではこの分をホームチームに上乗せする必要がある。
 また、レギュラーシーズンの結果だけでなく、直前のプレイオフの試合も計算には含めるようにする。つまりDivisional Roundの試合ではWildcard Roundから勝ち上がったチームは16試合ではなく17試合分のNY/A diff、ANY/A diffを計算するのだ。その結果は以下の通り。左からNY/A diffの差、ANY/A diffの差(HFA修正済み)で、プラスの場合はホームチーム有利を、マイナスはアウェイ有利を意味する。
 
Ind @ Bal +0.86 +1.79
Cin @ Hou +0.50 +0.33
Sea @ Was -0.81 -0.97
Min @ GB  +1.83 +3.76
Bal @ Den +2.04 +2.48
Hou @ NE  -0.56 +0.67
Sea @ Atl -0.96 -0.77
GB @ SF  +0.82 +0.35
Bal @ NE  -0.12 +0.47
SF @ Atl  -1.27 -0.71
 
 見ての通り、どちらの指標でもアップセットになるのはBal @ DenとSea @ Atlの2試合。加えてNY/A diffならHou @ NEが、ANY/A diffならBal @ NEがアップセットになる。他のスタッツ系予測と一致しているのは後者の方であり、ターンオーバーまで含めた力を見た場合、AFCのChampionshipはアップセットだったということになるんだろう。しかしターンオーバーはランダム性が高いと考えてNY/Aで見た場合、New EnglandがChampionshipで負けたのは当然で、むしろDivisional Roundでよく勝ちを拾ったと言うことになる。シーズン全体を通じればターンオーバーはNew Englandにとってプラスになっていたが、一発勝負のプレイオフではそのランダム性が足を引っ張った可能性があるのだ。
 
 なお同じ手法でSuperbowlの予想をすると以下のようになる(中立地開催なのでHFAはなし)。
 
SF  +1.54 +2.11
Bal +0.55 +1.27
 
 NY/A diffでもANY/A diffでもSan Franciscoが圧倒している。たとえBaltimoreのホームで試合が行われたとしてもFavoriteになれるだけの差だ。これでなおBaltimoreが勝ったのなら、その時は彼らをTeam of Destinyと呼ぶべきなんだろう。
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