QB雑談

 QBがらみの話は、QBで苦労しているチームの方が面白い。New EnglandとかDenverのようなチームの場合、先発QBがいつガス欠になるかといった問題以外は浮上してこないのが実情だ。どちらも功成り名を遂げたQBを抱えており、そして今年もリーグトップクラスのパスオフェンスを展開している。だから今更QBについて語る必要もほとんどない。
 QBで苦悩しているチームは違う。QBはアメフトの中で最も影響力の大きなポジションであり、その選手の能力が平均以下のチームはそれだけで大きなハンデを背負いながらプレイしていることになる。たとえ勝っていてもQBをどうするべきかは常に話題になるし、負け始めればブーイングは一気に膨らむ。傍から見る分にはとても楽しい。
 
 たとえばJetsのSanchez。私は2009シーズンから彼のことをダメQBと呼んできた"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/50007264.html"が、当時はAll he does is winとか言ってSanchezを擁護する声も結構多かったものだ。尤も勝つ以外に評価できる点が全くないQBなので、当然勝てなくなれば非難が浴びせられる。今ではSanchez the Bust"http://thesportsmenu.com/home/?p=3598"とか、Mark Sanchez: The Real Problem"https://www.profootballfocus.com/blog/2012/11/14/mark-sanchez-the-real-problem/"とか、好き放題書かれるようになった。
 それでもまだ希望を持っている人はいるかもしれない。Alex Smithを見よ。若いころの彼はまさにbustと呼ばれ、散々な成績を積み重ねてきた。だがそのSmithですら覚醒したではないか。それも昨シーズンだけではなく、今シーズンも素晴らしい成績を残している。San Franciscoが諦めずに長い間彼をスターターとして使い続けたことが、今になって報われているのである。との主張もありうるだろう。
 SanchezはSmithになれるのか。Smithのキャリア最初の3年間をSanchezと比べれば、正直Sanchezの方がずっとマシである。SmithのNY/A+は79で、最初の3年に500試投以上したQBで彼より悪い成績だったのはJaMarcus Russellしかいない。一方のSanchezは91。これもほめられた数字ではないがSmithよりはマシだし、Eli(94)と比べてもそれほど遜色はない。
 だが、もう少し中身をしっかり見ると話は変わってくる。実はSmithは最初の3年のうち1年目と3年目はQualifyとなるだけの試投数(16試合で224)に達していない。さらに4年目は負傷でシーズン丸ごと棒に振っている。要するに彼がQBとしてきちんとシーズンを終えられらのは2年目しかなく、その年の彼のNY/A+は94まで達していたのだ。一方、Sanchezはずっと3年間先発を続け、でもNY/A+は91にとどまっている。Sanchezが将来Smith程度に化ける可能性はあるだろうが、その可能性はSmithより低いのではなかろうか。
 
 あるいはRomo。有能なQBなのにいつも評価が低いのはインターセプトが多いせいではないか、ということは前に指摘した。実際、彼のInt%+を見ると今年(感謝祭ゲームまで)も含め224試投を超えた6年のうち4年で100を割り込んでいるし、213試投とQualifyにあと一歩届かなかった2010年も95だ。NY/A+では毎年100を超え、ANY/A+でもキャリアトータル116と平均を1標準偏差以上上回っている優秀なQBにもかかわらず、なぜかインターセプトのみは安定して悪い。
 こんなQBは果たして過去にいたのだろうか、と思って1978年以降でパス試投2000以上のQBを対象に、ANY/A+が115以上のQBを並べて見た。彼らの中で最もInt%+が悪かったのはWarner(99)、Romoはそれに次ぐ成績で101だ。他にはRivers(103)やBrees(106)がいるが、Breesあたりまで行くとそれほどインターセプト成績が悪いわけでもないのであまり参考にしない方がいいだろう。
 つまりRomoの将来性を推し量るうえではWarnerの成績が参考になるってことだ。Warnerはデビュー当初は鮮烈だったものの、その後はいい時と悪い時の落差の激しさが特徴となったQBである。キャリアトータルの勝敗も67勝49敗と、感謝祭ゲーム時点のRomo(52勝36敗)と似通っている。今後もRomoは全体的には悪くないのにインターセプトのせいで過小評価を受け、それを裏付けるように勝敗を含む成績が今ひとつ不安定なQBのままで終わるのかもしれない。せめてWarner同様、Super Bowlまでたどり着ければいいんだが。
 
 ANY/A+がキャリア115以上でありながら低い数字を出すQBがいるデータとしては、インターセプト以外にサックもある。Sack%+ではAaron Rodgers(92)とSteve Young(94)が100を大きく割り込んでおり、他にもWarner(103)、Rivers(105)あたりが凡庸な成績である。特にRiversは今年になって成績急降下に見舞われているのが目立つ。前年まで4年連続で115以上をキープしていたNY/Aが99まで落ち込んでいるのを見ても、今年の落ち込みの大きさが分かる。
 Riversは2004年ドラフト組ではぶっちぎりの最優秀QBだった…一昨年までは。2010シーズンまでの時点で2000試投以上を記録した1978年以降のQBの中で、ANY/A+ランキングで4位に顔を出していたのがRiversである。04ドラフト組で彼に次ぐ位置にいたのはRoethlisberger(12位)であり、どれほどRiversが突出していたかが分かる。だが、今年の成績まで踏まえてランキングしなおすとRiversの順位は10位に落ち、11位のSchaubと僅かな差しかなくなる。
 インターセプトが多いのは事実だが、それだけでなくサック率もリーグ平均を下回っているし、Y/Aもほぼリーグ平均並みまで落ち込んでいる。パス成功率は高いが、これはY/Cが先発になって以来最低の10.8を記録していることからも分かる通り、とにかくショートパス頼りになっていることの結果に過ぎない。全体として悪い循環にはまり込んでいる印象が強く、ANY/Aの低下はこれで3年連続となっている。
 単なる一時的不調なのか、それともRiversは20代後半でキャリアのピークを迎えてしまったのか(一般的にQBのピークは32歳と言われている"http://www.footballoutsiders.com/info/FO-basics")、そのあたりは分からない。いずれにせよ、ダメHCの下でチームを支えてきたQBの成績がこうなってしまうと、他のところでテコ入れしないことには先行き不透明さが増すばかりだろう。HCとGMの首筋はさらに寒くなりそうだ。
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