そもそも、こういった「多メディア展開」で売る手法ってのは全然目新しいものではない。昔に遡れば「角川商法」と呼ばれたものがあった。こちらは元作品が小説で、それを映画やら何やらに展開させるのが得意技だったが、別に元ネタが小説でなければいけない理由はないってことだろう。そして、当時10代だった自分自身を振り返っても、その主要ターゲットに若者が含まれていたのは間違いないと思う。
違いがあるとしたら、ケータイ小説も同じだが、元ネタが素人作品である点。素人の下手な作品でも妙に売れることはあるし、プロの質の高い作品でも売れないことはあるという、それ自体は当たり前の現象も、こうした多メディア展開で増幅されると色々と目立ってしまうことは確かだ。そこに違和感を感じる人もいるかもしれない。いずれはボカロ小説も飽きられる時が来る可能性はあるし、評価はそれからでも遅くはないだろう。
ただ、音楽を元ネタにしたのはうまい手だと思う。10代の頃に聞いた音楽は、一生自分につきまとう。それだけ音楽というメディアは若者に訴求しやすいんだろう。音楽をベースにした多メディア展開という事例は今まであまり見たことはないし、これがどこまで定着するのか、それともやはり一時的ブームで終わるのか、そのあたりには関心がある。
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