NFL week5

 NFL第5週。スタッツ関連サイトと一般的なランキングが一致した幸せな瞬間は1週間しか続かなかった。一般のパワーランクが全勝を続けているHoustonを引き続き1位に押している("http://www.nfl.com/news/story/0ap1000000078696/article"など)のに対し、スタッツ系ランキングはさっさと別のチームに注目している。
 Football OutsidersのDVOAがトップに上げたのはSan Franciscoだ"http://www.footballoutsiders.com/dvoa-ratings/2012/week-5-dvoa-ratings"。Buffaloを叩きのめした今週の一方的な勝利がこの結果をもたらしたのだろうが、それにしても2位以下を大きく引き離してのトップというのは珍しい。シーズン前予想も加味したDAVEランキングでもトップに立っており、現時点では圧倒的に強いと見られている。2位以下にはHouston、Chicago、Atlanta、New Englandと続く。
 Advanced NFL StatsのGWPでもトップはSan Franciscoだ"http://www.advancednflstats.com/2012/10/team-efficiency-ratings-week-6.html"。DVOAほど他を圧しているわけではないが、オフェンスディフェンスそれぞれでトップを占めるなど非常にバランスが取れている様子が窺える。2番手にHoustonが出てくるところもDVOAと同じで、いつもエキセントリックなGWPにしてはおとなしい。ただ3位にDenver、5位にMiamiと負け越しチームが上位に顔を出しているあたりはいつものGWPである。
 他のサイトと違うチームをトップに出したのがPro-Football-ReferenceのSRS"http://www.pro-football-reference.com/years/2012/"。San Francisco(15.7)を抑えてChicago(16.2)がトップに立った。San Franciscoはディフェンスではトップだが、オフェンスについてはChicagoの方がいい状態にあるようだ。以下3位がHouston、4位がNew England、5位がAtlantaとなっている。
 最も良いチームではなく、最も悪いチームについても各サイトの判断は分かれている。一般的には全敗のClevelandが最下位になっている例が多いが、DVOAはTennesseeを、GWPはJacksonvilleを、SRSはOaklandをそれぞれ最下位と認定。実際、得失点差だけ見てもTennessee、Jacksonville、OaklandはいずれもClevelandより悪い。そして、AFCの方が成績の悪いチームが多い。1勝しかしていないチームはNFCにもNew Orleans、Carolina、Detroitなどがあるものの、彼らの得失点は決して悪くない状態。どうやら今年はNFCの方がドミネイトしている年のようだ。
 
 また現時点で見た限りという条件付きだが、興味深い成績の変化を見せているQBが2人いる。一人はAlex Smith、もう一人がAaron Rodgersだ。
 ANY/Aで見るとSmithは現在リーグ3位と、かつてbustと呼ばれたQBとは思えないくらい立派なポジションにいる。だが彼の成績で最も興味深いのはNY/Aである。いやNY/Aはリーグ11位とANY/Aよりも低いランクなのだが、それでも過去のSmithと比較すると異常な好成績になってしまうのだ。
 NY/AはANY/Aより安定した数値になることが多い。インターセプトやTDなどランダム性が高く変動の激しいデータを織り込んでいるANY/Aより、パス成功率や被サックといった比較的安定しているデータが中心のNY/Aの方が年ごとの変動は少なく、それだけに将来予想にも役立つ。実際、Smith"http://www.pro-football-reference.com/players/S/SmitAl03.htm"のキャリアを見ると、パス試投回数が少ない05年と07年を除くとこれまでNY/Aは5.6から6.1と限られた範囲内で推移していた。
 だが今年のSmithはこの数字が6.8へとアップしている。その大きな要因は、これまで良くても61%台しかなかったパス成功率が今年は現時点で68%台まで急上昇していることにある。問題はこれが果たして彼の実力の結果なのか、それとも短期間(たった5試合)で生じたランダムな変化の範疇に過ぎないのかという点にある。何しろ彼のキャリアを見る限り、連続した5試合でここまで高いパス成功率を記録したことは過去にないのだ。
 RodgersはSmithとは逆の事態に見舞われている。現在の彼はNY/Aのランキングでリーグ29位とかなり下位に低迷。08年に先発の座について以来、おおむね7前後のNY/Aを記録してきた彼が今年は現時点で5.6と絶望的なほどに低い成績しか残していない。
 昨年のNY/A(8.2)は流石に高すぎる数字であり、これを2年連続で繰り返すことができていない点は別におかしくないだろう。平均への回帰はよく見られる現象だからだ。しかし平均をはるかに飛び越して絶好調から絶不調へ一足飛びに移動してしまうのはいかがなものだろうか。
 Rodgersの不調はパス成功率にはない。この数値は去年と同様に高い水準をキープしているからだ。問題はY/Cと被サック。これまで低くても11.8あったY/Cは今年は10.1へ急落。逆に被サック率はこれまでの最高(8.5)を上回る10.0まで高まっている。これまたSmithと同様、何か本質的な変化が生じているのか、それとも単にこの5試合が不運だっただけなのかが知りたいところだ。
 もし彼らがシーズン通じてこの成績になった場合、どう解釈すべきかは難しい。今年になってコーチが変わったとかそういう変化があれば、前に書いた「魔法の杖」理論"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/51503283.html"が適用できるかもしれないんだが、どちらもそういう条件は満たしていない。怪我が理由で成績が急落する選手もいるのでその可能性も考えられるんだが、Smithには当てはまらないしRodgersも派手な怪我をしたという話は聞かない。さて困った。
 もちろん、いくらNY/Aの安定度が高いといってもそれは相対的なものに過ぎず、NY/Aが派手に変動する選手だって実際にいる(例:Roethlisberger)。SmithやRodgersの成績だってそういうものだと割り切ってしまえばいいだけの話かもしれない。
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