面白いことに、猫に対するナポレオンの態度として、全く逆の話もネット上で見つかる。こちら"
http://23cats.brownbear.com.au/historic.html"によればナポレオンはセント=ヘレナで「サンボ」と名づけた犬、金魚や子羊に加え、「ベンと呼んでいた野良猫を飼っていた」という。こちら"
http://www.squidoo.com/quiz-napoleon-bonaparte-man-and-myth"によればベンという名はナポレオンが深く尊敬し、若い士官だったころに彼に忠告の手紙を書いてきた米国の将軍に由来するのだという。
うん、実に胡散臭い説明だ。そもそも何で米国の将軍が若い頃の(つまり全くの無名であった)フランスの一砲兵士官にわざわざ手紙などを送ってよこしたのか。そのあたりの説明なりソースなりが示されなければとても信じるわけにはいかない。おまけに困ったことに、この話はインターネットでしか見つからなかった。つまりgoogle bookではいくら検索をかけても出てこなかったのだ。出版されたことのない、ネットのみで出回っている「200年前の逸話」の信頼度は、果たしてどの程度あるんだろうか。
同じナポレオンのペットに関する話のうち、犬のサンボは少なくとも1961年出版の本"
http://books.google.co.jp/books?id=E44OAQAAMAAJ"に登場している(p275)。ネットにしか出てこない猫のベンよりは由来が古く、それだけ信頼度は上とも言えるが、一次史料に行き着けない点では五十歩百歩。最初に述べた猫嫌いの話も含めて、ソース不明の与太話がこれだけ出回っているのはあきれるしかない。上記全ての文章の著者に言いたい。歴史上の薀蓄を語りたいのならソースを示してくれ。ネタ元を探すのは結構大変なんだから。
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